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オーディオ機器の支配力と予算配分@主に初心者向けのお話

例によって経験則のお話です。「箱庭的ピュアオーディオシステムの薦め AUDIO STYLE」管理人の個人的経験から導き出されたゆる~い公式ですので、余所様でまんべんなく当てはまるとは限りませんので、その点は悪しからず。。。

メインシステム オーディオラック ONKYO C-S5VL TAG McLaren 60i
TAG McLaren 60i メインシステム ONKYO C-S5VL

オーディオ機器やオーディオアクセサリー(パーツ)には、音質と音の変化&向上が大きいものから、管理人みたいなアタオカ聴覚過敏のオーディオマニアにしか気が付かないような、一般人にとっては気のせい?程度の違いしか無い小さなファクターまで色々な選択肢があります…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡

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各オーディオ機器の支配率

トータルの出音に対する各種オーディオコンポーネントのアバウトな支配率を、個々の機種での偏差を考慮せず、ものすご~く大雑把且つ最大公約数的な感覚ではありますが、敢えて書くとこんな感じでしょうか。

スピーカー 55~70%
アンプ 15~30%
プレーヤー (デジタル出力機器) 10~15%
アクセサリー類 残りの余った数%

※話がより複雑になるのでルームアコースティックは除外。

仮にスピーカーが2/3とすると、残りの機器を合わせて1/3。アンプが20%で、(デジタル)プレーヤーが10%、各種オーディオケーブルやインシュレーターなどのアクセサリー類を全て合計して5%。但しこれはあくまで入門初心者さんに説明する場合の大雑把な指針としてですので、オーディオに詳しくなればなるほど、例外が増えてこの配分比率が徐々に当て嵌まらなくなる傾向にはなります。

スピーカー

一般的にみて最も変化が大きく、システム全体への影響力が最も強いのはスピーカー。昔からスピーカーが8割!な~んて断言するオーディオマニアがいるくらいの重要ポイントです…( ੭ ・ᴗ・ )੭♡。あくまでスピーカーの機種に拠る面はありますけれども、概ねマニアにとっての共通認識になっていると思います。個人的にも、オーディオシステムトータルから出る音の骨格の少なくとも3分の2から4分の3は、スピーカーが支配していると感じています。

DALI MENUET MH Walnut
DALI MENUET レビュー

箱庭オーディオ管理人の場合、ご覧の通り高さ30cmに満たない音場型小型スピーカーマニアですので、スピーカーの支配力をともすると過小評価しがちな立ち位置かも知れません。一般的に、ミドルハイクラスからハイエンドシステムの主流となるサイズと質量の大きなフロア型のスピーカー等々は、当然、存在感と出音の支配力が小型スピーカーに比べて遥かに大きくなります。

オーディオの基本としてはとにかくスピーカーの品質が何よりも重要。音の骨格や音質的方向性を絶対的に支配するのがスピーカー。スピーカーの持つ素性と周波数特性の揺らぎと再生限界からはどうやっても逃れられませんし、最初に此処さえ押さえておけば、音質向上は後からでも何とかなります。逆に云えば、スピーカーの出音の好みや、聴かれる音楽ジャンル及び部屋との相性を最初に外してしまうと、その後どうにもならなくなってしまうのがオーディオ選びの怖さです。

箱庭的ピュアオーディオで紹介している小型スピーカーは、質が高くても比較的お安いものからハイエンドまで、古今東西様々な選択肢があります。スピーカーのメリットとして、メーカーラインナップの都合上、ユニットやキャビネット、ネットワークが全く同じ品質でも、サイズが小さくなるだけで値段が極端に安くなる傾向が顕著な点が挙げられます。あくまで機種次第ですが、価格配分的にみた場合、プリメインアンプと同等、場合によってはアンプその他よりもずっとお安く済んでしまうケースも十分あり得るのがスピーカー選びです。

とは云えキャビネットが小さいと音量や音密度が稼げませんし、主に100Hz以下を担う低域方向の周波数特性が浅くなってしまいますので、小型スピーカーにはそういうった意味での弱点はあります。しかし逆に高域特性や音場再現性(原理的に点音源に近い)、トランジェント及びレスポンススピード、そして小音量時のリニアリティは、小型スピーカーが大型のスピーカーよりもむしろ有利になるケースが多々あります。よって、日本の狭い住宅事情の中、家庭内のごく常識的な小~中音量で音楽を愉しむ上では、小型スピーカーの方が相対的に扱いやすく、より簡単に好結果が得られやすい考えています。

