オーディオ趣味を続けていると、友人と同じ機種を所有したり、はたまた自分で同じオーディオ製品を複数台所有したり、過去に所有していたものを再び中古で買い戻したり等、色々なきっかけから同一機材を比較する機会を得ることがあります。そこで否応無しに気づかされる問題点の一つとして、「オーディオ製品は同じ機種でも無視できない個体差が存在する」と云う、どうしてなかなか認めたくない事実に突き当たる事になります。
中古オーディオアンプ
工業製品は色々な部品を組み合わせて作っている以上、それぞれの部品全てに完全な精度が保たれている訳ではなく、積み重なった特性の違いが個体差となって出てくるのは、どうしても避けられない運命にあります。例えばハンドメイドの楽器、ピアノや弦楽器などの場合、どんなに精巧に作ってもほぼ全ての個体が違う音色になってしまうのは判りやすいですよね。しかしこれが金属や樹脂を組み合わせて作る自動車ほどの工業製品でも、多くの部品を組み合わせた結果として発生する個体差は、人間が体感出来るほどの違いになって現れます。



実は新品にも個体差があります

オーディオ機器の場合、新品でその誤差が大きいのか小さいのか?この点でデバイスやパーツのマッチングにこだわったハイエンド機種ではチャンネル誤差が小さいでしょうし(・・・あくまでメーカーの姿勢に依存しますが)、低価格機になるにつれて、同じようなデバイスでも品質や精度が落とされていく事は良くあります。判りやすいのはステレオLRでの音質差で、モノラルで聴き比べると実は左右でそれなりに違ってしまう機材も少なくありません。いわんや、左右で違う音質の機材を更に複数組み合わせるピュアオーディオのステレオ再生とは?・・・と云うあまり触れたくない話に・・・\(^o^;)/
SONY Vintage Audio
また、部品点数が多い機種ほど、結局は芋づる式に誤差が出てしまう事になりますから、裏を返すと、部品点数を絞ったシンプルな回路や構造の方が、必然的に不確定要素を減らせるメリットがあるとも云えます。また製造品位の差は生産国にも左右され、器用な国民性の日本人が作る製品は世界的に見てもビルドクオリティが高く、信頼性が高いのは相対的に皆が認めるところだと思います。ただ、これもメーカーの製造管理やパーツコストに対する姿勢によって、現実には???な製造管理のブランドもあるにはあったり。・・・最近は聞かなくなりましたけれども、昔あった有名な〇〇〇タイマーとか(爆)

オーディオ機器の個体差、管理人の個人的経験として

もう時効だと思うので書きますが、管理人が長年愛用しているSACDプレーヤーのONKYO C-S5VL。これは色々あって手元にあるのは都合3台目だったりします。実は2台目を新品購入した際に1台目よりも更に音質が良くて小躍りしたのですが、生憎の初期不良でHybrid-SACDのSACDレイヤーが再生出来ず(CDのみ再生)。新品でしたので当然直ぐに別の新品と交換になりました。しかし後から届いた代品が前の2台よりも明らかに音質が良くありません。そこで販売店に相談した上で、御厚意で、初期不良で返送した2台目の個体をメーカー修理した上で、あらためて戻して貰うことになりました。以降は15年近く故障も無く元気に稼働しています。
ONKYO C-S5VL SACD再生
他の例も挙げましょう。管理人が好んで使っているとあるオランダ製ハイエンドブランドのACケーブルなどは、ハンドメイドなのもあるでしょうが、同じモデルでも1本1本でかなり音色が違います。それも無視できないレベルの聴感差があり、片方は甘い音色で中域が厚く、もう一本は解像度が高くハイバランスで神経質だったり、同じ筈のケーブルをアンプとCDPで入れ替えるだけでも音場の形がガラリと変わります。システム環境によってどちらが良いかは一概に云えませんけれど、とにかく違うことだけは確かです。これは別に古いKharmaに限った話では無く、最近購入した現行モデルのカナダXLOケーブルや、米国Nordost、日本製のORB等々でも、同一銘柄のケーブルでそれぞれに大なり小なりの音質差を感じます。管理人は気に入ったケーブルを複数持ちする事が多く、個体差に拠る機材とのマッチングも苦労する部分だったりします。

