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ドイツ製の超小型PCスピーカーELAC CINEMA 2SAT レビュー

箱ピュアPCオーディオの要となるドイツ製のデスクトップ用ミニモニタースピーカーです。2009年のVGPビジュアルグランプリ受賞モデル。2008年に導入したあとはリプレイスすることなく現在も使用中。元々CINEMA 2SATはデスクトップPC向けのミニスピーカーとして開発されたものではなく、本来はCINEMA Lineとして5.1chサラウンド用のサテライトスピーカーとして設計されたものだったりします。

ELAC CINEMA 2SAT Desktopaudio

PCオーディオ用途に皆さんけっこう大きめの(といってもピュア用としては小さいですが)スピーカーが、デスクの左右に鎮座していらして驚くのですけれども、箱ピュア管理人がCINEMA 2SATを使い続ける理由は、PCモニタ裏と壁の間の隙間にセッティングできる奥行き10cmの超小型サイズだったのが一番。にもかかわらず安っぽくないドイツELACのサウンドが得られるからというのが大きかったりします♪

公称スペックはW(幅):88mm H(高)138mm D(奥行):102mm 重量0.95kg 周波数特性周90Hz~21000kHz 密閉型防磁タイプ。2WAY 80mmウーファー+19mm ネオジウム リングドームツィーター(クロスオーバー周波数3800Hz) インピーダンス6Ω 定格入力45W/最大65W 音圧レベル85dB(2.83V/1m)。

outPhile-webニュース【ユキム、ELACのシアター向けスピーカー“NEW CINEMA COMPONENTS”に新色“HG”を追加】

管理人のCINEMA 2SATは2005年発売の初代モデルでアルミニウムシルバー。2008年に発売された後継機にELAC CINEMA 2SAT HGがあります。CINEMA 2SAT HGの外観とスペックは無印と同じですが、HGはブラックモデルのみで、直接比較していないのでマイナーチェンジ前後の音質の違いはわかりません。本国の紹介ページではシルバーも黒も特にHGとは明記されていないですし、ただの色違いでホントは中身一緒だったりして(滝汗)。実は日本でHGが発売されてからブラックしかない事に慌てて、先代シルバーモデルを慌ててネットでポチったのですが既に入荷不可。店頭在庫を探し、アキバの旧ラジオ会館某店でなんとか手に入れたという経緯があります。

elac-Cinema10sat

キャビネットは3mm厚のアルミニウム。ドイツのクラフトマンシップらしくもの凄く作りが良くて、お陰で所有欲的なものが満たせます(^-^;)。フロントグリルはパンチングメタルで残念ながら取り外し不可。元々ELAC CL310JETのサウンドが好きな事もあり、それのミニバージョンを期待して試聴もせずに導入したのですが、音質傾向は期待していた潤いのあるELAC CL310~BS312 Lineとは全く違うものでした。あまり作為的な美音や色気はなく、見た目に反してアキュレートでモニタースピーカー的。クロスオーバーが3800Hzとほんのりと高めなこともあり、小さなフルレンジを彷彿とさせる鳴り方をします。モニターライクな中域から音場は広くフラットに展開し、上下方向は伸びやかに薄くなる感じです。

見た目アルミエンクロージャーで白っぽいアルミ色?のコーンですので、ELAC CL310~BS312 Lineのように良い意味で響きの多いアルミ臭い音をイメージしていたのですが、ウーファーの音質はペーパーコーン的で少々ドライ傾向、個人的には艶や潤いのある音色が好きですのでそこはやや想定外でした。アルミっぽい響きの癖はキャビネットの高剛性故か最小限に抑えられ、BOSEのComputer Music MonitorやMicro music monitorのようなアルミの箱鳴き演出的な響きは徹底的に抑えられています。

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また一般的な木製キャビネット特有の暖かみや雑味感もありませんので、無機的な響きのモニター的でニュートラルチックなサウンドです。ネオジウムツイーターの音も目立つことなく、控えめ且つ自然に添えられている感じで、言われなければフルレンジスピーカーかと疑うようなナチュラルさです。サテライトスピーカーなのにコーンの歯切れが良く、残響を長く無駄に響かせない音作りなのには驚きました。

CINEMA 2SAT

音楽性はニュートラル。CINEMA 2SAT自体にELACの他のスピーカーのような音色の個性や高い音楽性はありませんが、繋ぐアンプやデジタル機器の持つ生命力やリズム、音楽的持ち味をスポイルするような真面目さやつまらなさもありません。発音はドイツ語的。温度感は暖かくも冷たくもないニュートラル。音色のスペクトラムはあまり鮮やかではなくモノクロームの世界です。質実剛健で色気が足りていないのが弱点。

良くも悪くも過剰な演出をしないモニターライクなサウンドをベースに、ほんのりドイツ的空気感と発音に振ったみたいなサウンドです。トゥイーターの高域は程々の分解能を保ちつつも極めて自然でうるさい音は一切しませんので、ニアフィールドでの長時間リスニングにはかなり向いています。ただ、近年のハイレゾ音源を再生するには些か穏やかなバランスですので、なんとなくスーパートゥイーターを追加したくなる衝動には駆られたりして(^-^;)。低域方向は密閉ということもあって薄いのですが応答がパルシブ。バスレフ的な低音をぼわ~んと響かせる演出とは真逆。しかし中域の密度がしっかりしていますのでハイ上がりには聞こえません。