プリメインアンプ (インテグレーテッドアンプ)

スピーカーが良ければそれで良し。と云う訳にはなかなかいかないのがオーディオの難しいところ。個人的な感覚ではありますけれど、スピーカーが創るのは音の骨格と表面のテクスチャ。それに対して、より本質的で内面的な音質を創るのはオーディオ機器側、という風に捉えています。その中でも特にンプの音質、質的性能は、本質的な品位に最も影響を与えるファクターになります。

Simaudio Moon Neo 220i プリメインアンプ
箱庭的”AUDIO STYLE” Category:Moon by Simaudio

アンプの中身は各機器から入力される小信号を整えてボリュームをコントロールする、前段「プリアンプ」と、スピーカーをドライブする後段「パワーアンプ」に別れていて、それが1つの筐体内で一体となっているアンプが一般的にプリメインアンプと呼ばれるタイプ。プリメインアンプは長年オーディオ業界で定着している和製英語で、インテグレーテッドアンプが国際的には正しい呼び方です。

「箱庭的 AUDIO STYLE」はエントリークラスの入門~中級オーディオをターゲットにしたブログですので、セパレートアンプよりも、プリ部パワー部両方が一体化した「プリメインアンプ、インテグレーテッドアンプ」の紹介が中心になります。

ちなみにより本格的な中級クラス~ハイエンドシステムのオーディオになると、プリアンプとパワーアンプを完全に別筐体化したセパレートアンプシステムが主流になります。セパレートアンプの場合、筐体のサイズや重さ、消費電力が大きいのはパワーアンプ側ですので、プリアンプよりもパワーアンプの方がより大切と思われがちですが、(スピーカードライブ力≒音のエネルギー感と余裕、スタビリティを決める)パワーアンプよりも、(音の内面的な質そのものを支配する)プリアンプの品位がより本質的には重要。音質の「質」への支配力が強いのはプリアンプ。パワーアンプはスピーカーのドライブ力そのものを支える要素ですが、聴かれる音量如何ではドライブ力が大きければ大きいほど良いというものではありませんし、何よりも各スピーカーとの相性が大切になります。

デジタルプレーヤー

toppage ONKYO C-S5VL SACD
ONKYO C-S5VL SACDプレーヤー レビュー

CDプレーヤーやネットワークオーディオプレーヤー、PC+外部DAC(単体D/Aコンバーター)等のデジタルデータソースの再生器側は、スピーカーやアンプに比べると相対的な支配力は小さくなります。CDやSACDその他デジタルプレーヤー全般は基本スペックがある水準以上に底上げされてしまっている事から、ポータブル機を含めた超低価格機から100万以上もするハイエンドオーディオ機まで、品質と音質の格差が一番少なくなります。それでもオーディオマニアにとっては到底無視できないほどの違いがありますので、適当で良い訳ではありません。ただ、特に予算が極めて限られている場合には、デジタル系への投資を後回しにして普及機で妥協してでも、スピーカーとアンプにはなるべく上質なモデルを購入される方が幸せになれる確率が上がります

デジタルトランスポート

CEC TL500Z ベルトドライブCDドライブメカ + 熱研 スタビライザー
CEC TL5100Z ベルトドライブCDプレーヤー

古くからある光学ディスク、中心に穴の空いたΦ12cmの円盤、CD、SACD、DVD、Blu-ray、等々全て共通するデジタル音声規格に基づいた構造と原理で出来ています。現在はより高音質、高画質の上位規格が色々ありますが、下位互換性としてほぼ全ての再生機で少なくとも音楽CD再生(CD-DA規格)が可能です。これら光学式デジタルプレーヤーの筐体内部は、

前段)「トランスポート」と呼ばれるデジタルデータの読み取りと送り出しを担う光学式ドライブメカ部分
後段)「D/Aコンバータ略してDAC」デジタルデータをアナログ信号に変換する回路

「トランスポート→DAC」この2つを1つに合体したものになります。過去に使われていたMD/DCC/DATなども、デジタルデータの格納メディア規格が異なるだけで基本的な仕組みは同じす。

PCオーディオは、前述のデジタルデータを読み出す光学式ドライブメカ部分を、PC本体+HDD/SSDストレージで代用したもの。

ネットワークオーディオは、汎用パソコンを使わず、プレーヤー単体でネットワーク上にあるストリーミング配信等のデジタルデータを呼び出し、ダウンロード再生するタイプを総称してネットワークオーディオプレーヤー、ストリーマーと呼びます。

