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ニッケル水素充電池の一番安くて高性能な製品はどれ?【ぱ~と1】

【ニッケル水素充電池の一番安くて高性能な製品はどれ?】
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総合性能は何だかんだとFDK(富士通)製造が圧倒的

現在、世界中のメーカーやブランドから色々なニッケル水素充電池が発売されていますが、実際の製造供給元は数社です。しかも国産製品についてはなんと一社独占。eneloopで有名なPanasonic製造だよね~と思いきや、製造開発&供給元はFDK(富士通/古河グループ)。エネループの開発製造元だったSANYOがPanasonicに吸収される間際、独占禁止法の関係からeneloop製造開発部門のSANYOトワイセルが分離されたり色々あって、更に別件で東芝の電池製造部門も統合したりしつつ、最終的に富士通の傘下に収まったらしい。。。FDK以外のニッケル水素充電池については、現状は日本のメーカー品だったとしても中国のメーカーでのOEM/ODM生産か、新興中華ブランドの手で独自製品化された電池になります。

単3ニッケル水素充電池

ちなみに元々Panasonicが自社開発してきた充電式EVOLTAについては、eneloopとは別部門の国内開発で中国工場製になります(※高容量ハイエンドモデルを除く)。元の開発系統が異なりますので、公称スペックが同レベルでも、いつまで経っても比較テストでの性能がeneloopには及ばないのが現状だったり。要するにeneloopは2011年にブランドの名前だけPanasonicに買収されましたが、実質的に製造開発している部門はFDKの中にあって、Panasonicでは無いのですね。

FDK(富士通)製のニッケル水素充電池が優れている理由は各所のベンチマークや比較テストでも散々証明されていますが、長時間安定した高い電圧、公称スペックとの乖離の少ない実容量、自然放電量の少なさ、個体のバラツキの少なさ、トラブル報告の少なさ、深放電や繰り返し充電による劣化の少なさ等々、今現在ニッケル水素充電池を選ぶとしたら、国内外のパッケージブランドを問わず、唯一の日本国内製造であるFDK供給モデルで揃えることが最も賢い選択になるのは間違いありません。

ちなみに2018年現在、形状からFDKがOEMで製造供給していると思われるブランド一覧はこちら↓eneloopより安価な海外ブランド向けOEM製造品は、公称スペックから推測すると設計世代が古いものだと推測されますが、それでも元々の品質が他のメーカーに比べて圧倒的に高品質ですので、FDKを選ばない手は無いかなと。

・Panasonic eneloop (2013年以降の新型eneloop lite除く)
・Panasonic EVOLTAハイエンドモデル (型番BK-3HLC/4HLC,BK-3HLD/BK-4HLD)
富士通電池 (FDKの製造元ブランド)
東芝IMPULSEの新製品 (※2014年以降TNH-3AH/TNH-3ME/TNH-3LE/TNH-4AH/TNH-4ME/TNH-4LE)
・ SONY CycleEnergy(2016年以降の新型シルバー/ゴールド)
Amazonベーシック 充電式ニッケル水素充電池 (グレー/ブラック/ホワイト)
IKEA LADDA 充電式電池 (ホワイト/ベージュ)
タミヤ単3ニッケル水素電池 ネオチャンプ (ミニ四駆向け)
カインズホーム (緑色)

その他、販売店のプライベートブランド品など、日本のメーカー品でパッケージにMade in Japanと明記されているものほぼ全てが、国内製造が一社独占である以上FDK製造と推論します。具体的には実物の上下の電極部分をeneloopと比較すれば同じなので判ります。

FDK_top
FDK_bottom

左からeneloop proAmazon Basics 高容量モデル(旧型グレー)IKEA LADDA白(高容量)、IKEA LADDAベージュ(低容量)。IKEA LADDAベージュの底部が少し違うのは、FDK供給のスタンダードタイプと同じだからと思われます。eneloop proの+極には液漏れ対策?か何かのザラザラした素材が貼ってありますね。

同一名称ラインナップでも、一部に例外モデルや、仕様変更に伴う製造元の海外変更などがある場合がございますので、個別の製品につしいてはパッケージで必ずご確認ください。後述する東芝IMPULSEなどは日本製(FDK)と中国製(LEXEL)を型番違い、しかもデザインがほぼ同じ物を併売していて紛らわしいです。それにしても、安かろうなんとやらのイメージがどうしても付きまとうAmazonベーシック 充電式ニッケル水素充電池IKEA LADDA 充電式電池の中身が、なんと天下のFDKによるOEMだったのが驚きです。※Amazon Basics充電池については、商品説明に日本製と明記されている単3グレー旧型(+極に少し緑色)と単4ホワイト旧型のみが日本製。グリーン×黒の2020~後継モデルは中国製になりました。

容量、使用可能回数、自己放電率などの公称スペックは当てにならない

まずは容量。これも各所で実測比較検討されていますが、日本ブランド中国ブランド問わずサバ読み気味のメーカーもあれば、公称値より実容量が大きいメーカーもあったりで一概には括れないのですが、特に新興中華ブランドの中には実測すると容量の詐称が酷いブランドが散見されるので注意が必要です。

でも問題は容量よりも耐久性です。基本、どのメーカーであれ実使用時の充電可能回数は公称値の数分の一で、充電可能回数にはまだまだ課題を抱えている点は留意すべきです。実際、電力消費の大きなポータブル機器などで毎日の充電が必要な使い方では、数十回~100回程度の再充電程度でも充電不能になるニッケル水素充電池がちらほら出てきますよね。

