FURUTECHのPc-Triple-Cを導体に採用した最新電源ケーブルThe AstoriaとThe Empire。発売された時にオーディオアクセサリー誌161号で大々的にレビューされていたので気になっていました。元々FURUTECHの電源製品が割と好きなのと、購入するとQUOカードとディスククリーナーのFURUTECH PC-α ピュアクリーンウォーターが貰えるキャンペーン(注:発売当初の話)をしていたこともあって、予定を前倒しして細径で安価な方のThe Astoriaを購入してしまいました(滝汗)
FURUTECH The Astoria
The Astoriaは今は無きロンドンのライブハウスの名を冠した電源ケーブル。ネーミングからするとクラシック音楽よりはライブの古いブリティッシュロックをイメージしつつ開発されたのかな?何となくこの洒落たネーミングセンスに惚れたというか、でもここだけの話、最初にイメージしたのは天空のエスカフローネ(爆)



FI-11M(Cu)/FI-11(Cu)プラグとPC-Triple C

現在市販されているオーディオ用電源ケーブルの中でThe Astoriaはお値段的にどちらかと云うとエントリークラスの部類ではありますが、見た目の品位と高級感はバッチリ♪。外径12.8mmの太さから中身は3.5スケアかと思ったのですが、The Astoriaの導体はPC Triple-C / 80本/0.18mmφですので2スケア相当。※外径16mmで見た目が5.5SQっぽいThe EmpireはPC Triple C導体45本/0.32mmφで3.6スケア。シールドは0.12mmOFC編組。シースや絶縁体は特殊耐熱オーディオグレードPVC。アウタースリーブはナイロン糸編組。持ってみるとずっしり重くてけっこう硬めの質感です。
FURUTECH The Astoria 2
FURUTECHはケーブル外径の太さに反して中の導体そのものは細めのことが多いのですけれど、これまでの経験則として、導体が細いにもかかわらず低域が厚く迫力のある音が出る不思議電線を開発するのが得意なメーカーですので、細さに懸念を抱く必要はないと思います。The Astoriaの電源プラグは純銅のFURUTECH 「FI-11M(Cu)/FI-11(Cu)」を使用。The Empireでは金メッキバージョンの「FI-11M-N1(g)/FI-11-N1(g)」が採用されています。比較的低価格な電源ケーブルでも他社に比べて1クラス上のプラグを奢れるのは元々の製品開発元ならでは。両端のプラグを別途購入する事を考えると完成品でこのお値段はかなりのお買い得感があります。
FURUTECH FI-11M 純銅+銅メッキ
純銅と云うと経年での腐食が懸念されますが、「FI-11M(Cu)/FI-11(Cu)」の場合は銅メッキ純銅ですので、4年経っても未だブレードはピカピカのままです。さすがに抜き差しでの傷は入りますけれども。。。


オーディオアクセサリー誌(161号)では福田雅光先生と鈴木裕先生による詳細インプレッションがありますが、文字に起こした場合に2人の印象が割と違って読めるところもあって、個人的には福田氏のレビューの音質に期待しつつも、鈴木氏のレビューの方には一抹の不安を感じつつ、試聴無しで清水の舞台から飛び降りてしまった感じでございます\(^o^;)/
FURUTECH The Astoria 3

FURUTECH The Astoria 音質レビュー / Absolute Power-15 Plusと比較

FURUTECH Astoriaは今時の無色透明&高解像度でハイスピード且つキラキラ系と思いきや全然違い、基本的にはミュージカリティが優秀な音濃い系。PC-Triple Cの最新世代的な高いS/N感と解像度をベースとして担保しつつ、アナログ的な密度と実体感のある音・・・これはほんとに予想外でした。低域方向が、特に中低域は響きが充実していて深い音が出ます。音像はタイトでややクリッとした硬さがありますが、これは初期エージングである程度解消するとみた(注:解消しました)。音楽の濃淡、陰影を大人っぽくしかし有機的に描写する印象で、闊達なエネルギー表現の中にじっくりと深みのある音楽を聴かせる表現力が魅力です。色濃いめなのにモノトーン傾向には落ちず、色彩感はむしろ豊か。表現が明るくカラフルなので聞き慣れた音源からこれまで気がつかなかったいろいろな情景が次々浮かび上がってきて少し驚きました。バロック音楽の陰影豊かなエレガントさも、暗闇に揺蕩うラヴェルの想いも、マーラーのデモーニッシュさも両方描写出来る面白い電源ケーブルです。
FURUTECH The Astoria 4
中低域はウーファーの制動力が良く透明で彫りの豊かな表現ながらもレスポンスが揃い、タイムアライメントが遅れません。重低音域もたっぷりでは無いのですけれど、それなりには出ている印象。ピアノの左手方向がボケずに深く鳴るため、右手も含めて一つ一つのタッチの変化がとても判りやすい。これはこのクラスの他の電源ケーブルでは得にくいThe Astoriaのメリットだと思います。中域は少々テンションが高く、重さと密度感が伴いつつ密度濃厚。またエンハンスされた輪郭強調感はありません。初期状態では音抜けの面で僅かに詰まった印象があり、やや目がしらを押さえつけられている感じがするのが気になったのですけれど、時間経過とともに改善されていく筈(注:エージングでほぐれました)。アクセント的に中高域に骨っぽさがあるのがFURUTECH Absolute Power-15 Plusに少し似ている部分。高域方向は間接音が透明で、最新のケーブルらしくなかなか解像度は高いものの、基本的には適度なパンチと共に歪みが少なく聴き疲れしない傾向のスムースなサウンドです。