CD/SACD/DVD/Blu-rayプレーヤー
PCオーディオに使うPC本体
ネットワークオーディオプレーヤー、ストリーマー

これら3つは、音楽用のデジタルデータ(WAV,DSD,FLAC,mp3等々)が保存された領域からデータを読み出し、アナログに変換して出力するという意味で、やっている事は基本的にどれも同じです。

D/Aコンバーター (DAC)

そしてそのデジタルデータをアナログ信号に変換して、アナログアンプに送り出す為の小さな信号として整えるのが「D/Aコンバーター」と呼ばれる変換回路で、オーディオ業界では略して「DAC」と呼ばれています(※DACは国際的な共通用語)。略称DAC即ちD/Aコンバーターとは、日本語でデジタル→アナログ変換器という意味です。

ONKYO DAC-1000 D/Aコンバーター + AS-258 インシュレーター
ONKYO DAC-1000 レビュー

CDプレーヤーが主流の時代は、一部のハイエンドモデルや業務用機を除いて読み出しとデジタル変換を一体化したプレーヤーが主流でしたが、90年代末以降、海外を中心に低価格な小型DACの需要が増え、そのニーズに応える形で別筐体のDACが数多く作られるようになりました。元々は既存のCDプレーヤーやDVDプレーヤー等にDACを追加する事で、プレーヤー本体を買い換えずに音質向上を狙うマニアックなジャンルでしたが、一般的に良質なDACを内蔵しないPCオーディオが主流化した今では、外付け用の手頃な単体DACの需要が増え、超小型&低価格~ハイエンドまで選択肢も多岐に渡るようになっています。

デジタルオーディオの不思議

ここでS/PDIFと呼ばれるオーディオのリアルタイムデジタルデータ転送系に関して、管理人が常々感じていることを挙げておきます。これは多くのオーディオマニアが気付いていなかったり、はたまた少しオカルトめいている為か事実として認めたがらない現象なのですけれど、オーディオ再生に於いてこのデジタル読み出し機器「トランスポート」側と「D/Aコンバーター(DAC)」のどちらが実際に音質的支配力が高いか?の問題です。

ONKYO UWL-1+Pro-Ject DAC Box DS a

異論反論はあると思いますが、誤解を恐れずに書くと、個人的な経験として、これは一般的なイメージとは逆となる「トランスポート」の方がより支配力が強い様に感じています。複数のDACと複数のトランスポートを組み合わせ、繰り返し試行錯誤する事で自ずと見えてくる事実ですが、デジタルオーディオの音質的支配力は、送り側が「主」で、DACが「従」の関係になる事が多いです。

デジタルトランスポートの品質なんて使い勝手以外なんでも良くて、DACの音質が9割以上だろう?と当たり前に考えがちです。論理的に考えてDAC回路の方が重要に決まっているため、検証や経験そのものを端から放棄している方も少なくないのが惜しまれますけれど、理屈ではなく実体験に立脚するのであれば、聴感上は何故かこれが逆になることが観測できるはずです。

もちろん機種によっても支配力の強さは異なるため、組み合わせ次第でトランスポートとDACの立場が逆転するケースはあります。けれども、平均的にはドライブメカの音質支配力70%にDAC側30%くらいのイメージでしょうか。半々ですらありません。特にミドルクラス~普及価格帯のシンプルな小型DACになる程、デジタルデータの送り出し側(CDドライブメカ/PC/ネットワークプレーヤー/ストリーマー)に比べて、音質に与える支配力が思いのほか小さくなると考えてほぼ間違いありません。※逆に云うと物量投入型のDAC等の場合は、組み合わせるトランスポート次第では立場が逆転する可能性もあります。

ONKYO UWL-1 DAC + Pro-Ject Head Box DS + リーファ,すーぱーそに子
ONKYO UWL-1 USBデジタルワイヤレスシステム レビュー

箱庭的 AUDIO STYLE 管理人の持論としては、デジタル機器の理屈では無い実質的な音質にこだわるなら、実はDACよりも送り出し側トランスポートのクオリティがより重要。特にCDプレーヤーに搭載される光学ドライブメカの品質が高かったのは、00年代前半以前に製造された製品が多く、中古機含め、優秀なドライブメカの入手に予算をかけることが音楽再生に於いて有利になると考えています。逆にある程度まともな単体CDプレーヤーのデジタル出力と同等以上の音質を、汎用PCのUSBデータ出力で実現するためには、技術的にも費用的にもハードルが高くなり、旧来のピュアオーディオ以上の難易度になるのではと感じています。※結局のところ音楽再生専用のPCに行き着く事になります。