ELAC CINEMA 2SAT on ARCAM CD72T

普段はデスクトップで使っていますが、低能率傾向の出音で更に密閉型且つ付帯音が少ないため、実は超小音量再生向きではなくある程度・・・中音量くらいまでは音量を上げるほうが力感が増して好印象。音像定位もミニチュアスケールのクッキリピンポイントではなく、音像に厚みがあり、広い空間にセッティングすると本領発揮するタイプです。逆に音量大きめでも歪みっぽくは鳴りません。なので意外にオーケストラものが得意だったり。良いアンプに繋げるとかなり厚みのある濃い音が出せるのでポテンシャルは高いと思われます。逆に出来の良くない中華デジアンやミニコンポのプリメインアンプなどではドライブ力が足りずにスッカスカの音になりますけれども・・・。。

悪く云えばイロモノ系のスピーカーにばかり耳を惹かれ、素材の音色を活かした個性的な音質が好きなでむぱ系管理人にとって、CINEMA 2SATは手持ちで常用しているスピーカーで唯一モニター系のサウンド傾向を持つモデルです。色気が足りないので個人的にどうしても何処か食い足りなさが付きまとうのは事実ですが、そこがまたPCオーディオの現代的でモノクロームな世界観に合っているかも知れないな~なんて思っていたり♪。繋げる機器やPC、各種ケーブルのポテンシャルは良くも悪くもダイレクトに反映してくれますので、どんなシステムに繋げるかで質的な評価が変わりやすいスピーカーかも知れません。

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エンクロージャー本体にはゴム足(取り外し不可)が付いていますので、一般的なインシュレーターは使用できません。その代わりビーズアンドオーディオムカイで購入した3cm厚の御影石ブロックに載せています。デスク直置きではリスニングポイントに対してユニットの位置が些か低すぎますし、御影石ブロックが高すぎるとウーファーまでが液晶モニタの後ろにすっぽり隠れてしまいます。

elac-cinema2sat-pc

現状のデスクトップセッティングではウーファーの音は直接耳に届きますが、ツィーターはモニタの背面に隠れてしまっていて、液晶モニタのプラスチックフレームの安っぽい震動音がどうしても再生音に纏わり付くのが悩みどころだったり。。。御影石の音質的なメリットとしては、元々ドライ傾向が強いCINEMA 2SATの場合には響きと潤いが加味される事です。音楽表現力はあまり改善しないのですけれど・・・。高さがいらないのであれば純正のELAC LS CUBE 6を奢れれば最高なのですけれども、これは流石にお値段が・・・\(^o^;)/

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使いこなしとしては、密閉型でこのサイズですので重低音が出ないのはどうしようもないのと、音色はモノトーン傾向が強いので、アンプやDAC、各種ケーブルなどでなるべくカラフルな音色を補う必要をどうしても感じる点でしょうか・・・音場空間が白黒映画みたいになってしまうので。たぶん音が色で見えない普通の御仁にはあまり関係ない話ですけれども・・・(゜Д゜;)

cinema2sat背面

背面のスピーカー端子はしっかりしていますがネジではなくクランプ式。スピーカーケーブルは色々取っ替えしましたが、位相が正確且つ出音がハイスピードで、シンプルでストレートな描写が持ち味のNORDOST Wyrewizard Spellbinderに落ち着いています。が、スペルバインダーは7N銅無メッキ線ですのでCINEMA 2SATのモノトーン傾向が解決しません。たしか米国ではWyrewizard Dreamcasterという銀メッキタイプがあったような気がするけど・・・もう作ってないですね。ともかく、出来ればスペルバインダーよりも銀コート線のNordost White Lightning Anniversaryくらいのスピーカーケーブルにアップデートしたいところ。

internalNORDOST Wyrewizard Spellbinder スピーカーケーブル いんぷれっしょん♪

結論としてELAC CINEMA 2SATは決して最高のデスクトップPCスピーカーではないのですけれども、全体に80点を付けたくなる様なバランスの取れたスピーカーで、デスクトップで使う以上、ニアフィールドモニターとしてのまとまりが良く、音楽再生時に限れば8年使っていて欠点というほどの欠点は見当たらないと思います。これといって特筆すべき美点がないのでどこか食い足りないですけれども。。。まぁこれはこれでありかな?みたいな(^o^;) あ、でも、音色がペーパーコーンっぽくドライですのでYouTube動画やアニメ再生には向いてません。女性声優の甲高い声が美音で伸びないのと、BGMの打ち込み効果音や男声がなんだかふとましくなり過ぎ。元がサラウンドスピーカーなので意外ですけれど。

以上、ELAC CINEMA 2SATについて書きましたが、せっかくデスクトップPCオーディオで本格的なサウンドを求めるのでしたら、実のところ300 LineのBS302の方が相応しいと思っています。サイズも奥行き12cmでCINEMA 2SATと同じくらいですし。ただこれ今回シルバーモデルがないのですよねぇ・・・最近のELACわぁ~・゚・(ノД`;)・゚・。黒じゃなかったら今すぐポチりたい衝動に駆られます。。。

現在、デスクトップPCオーディオに予算が十分にあってスピーカーを自由に選べるとしたら、クリプトンのスピーカーも面白そう。特にアニソンは旧ビクター等のクルトミュラーコーン(ドイツ)を採用した日本人設計のスピーカーがなかなか合うと思っているので、クリプトンのスピーカーは本気で高品質な日本製スピーカーを求める皆さんは第1候補にして良いかと思いまする。KS-1HQMと廉価モデルのKRIPTON KS-3HQMはデジタルアンプ内蔵のパワードススピーカーで、デンマークのティンファニー社のフルレンジユニットが載っています。

internal小型スピーカー23モデルを比較試聴してきました@2014-15 後編 (ELACのレビューあり)

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