前述したオーディオアクセサリー誌のレビューで鈴木裕先生にマットなニュアンスの音色感と書かれていましたが、純銅プラグで金銀ロジウムメッキのキラキラ音が乗らないので、そう云う意味ではキラキラにはならない耳当たりの良いサーフェスです。弦楽合奏の粒子的倍音はやや不得意か。まぁ、これは所謂無メッキ純銅の音だと思います(^^)。ただ、ホールトーンに潤いがありますので、決して乾いたマット調では無く、あくまで響きに潤いのあるシック調の滑やかさかなと。


なんとなく本質的に動的で明るい音質のケーブルを、音色がシックで暗めの(FI-11(cu)/FI-11M(cu)プラグを掛け合わせることでバランスを取りつつ陰影感を持たせることに成功している印象。個人的好みとしてはこの音ならプラグを同じFI-11系で銀メッキかロジウムメッキかThe Empireと同じ金メッキ、或いは金銀複合に換装すると、脱色しつつより明度が上がって更に好みになるよ〜な気が(滝汗)。温度感はややウォーム傾向。血の通ったホットなサウンド。これも予想外。ウォームなのにハイレスポンスでそこそこ明るく高解像度系って割と珍しいのではないかと。


鈴木裕先生のレビューで音場の狭さを仄めかしていたのがかなりビクビクだったのですけれど(箱庭ピュアオーディオ管理人は狭い音場が苦手)、うちの環境での音場は割と普通に広いです。横方向の幅がさほど出ないのは確かにそんな印象(これは・・・FI-11(cu)/FI-11M(cu)プラグ起因だと思う)。ただ、良くあるスピーカーの間に音が団子に纏まるような閉塞感が少ないのは、定位が浮つかない範囲で高さ方向の空間がそれなりに自然に伸びているから。前後が浅いという指摘については、ガッと前には出てきませんが、ステージの見透しも良いですし、ここは優秀な描写の範疇ではないかしらと? たぶん、Enpireと較べて浅いというか、低域が弱いために相対的に音場がコンパクトなのでしょう。もちろん、ずっとクラスが上の音場型ハイエンドケーブルと比較した場合には確かに、深さねぇ・・・?ってなります。

FURUTECH曰く、「レスポンスの早さ・音のスピードをピュアに再現しつつも中低域の力強さを後押しする」と云うThe Astoriaの能書きは、実際狙い通りになっていると思います。導体の中身は細めの2スケアですが、重心が変に上ずらず、スビード感ある中低域〜低域方向の厚みと分解能はそこらの3.5スケアケーブルに勝るとも劣らず、全く引けを取りません。高域萌えと云うよりは、クラスを超えた中域〜低域のコントラストと豊かな動的表現力が魅力の電源ケーブルだと思います。音質面についても設計の異なるAbsolute Power-15 Plusと比べると確実に音場の透明度というか情報量と解像度が上がった印象です。