スピーカー×アンプ×デジタルプレーヤーの支配力と予算配分

スピーカー 55~70%
アンプ 15~30%
プレーヤー (デジタル出力機器) 10~15%
アクセサリー類 残りの余った数%

音質的な影響力の大きさのイメージを冒頭でこのように書きましたが、予算配分も同じくこの比率どおりにすべきでしょうか?ピュアオーディオでボトルネックになるのが、バジェットHi-Fiと呼ばれる低予算の高音質オーディオを目指したときに、製造コスト面から、極端に安価なものは製造そのものが難しいコンポーネントがどうしても存在する事実です。

入門エントリークラスで一般的な選択肢となる小型スピーカーは、基本的に各メーカーのラインナップ上で同一設計モデルの末っ子に相当するため、相対的にみて低価格にもかかわらず、上級モデルと変わらないパーツ品質で作られているケースが少なくありません。この場合、サイズが小さいから設定価格が安価なだけで品質が本質的に劣るわけではありません。小型故の再生限界(主に低域)もありますが、逆に小型故のメリットも多くあります。つまるところ、小型のスピーカーは機種選びを間違えなければオーディオの中でも相対的にコスパに優れる傾向があります。

アンプに関してはどうでしょうか?アンプはオーディオの要であり、基本的に電源部の品質や上質なパーツがそのまま音質に反映されやすいコンポーネントです。特に質の良いアナログアンプを作ろうとすると、どうしてもある程度の回路等の部品コストが掛かってしまいますので、ピュアオーディオに恥じないクオリティを維持するためには、(システムの総額が小さくなればなる程) コスト面でどうしてもプリメインアンプの比重を上げざるを得なくなります。

Trends Audio TA-10.1 Dデジタルプリメインアンプ 黒檀キューブインシュレーター

2010年代以降、高性能なデジタルアンプ用チップやモジュールが色々と出回るようになってからは、小型且つ安価なアンプも作られるようになって来ました。小型のデジタルアンプは安価でサイズも小さいことがメリット。セッティングスペースの少ないデスクトップPC用途などには好適ですし、個人的にも好きで色々と試してみたりするのですけれど、品質的にはまだまだ割り切りが必要な面は正直あると思っています。

特に安価に入手可能な中華系小型デジタルアンプの品位は、音質以前に工業製品として製品精度や安全性に不安のあるものが未だに散見されますし、ネット上の口コミレビューなども、本格的なピュアオーディオが未体験のユーザーから過大評価されがちです。実体としては、品質的にはお値段相応+α程度で、知名度と信頼のある日本や欧米のオーディオメーカーが作るエントリークラスのインテグレーテッドアンプの音質と肩を並べたり、実際に超えているケースは9割くらい無いと思って良いと思います。※ 裏を返せば1割の例外製品を見つける楽しみはありますし、管理人自身もいくつかの中華デジタルアンプを所有しています。

CREEK CLASSIC CD カラヤンゴールドCD
CREEK CLASSIC CD レビュー

デジタルに関して現在ではPCトランスポートやネットワークストリーマーの選択肢が主流になってきているため、別段高額な単体CDプレーヤーはオーディオ趣味に於いて必ずしも必要なくなってきました。とは云え、いにしえのオーディオマニアである管理人的には、PCやネットワークオーディオでは不思議と得られない、光学ドライブメカと円盤が生み出すCD/SACD専用再生機の透明感を伴う滑らかで有機的な音質や、音盤を集めて個人所有することでの満足感が伴うピュアオーディオの味わい深さを、なるべく多くの人に知って欲しい、見捨てずに使い続けて欲しいと思っています。

アナログ@レコードプレーヤー

上記はデジタルプレーヤーの話ですが、アナログ音源ではどうかと云うと、昔はどこの家庭にもあったカセットテープの録再機、テープレコーダーは、ノイズフロアが高く音質的にもややナローレンジ気味ではあるものの、総じてCDプレーヤーとそれほど違いない支配力だと思います。FMチューナーなども同様です。

px-Ortofon コンコルド カートリッジ
管理人とレコードの近くて遠い関係…

其れとは別に、特に針で溝をなぞって音をピックアップするアナログLPプレーヤーは、原理的により大きな物理的エネルギーが発生するためか、デジタルプレーヤーに比べて濃厚な音質で実体感が強く、システム音質に与える影響力が遥かに強く大きくなります。