そして自然放電率。これもあくまでJIS等の非現実的なテスト条件上での数値ですので、1年後の残存率が70%~90%等と書かれていても、実際にはスペックを満たせず大きく自己放電するものや、特に中華メーカーなどは数ヶ月で放電しまくりで長期連続使用ではまともに使い物にならない製品がまだ大半のような感じです。この辺りも、高容量モデルの耐久性問題を除けばFDK製造品の自己放電量は他社製品より少なく、スペックに対して最も実性能が保証されていて安定していると云えます。

容量の大きさと寿命・・・再充電可能回数は極端に反比例する

これ、こちらで紹介されているトランジスタ技術誌での比較データを拝見して驚愕したのですが、即ち、単3で2400mAhなど、現時点で最も容量の大きいハイスペックでハイエンドなニッケル水素充電池は極端に寿命が短く、公称500回のeneloop proや東芝IMPULSEでも、せいぜい80回程度の再充電でボロボロ(内部抵抗200Ω到達)になるという点。逆に最新世代で公称5000回もある1000mAh以下程度の低容量モデルでは900回以上でも再充電可能ですから実用範囲でほぼ無限。公称1500回で1900mAh前後の標準モデルの場合、300~400回程度と、とりあえずそこそこ使い込んでも何とか数年間の実用性能が確保されているという印象です。

ここから解るのは・・・

公称500回 単3/2400mAh超 単4/900-1000mAh前後の大容量ハイエンドモデル
⇒1回の消費電力が大きい機器向け。耐久性が低いので毎日の連用には不向き。

公称1500回-2100回 単3/1900mAh 単4/750mAh前後のスタンダードモデル
⇒性能と耐久性のバランス良く普通に使えるが、毎日の充放電使用では1-3年で使えなくなりそう

公称5000回 単3/1000mAh 単4/500mAh前後のお手軽低容量モデル
⇒容量が足りないものの、耐久性が高いので充放電の多い過酷な使用に耐える。自然放電も少なく超小電力で数年は交換しないリモコン等に向いている。

正しく使い分けるとしたらこんな感じになりそうです。なんとなく大は小を兼ねるイメージでeneloopAmazonベーシック東芝IMPULSEも大容量モデルを購入してきましたが、こんなことになっていたとは・・・orz 公称2400mAh超のハイパワーモデルの場合、家の場合は、たまにしか使わないけど使う際には持続時間とパワーが要求される電動ドライバーやLEDワークライトなどの車載工具類、2~3ヶ月に一回のペースで充電が必要な車載の東芝 小型消臭器エアリオン、電池が切れやすいタイプの壁掛け時計などに用途を限るのが良さそうですわね。

Panasonic EVOLTAの場合、型番BK-3HLC/4HLC(eneloop第3世代相当),BK-3HLD/BK-4HLD(eneloop第4世代相当)の高容量ハイエンドモデルのみFDKに生産委託していると思われますが、eneloop proを上回る容量を確保するために、引き換えとして繰り返し充電回数が500回→300回と耐久性が大きく犠牲にされています。自然放電での1年後の公称残存率も85%→65%と酷いスペックで、EVOLTAのハイエンドモデルについてはFDKの中でも耐久性を犠牲にして瞬間的なパワーを要求する用途に特化した仕様の充電池と捉えて良いと思います。

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コメント一覧 (4件)

  • FDK製造のものは中国製より品質わるいよ。
    同じ条件で中国エネロングとパナソニックエネループを同じ回数充電したけど、パナソニックエネループは充電できなくなった。中国エネロングの方はまだ問題なく使えている。
    FDK品質最低!!!

  • 同じ実験をニカド電池でやると5000回以上記録するだろうね。トリクル充電のような繰り返しを永遠に行う、自動火災報知機がいまだにニカド電池を使っていることを考えれば、用途により電池を選ぶことが大切である。ニカドもFDKしか作ってないけどね。

  • こちらの記事は内容が詳細で正確な印象で、期待大です。パート2 以降も読ませてもらいます。
    (逆に、多くのネット上の記事はデタラメな内容が多いですね)
    ちなみに、本記事上の【こちらで紹介されているトランジスタ技術誌での比較データ】という箇所のリンク先も、誤解をあおるだけのひどい内容です。最初から充電寿命(サイクル数、充電可能回数)の測定条件JIS C 8708 異なる条件ですので、結果も異なって当然です。要するに「回数が減るような条件で測定し、回数が減ったと騒いでいる」だけです。これはメーカーが注意している(やるなと言っている)使用法でもあり、何ら驚くような結果ではありません。
    (そもそも充電寿命は放電深度によって非常に大きく変化するのがニッケル水素電池の基本的性質であり、放電深度50%と100%では10倍の差が付く。放電深度60%(JIS C 8708)で500回の充電寿命を持つモデルなら、放電深度100%で70〜80回の充電寿命だったという結果は、ショッキングどころか、スペック通りだと証明したようなもの)
    なお、本記事上の大容量モデルに関しての
    『⇒1回の消費電力が大きい機器向け。耐久性が低いので毎日の連用には不向き』
    この結論ですが、やや誤解を招くかと。毎日運用するか否かは、あまり関係がないように思います。たとえばプロのカメラマンが毎日のようにストロボに使うなら、大容量モデルの寿命を真っ当に消化していく事になるでしょう(この場合、数百回の充電寿命を全うできる可能性は高い。ストロボチャージの時間が遅くなれば躊躇なく次の電池に交換 ⇒ 深放電を避ける良い使い方になっている)。
    大容量モデルに関しては、不活性化しやすい傾向があるようですから、むしろ、「あまり使わない機器」には合わないでしょう。「気づいたら電池が傷んでいた」という事になりがちです。

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