internal英国 Musical Fidelity V90 DAC:同時購入した2台の個体差

こういった事を突き詰めていくと、RozenKrantz製アクセサリのように製造段階まで遡り、成型時のストレスから来る歪みにまで気を使い、金属、木材の方向性を揃えたり、測定数値には出て来ないところまで感覚を頼りに調律する人まで現れます。こだわり出したらキリが無いし、しかしそれで透明で精度の高い音が得られるのもまた面白く、その変化の追い込みに、ついつい音楽の事まで忘れてしまいそうになる事も・・・\(^o^;)/

中古オーディオ機器の個体差・・・

しかも、これが巷に溢れる中古商品となると更に難しくなります。そもそも製造品位のバラツキがある上に、それぞれの個体は、別々のオーナーの元で別々の使われ方をして来ている訳です。繋げられていた電源の質、オンオフの回数、通電時間、温度、湿度、はたまた聴かれていた音楽の種類、タバコなどの空気の汚れ、そのほか様々な外部的環境の違いから不可逆的な個体差が徐々に広がってしまうと云う、新品には無い不確定要素が加わります。

internalヤフオク!経由で中古オーディオ機器を入手する際のリスクについて。

以前に管理人がヤフオク!で手に入れた中古のApple/PHILIPS PowerCDの話を一つ。落札して届いたPowerCDを聴いてみると、なんだかあれぇ?という音しかしません。いや、この機体しか知らなければこんなものだと思うでしょう・・・。完動品ですし、CDプレーヤーとしては使用上特に問題点はありません。とは云えこの時は、元々友人の所有するPowerCDを聴いて感動したのが入手の理由。どうしても納得できない僕は、改めて同一条件で友人所有のものと比較してみたのですが・・・その結果は、残念ながらまるでグレードが違う音がするのです。友人曰く「・・・まるでPHILIPS LHH700とLHH600の差だね」 本当に、音場や音傾向の違いも含めまるでそんな感じの違いがあるのです。結局この個体差に僕は我慢ができなくなり、このPowerCDは数日後に手放してしまいました。
philips apple powercd player
このほかにも、許容範囲の微妙な差程度のものも含め、新品の同一製品でも個体差はありますし、中古となるとコンディションはバラバラ。一体何処で何をされて来たのか・・・それは元オーナーのみぞ知るです。(一度改造した機材をハンダ付けから部品を元に戻して、何食わぬ顔で売ってる人もいたりしますし・・・) 完動品であるという以上に、本当に設計本来の音が出ているのか?ここまで拘って考えると、中古はバクチであることをじゅうぶん理解した上で、割り切って購入する覚悟が必要なのだと思います。



まとめ♪ 個体差を避ける方法

そもそも、確率面から本当にコンディションの良い当たり個体はオーナーがなかなか手放しません。中古品は多くの場合、何らかの「不満」に基づいて売りに出される事が前提にあり、入手経路の面からも、中古愛好家の手を渡り歩いて、結果的に同じ機体がたらい回しにされる傾向が無いとは言い切れません。この点を踏まえて中古品に手を出す以上、「安い」だけでなく、里子に出されるには「何か訳がある」と疑ってかかる用心深さが必要だと考えます。



と、ココまで書いた上で、じゃあ結局どうすれば良いんだ?と問われるとハッキリ答えられなくなってしまうのですけれど、箱庭オーディオ管理人が気をつけている方法は一応こんな感じです。

・リスクを回避する為には出来るだけ新品で購入する。
・新品ハズレ個体を引く確率を下げる為、返品/メーカーリビルト品などの、箱破損、開封B級品等は避ける。
・安くても流通入手経路がグレーなバッタ屋さんから買わない。
・中古品は店頭で必ず実機を試聴した上で、保証付きを納得して買う。
・新品と新古品、中古の価格差は、つまるところリスクの差だと認識する。

これくらいの事は、皆さんもオーディオ機器の購入時に頭の片隅に入れておいても損はないと思います。

《Published 2005/4/18, Last modified 2021/9/27》

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