オーディオアクセサリー類

次はオーディオアクセサリー。アクセサリーって何のためにあるのって話です。とりあえず前述のオーディオ3点セットを各々任意の場所にセッティングしてみたところで、出てくる音の音質や音色、音傾向、聴感上の周波数バランスやエネルギー感、音場感等々が、望んでいたイメージと違ってしまった場合、希望の音質に近づけるために、試行錯誤しながら組み合わせる微調整ツールの総称がオーディオアクセサリーと呼ばれているパーツ類です。

px--RCAケーブル
箱庭的”AUDIO STYLE”オーディオケーブルレビュー集

一部でオカルト呼ばわれりされて来たにもかかわらず、巷でオーディオアクセサリーが星の数ほど溢れているのは何故か?オーディオアクセサリーに拠る微調整、トライ&エラーによって、再生音の変化を大なり小なり有意に感じることが出来る方々が、こだわりのあるオーディオマニア、音楽愛好家の中に一定数いらっしゃるからだと思っています。もちろん僕自身もその1人です。

さてこのオーディオアクセサリーの効果です。正直これらの一つ一つの支配力は感覚的に良くて数%程度、下手?をすると1%以下かもね…ってアクセサリーもザラにあったりします。同じアクセサリーでも何処に使うかで効果の度合いが全然違ってきますし、そうなるともう慣れの世界。時に偏執狂も甚だしいレベルの気のせいかも知れない程度の微細な違いを聴き分けるのも、毎日聴いている自分のシステムと部屋、慣れ親しんだ音源だからこそ、違いが気になったり、気付いたり出来る事もある訳です。

そんな微調整・・・個々の微細な違いを幾つもコツコツ積み重ねた結果、最終的なトータルでの出音は、機器を全く変更しないにもかかわらず、以前とは比較にならない素晴らしいサウンドに化けてしまう成功体験も、時には経験する事が出来ます。もちろんイメージ通りの音質が得られず泥沼に嵌まることも多々ありますし、むしろそうなってしまう確率の方が高いかも知れません。そうやって音質調整に纏わる匙加減のスキルを磨くのも、現代ピュアオーディオの醍醐味ではないでしょうか。

但し初心者さんの場合、オーディオアクセサリーで注意して欲しいのは、機材、コンポーネントへの投資に比べ、アクセサリーへの過剰な投資をしてしまうと、往々にしてコスパが悪くなることをお忘れ無きよう。。。そしてアクセサリーも全ては適材適所、相性こそが肝。高価なアクセサリーで無ければ良い音がしないというのは幻想です。

オーディオアクセサリの相場観は、ケーブルなどの部品購入による自作を経験することである程度身につきます。部品代+加工費用(設備、人件費)+販売宣伝費等を諸々想像してみて、ビジネスとして社会常識の範疇にあるのかどうか?それらを自問自答した上で、個人がそれぞれ納得できる価格の製品を選びましょう。

また、数多あるオーディオアクセサリーにはボッタクリとしか思えない製品が少なくないと云いますか、近年ではむしろボッタクリ価格が普通・・・になってしまっているのが残念なところ。手作業による機械工作や少量製造品が多いため、素材次第でどうしてもある程度の値段になってしまうのは致し方ない面があります。しかしケーブル1本が数十万~数百万など極端に高額な製品は、原価が高いのではなく、単に極度に利益率が高いブランドビジネスと、価格が高いことで有り難がる一部のハイエンドオーディオマニアが存在することで成り立つ病的な拝金主義にまみれている側面は否定できません。こういった極端に高価なオーディオアクセサリー類には、音楽観賞が第一の皆さんは近寄らない方が賢明です。

インシュレーターとオーディオボード、オーディオラック

これはスピーカーの下が当たり前ですけれど一番効きます。コーンとキャビネットの振動が直接伝わりますから、ここで振動モードに良くも悪くも直接的な影響が出るのは当然です。尚、インシュレーターの亜種として、スピーカーや機器の足がスパイクタイプの場合には各種オーディオ用スパイク受けを使います。