オーディオアクセサリー誌のレビューとThe Empire

この時点の印象としては、オーディオアクセサリー誌のレビューでは、福田雅光先生よりも鈴木裕先生のインプレの方が僕の印象に近いかな〜と思っていました。スピーカーが良く鳴る電源ケーブルとも評されていますが、これは確かにそんな感じで、なんだか同じボリューム位置でもかなり音量が大きくなったように聞こえますし、音量を絞っても音が痩せないので、従来より3から5分ボリューム位置を下げても音痩せせずに音楽が楽しめるようになります。
FURUTECH The Astoria 5
福田先生が述べている高域の繊細性や音のコントラスト、輪郭の精度に優れ、純度鮮度が高いとか、澄み切った音場の広がりといった高解像度系をイメージした場合、他社の電源ケーブルにもこういった文言がより相応しいモデルがあるのではと思います。福田先生評で「コントラストや解像力を重視するとThe EmpireよりThe Astoriaに分配が上がる、FURUTECHの傑作的な性能」とありましたので、太いThe Empireには敢えて挑戦しなかったのですけれども、鈴木先生評では逆に「The AstoriaよりThe Empireの分解力が高く、コントラストが強めで音の細部までもが明確にクッキリと見えてくる」とあるので、しょ〜じきスケール感に余裕が出そうなThe Empireにしておけば箱庭オーディオ管理人の環境では更に結果が良かったのかもと・・・今更書いてみる(爆)。但しThe Empireにすると特に低域方向が拡大して音場のスケール感が大きくなるなる反面、全体的に暗くなるという話もあるので、福田先生がThe Empireより暗にThe Astoria推しなのは判る気がします。

Absolute Power ll-18との比較

個人的に感じるThe Astoriaの欠点を敢えて挙げるとすると、ハイレスポンスでステージはライブ感たっぷりですが、ワイドレンジでフラットと云うよりは中域〜中低域を中心に展開するタイプ。両端の消え際はするりとナチュラルですが、もう少しハイのキレや音数、音場の余裕と云いますか上下のレンジの更なる広がり感や開放感が欲しいと感じてしまう部分はあります。


上位モデルのThe Empireは、FURUTECH曰く「細かい部分まで忠実に再現できるよう解像度が高く、アタックが強く高レスポンス、全体的にバランスの整ったケーブル」との事ですが、FURUTECHの中の人によるチューニングセンス&価格分類センスは信用に値すると思うので、たぶん一聴すれば判るくらいにはPC-Triple Cの太さと導体本数(+メッキ)の違いによる影響があると言うことでしょうねぇ。。。


他に手持ちのFURUTECHの電源ケーブルで、The Empire の先代モデルにあたりそうなAbsolute Power ll-18とThe Astoriaと比べた場合、解像度はAbsolute Power ll-18よりも高いのですけれど、余裕のある量感や名状しがたいハイエンド的な質感、音色の明るさなどで、流石にAbsolute Power ll-18の代わりにまではならないと感じます。導体よりも両端のプラグ(Absolute Power ll-18はFI-28(R)/FI-28M(R))の質的な差は如何ともしがたいみたいな。比べるとThe Astoriaはレンジの広がり面が箱庭的でやや狭いというか、グレード的にはAbsolute Power-15plusの解像度と情報量が劇的に改良された進化形という印象。たぶん、The EmpireでしたらAbsolute Power ll-18と比べてもPC-Triple Cらしく解像度が飛躍的に高くなってトータルとして音質が良くなっているんだろうと勝手に推測。でも、Absolute Power ll-18はなんというかそもそもの音色に独特の魅力があり、たぶんThe Empireとは狙いが別のベクトルにあると思いますので、ディスコンにはならないで欲しいな〜。

※こちらにもThe Astoriaの比較レビューを載せています。
internalバーンイン込みでサブシステムAでのテスト開始 / vs FURUTECH The Astoria
internalSUNSHINE SAC REFERENCE 1.8からFURUTECH The Astoriaに戻す

まとめ♪

例によってプリメインアンプのリファレンスとなる電源ケーブル探しを何年も続けていて、いい加減辟易している状況ではあるのですけれども、結局The Astoriaはメインシステム内での使用を見送り、スケール感的にサブシステムの大元に部署異動する事にしました。The Astoriaを薄い音のCDプレーヤー/テジタルプレーヤーに繋げば、最近のアナログレコードのような音質と密度を両立したサウンドに化けてくれますし、箱庭オーディオのサブシステムに於ける質的底上げにはかなり効果的。The Astoriaの濃密な音色のキャラクターはなかなかにしっかりしていますので、録音が歪んでキン付いたりドライでパサパサ耳に付く音源についても、巧くアナログ風味の密度感とするりとしたサーフェスでコーティングされ、音楽的に楽しく聴ける様になるメリットもあったりするのです・・・d(^_-)。

+For
 有機的で実体感と陰影感のある中域
 ハイレスポンスで快活、音楽的なまとままりに優れる
 PC-Triple Cの魅力を素直に引き出したサウンド
 ビルドクオリティが高い

−Against
 描写の繊細感と上下のFレンジは程々
 ハイエンドケーブル的な色気はあまり無い
《あくまで管理人の個人的評価です》
《Last modified 2021/6/29》

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