オーディオ インシュレーター
箱庭的”AUDIO STYLE”その他アクセサリーレビュー集

次がアンプ。スピーカーの足に比べれば小さな変化ですが、個人的には無視しない方が良いレベルで変わると思っています。そしてデジタル機器では変化の大きさがアンプほどでは無いことも多いとは云え、アンプでの違いを聞き分けできる耳をお持ちであれば、結局デジタルプレーヤーでも違いが判ると思います。LP盤の溝から直接振動を拾うアナログレコードプレイヤーの場合は、さらに影響が大きいのは言わずもがなです。

ちなみに小さなインシュレーターより、スピーカーや機器そのものを設置しているオーディオラック(汎用AVラックやタンスなどの上含む)に拠る音質的影響の方が実はずっと大きくなります。スピーカーの場合フロアもしくはフロアボードの素材ですね。インシュレーター類はオーディオアクセサリーの中でも比較的手軽にチャレンジしやすく、ついつい手を出したくなりますが、設置場所のフロア素材の重要性に比べれば実は相対的に小さな変化でしかありません。ですので、本気で音質向上したければ、インシュレーターよりも、オーディオラックやフロアの素材を根本的に見直した方が良いのです。ただ、現実問題として、部屋の床や大型家具を入れ替えるとなりますと、なかなかそうもいかない場合も多いですよね。そんな時、小手先のテクニックとしてインシュレーターで微調整・・・もとい御茶を濁す感じです。~゜゜(´□`。)°゜。

オーストリア硬貨 コイン インシュレーター スパイク受け
Vienna Acoustics T-2にスパイク受けとして付属していたオーストリア硬貨

なお、ラックやフロアを変更できない場合でも、オーディオボードの方がインシュレーターよりも大きな影響力があります。ボードであればラックそのものやフロア素材を変更しなくても済みますし、それらをまるっと替えるのにより近い効果が得られます。安価なボードであれば、御影石や大理石、コーリアンボード、あるいはホームセンターで売られている(黒檀やカエデの集成材など楽器で使われる材質の)木製ボードなどが、比較的安価で手っ取り早く大きな変化を感じられます。インシュレーターには先ず純銅の10円玉や新旧500円硬貨で試してみるのがオススメ。高価な専用インシュレーターよりも結局コインの相性が良かったなんてケースは普通にありますし、東急ハンズやホームセンターで売られているアフリカ黒檀の角材、丸材のカットキューブなどと試すのも個人的にはお薦めです。

audio-technica AT6099 インシュレーター
audio-technica AT6099 レビュー

注意点として、影響力の大きなオーディオボードやオーディオラックは音質に与える支配力、変化量が大き過ぎてしまい、望んだ方向性にならないと、投資額や手間の面で極めて不幸なことに成りかねません。その点インシュレーターは取っ替え引っ替えが手軽ですし、失敗も含めて変化に関する経験値が身につきます。よってインシュレーターによる微調整の積み重ねは、ある意味でオーディオセッティングの機微とコーディネートのセンスを磨く格好の近道になると思っています。

インシュレーターや各種のアンダーボード以外にも、変わり種としてケーブルに巻きつけたり機器貼りつけたり天板の上に置くだけのアクセサリーも存在します。これらは信号経路や電源に直接介入するもの以外は、総じて振動をコントロールすることで音質に影響与える目的で作られているアクセサリーが多いです。その他にオーディオルームの吸音と反響をコントロールする目論見で、ルームアコースティックそのものをコントロールするアクセサリーもありますが、今回は割愛します。

インシュレーターを選ぶコツ、使いこなしのポイント。

震動を吸収する、完全に押さえ込むことばかりを主目的に考えるよりも、震動モードを整える、調律する、その上でなるべく自然な響きをほんのり加えるくらいのイメージで、これらの要素のバランスを取る、機器同士の音色の違いを調和させる目的でインシュレーター類を見繕うことをオススメします。

スピーカーケーブル、インターコネクトケーブル、デジタルケーブル

インシュレーターは震動をコントロールして音質に影響を与えるアクセサリーですが、オーディオアクセサリーの本命と云えばやはり各種オーディオケーブル類になるかと思います。AV機器に最初から同梱されている細い赤白ケーブルや、細く中身が見えるシンプルなスピーカーケーブルでも、当然音を出すことそのものには何ら問題ありません。それでも数多のオーディオ用ケーブルが存在するのは、ケーブルの音質的な違いを大なり小なり聴き分けた上で、システムに与える影響力を体験的に無視できないオーディオマニアが世界中に数多く存在するからです。

aeco Etoire オーグラインpt RCAケーブル
AECO Etoire RCA レビュー

一般オーディオマニア的には影響力の大きい順に、スピーカーケーブル>アナログ信号ケーブル>デジタル信号ケーブル みたいな感じだと思いますが、これはまぁエントリークラスの比較的安価なケーブルの間でのみ通用する(例外多々あり的な)セオリーだったりします。基本的にはまずスピーカーケーブルに投資して次にアナログ信号ケーブルになりますが、デジタル送り出側とDACが分かれている場合、2つをつなげるデジタルケーブルが意外にもアナログ信号ケーブルと同じくらい影響力がありますので、デジタル側がセパレートの場合には無視できないファクターになります。

ケーブルの支配力は意外と千差万別で、ハイエンドケーブルの世界では驚くほど音質に与える変化量が大きくなることもままあり、そういったケーブルに手を出して分かり易い変化に驚き、そのまま文字通りケーブル沼に落ちるマニアが古今東西後を絶ちません。白状すると管理人もその1人だったり無かったり!?〜゜゜(´▽`。)°゜。

電源ケーブル等々、電源周りは変化量が大きい

そして特に90年代末以降、オーディオ界隈で特に頭角を現したのが電源ケーブルの変更です。スピーカーケーブルなどのアナログ信号ケーブルで音が変わるのは理屈的に理解出来るにしろ、なんで電源ケーブルで音が変わるんじゃ?って不思議に思われるかも知れません。だがしかし、前述の信号ケーブルよりも、システム全体に与える音質の変化量がずっと大きくなるのが、実は電源ケーブルを含む電源周りだったりします。変化量が大きいため、相対的にあまり高価な線材を導入しなくても、かなりシステムの出音を大きく弄れるのが電源周りの面白さ。特にある程度DIYでケーブルの自作組み立てが出来る御仁には、他のアクセサリー類に比べて一番リーズナブルに大きな違いを楽しめるのが電源周りの追い込みと云えます。

FURUTECH The Astoria PC-Triple C 電源ケーブル
FURUTECH The Astoria PC-Triple C 電源ケーブル レビュー

大抵、電源ケーブル交換→電源BOX→壁コンセントの交換などを経て、ノイズの少ない正弦波を生み出すための、クリーン電源装置の導入に至ったり、配電盤やブレーカーの交換、屋内配線の交換、最後はマイ電柱と呼ばれる変電機毎電柱を交換!なんて暴挙に出る廃エンドマニアも最近では雑誌等でちょくちょく紹介されていたりします…(゜ω゜)。管理人はマンション住まいですので電柱話は他人事ですが、昨今の電力自由化なども絡み、玄関先の電気メーター(スマートメーター)の機種交換(無料で契約電力会社がやっいてる)が鬼門。スマートメーターの交換でオーディオシステムの見直しが迫られるレベルで音質ががらっと変わり、オーディオ仲間が頭を悩ますケースを何度か目の当たりにしてしまい、何れ訪れる電気メーターの定期交換にはかなり怯え・・・不安を募らせていたりします。

Sir Tone PWC-11008+FURUTECH J1 project PT-4
J1 Project PT-4 レビュー

実のところ、ルームアコースティックの制約・・・もとい部屋固有の音と思われていたものが、その家の実は電源の特性だったりすることも少なくありません。個々の環境で電源環境が良いか悪いかの一端?を知る術は、マニアックなノイズ測定器でも使わない限りなかなかありませんが、電源が良くない環境だと、オーディオアクセサリーにしても、機材の交換にしても、実は何をやっても違いがいまいち判らない、所詮モワッとした篭もった音しか出ない・・・な~んて事も十分にあり得ます。そんな部屋で濁った音を聴きながら、オーディオなんて何をやっても変わらないYO!と思い込んでいるだけの御仁も、潜在的に少なくないかも知れません。これ、電源ノイズの多い家電量販店にある音響機器売り場の音質で経験できる場合がありますけれども、オーディオ弄りに於いて攻略すべきは、実のところ電源が最重要課題かも知れません。実際、現在の主流のピュアオーディオ@アクセサリー分野でもっとも攻略し甲斐のあるテーマになっていると思います。

各種オーディオアクセサリの選び方

オーディオアクセサリーの難しいところは、違いが判らない事よりも、実際に使ってみると各々のシステムと合わない、むしろ音が悪くなったように感じる、変化はしたけど求めていた方向とは違うあさって方向・・・…( ³△³  ).。oとなってしまうケースが多分にしてある点です。あ~でもない、こ~でもないと試行錯誤の泥沼が待っている訳です。ある程度経験値のあるオーディオマニアの間でも、試してみて上手くマッチする確率の方がむしろ低かったりするのが実情だったりします。

本音ではしっくり来ないけど、なんかこう良くなっいてる部分もあるから、散財したのでとりあえず今回はコレで妥協・・・みたいなケースが一番多いのではないでしょうか。アクセサリー選びに失敗し、ストレスフルの暗澹たる気分で暫く悶々とした結果、だめだこりゃ~(# ゚Д゚)/と諦めて、元に戻してお蔵入りorオークションや中古店に流す・・・以下、散剤エンドレスリピートみたいな…( ³△³  ).。o。

投資金額や期待値に比例して、想像通りに良くなってくれれば良いのですけれど、なかなかそう一筋縄では行かないのがオーディオの難しさであり面白さ。…そういやこれって機器選びでも本質的に同じですね。でもオーディオ機器本体は、多くの場合なんとかすれば何処かで試聴した上で熟考しつつ購入出来ます。けれどもオーディオアクセサリーの場合、試聴機会や貸し出しサービスが限られますので、何だかんだと8割くらいは事前試聴無しでの博打だったりします。

各システムと相性の良いオーディオアクセサリーを選びつつ、なるべくリーズナブルに愉しむコツは、背伸びをして高額な製品にいきなり飛び込むのでは無く、1セット数千円程度の低価格な製品から始め、徐々にグレードアップする堅実な方法がお薦めです。

また、手先が器用で多少電気の知識がある皆さんの場合、線材とプラグを部品購入した自作DIYであれば、市販の遥かに高額なケーブルと同等のバーツを使っても数分の1の予算で作れますし、自作での試行錯誤を経ることで、ケーブルの相性の難しさや、製作にかかる手間暇を通し、オーディオ趣味に対するより深い洞察と、実体に見合った金銭感覚が磨かれると思います。

~まとめ~ 初心者さん向けに話を戻します

スピーカー 55~70%
アンプ 15~30%
プレーヤー (デジタル出力機器) 10~15%
アクセサリー類 残りの余った数%

オーディオシステムに於ける各コンポーネントの出音の支配力は、これくらいが取っかかりとしてエントリークラスのオーディオに於ける目安みたいな感じでしょうか。とは云えオーディオ趣味がどんどゆマニアックになるにつれ、この配分はあまり意味を成さなくなるものである事はご承知くださいませ。

オーディオ店の店頭で気に入ったスピーカーを見つける。或いはネット上である程度目星を付けてから、普段良く聴く音源のCD&USBメモリ入りデータ等を持って、試聴機のある店頭に赴く。⇒ 好きになれそうなスピーカーを2つ3つ絞ったら、そのスピーカーに合うアンプの組み合わせをひたすら探す。※大型量販店などは多数の製品を横並び切り替え比較が出来るのが強みですが、小さな専門店は、展示数が少ない代わりに店主が音質の良い組み合わせを把握していることも。CDPはアンプと同メーカー同一設計のモデルが組み合わせとして無難ですが、敢えて音の良い単体プレーヤーやストリーマーを選んだり、予算に応じてとりま低価格DACなどで妥協するのもあり。

ここまで書いていてなんですが、実はオーディオで最も大切なのは、特にスピーカーとアンプの組み合わせに始まり、システムトータルの「相性」が重要で、価格そのものではありません。相性の良い組み合わせを見つけられれば、機材の価格を超えた心地よい音質を得られることもありますし、逆にどんなに高額な機種でも、組み合わせの相性を外すと本気でどうしようもない音がするのがオーディオの難しさであり面白さです。

単体オーディオの世界では、多くの場合は相性が可も無く不可も無くイマイチで、機材のポテンシャルを十分活かせない組み合わせのまま、暗中模索し続けているのが大半のオーディオマニアの実情かも知れません。機材の購入ではなるべく店頭での試聴経験を積むことをお薦めしますけれど、その際は、個別の機種毎の音質だけに囚われず、常に組み合わせの相性に耳を傾けてみてください。アクセサリーも含め洋服のコーディネートと同じで、相性の良い組み合わせに出会うこと、見つける事こそが、オーディオ製品選びの見えないコツであり勘所です。そして、その気付きを積み上げる事で感覚的なセンスを磨く試行錯誤こそが、オーディオマニアの経験値、資産になりますから。

internal初心者さんの為のピュアオーディオ入門

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