オーディオケーブルブランドSir Tone(サートーン)。ここ最近、ピュアオーディオ用としては入門クラスの低価格な電源/信号ケーブルを中心に積極的に新製品をリリースされていて、SNSを中心に急速に支持を広げているブランドです⇒Sir Tone(サ一ト一ン)[公式]。Twitterのオーディオ・電子楽器界隈に限れば、Sir Toneのオーディオ/楽器用ケーブルを未だ試したことが無いマニアはもういないってくらいに、既に絶大な人気を誇っていたり♪
Sir Tone VFF-2508
Sir Toneは新興ブランドではありますが、実は大阪枚方市にある老舗の電材製造メーカーKHD電線が、2017年頃から使い始めたオーディオ及び楽器用ケーブル向けのブランド名。KHD電線って何?知らないよ〜という方もいらっしゃると思いますが、産業用電線製造の老舗で、そこらのホームセンターで昔から置いているリール巻きの安価なOFCスピーカーケーブルにもKHD電線製があります。箱庭的ピュアオーディオで以前より無印OFC線として紹介しているスピーカーケーブルも実はKHD電線製。その他、AV機器等の細い付属電源コードを良〜く見るとKHDとプリントされたものを見かけます。要するにKHD電線は日本の産業電材分野では普通に知られたケーブルメーカーなのですね。



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Sir Toneブランドの特徴としては、性能の割に安価で、ぼったくりが蔓延るオーディオ業界に切り込みつつ価格破壊を現在進行形でもたらしている点。一から線材を開発製造する電材メーカーらしく、PSE(電気用品安全法)準拠の家庭用電源ケーブルとして極めて真っ当な製品である事。更に、Sir Toneとして最初期にリリースされた「電源スパイスケーブル」と云う名の継ぎ足しケーブルが、安価ながらも小粒ながらピリッと辛いアイデア商品として、多くのオーディオマニアや楽器ユーザーの支持を得ている事も見逃せません。


電源スパイスケーブルの効果的な使用方法について

この「電源スパイスケーブル」ですが、簡単に言うと既存の電源ケーブルに敢えて継ぎ足すことで音が変わる・・・条件によっては音質が向上して聞こえる場合もあるというシロモノです。最初見たときはこんなもの一体何に使うんだぁ〜!?って感じでしたが、例を挙げると・・・

1 電源ケーブルの長さが足りない場合の継ぎ足し延長用
2 音響機器の直出し電源ケーブルに継ぎ足す電源フィルターもどきとして
3 機器付属の着脱式電源ケーブル(C7メガネ)から取り替えて音質向上
4 PCオーディオでPC本体やパワードSP、DAC/アンプ等の電源に継ぎ足して音質向上

この様なケースで電源スパイスケーブルはメリットを発揮します。この手の継ぎ足し延長コードは、ホームセンター等に行けばPanasonicやELPA、ELECOM、サンワサプライ等々の一般家庭用電材として、他にも品質を問わなければ100均で入手することすら可能ですが、当然ながら何れも音響用に吟味されて開発されたものではありません。


例えば、これまで使用していたオーディオ用電源ケーブルや自作電源ケーブルが、機器の配置変更等で壁コンセントや電源ボックスに届かなくったとしましょう。そこへ一般家電向けやOAサプライ用途の延長コードを継ぎ足してしまうと、音がモヤモヤと篭もってしまい、せっかくの高級ケーブルや、高価な電材やパーツを奢った自作ケーブルで得られる品位をかき消して台無しにしてしまいます。こういった場合、届くように配置を工夫するか、諦めて同品質以上のより長い電源ケーブルを自作or再購入するしか手がありません。

o-green電源ケーブル・電源アクセサリー【箱庭ピュアオーディオ】

そこで登場するのがSir Toneの電源スパイスケーブル。VFF-2508は導体にKHD電線オリジナルのD-on Cu5導体が採用され、一般にタフピッチ銅が使われる家電用電源コードとは異なる純度の高い銅線が奢られています。結果として大きな音質劣化を感じずに、音に煩いオーディオマニアが気軽に継ぎ足し延長ケーブルとして使えるところがポイント。電気工学的には余計な抵抗を増やすだけですので、本来この様な継ぎ足しは御法度ではあるのですが、長さが足りなかったり、電源ケーブルが機器直出し交換不可能なケースで少しでも音を改善したいとき、Sir Toneの電源スパイスケーブルがどういう訳か聴感上の威力を発揮します。
Sir Tone 電源スパイスケーブル VFF-2508

管理人はこれまで継ぎ足しスパイスケーブルとVFF-2508メガネ型ケーブル合わせて既に4本ほど購入しています。そこで試した範囲では、条件によって音質向上具合は差があるものの、Sir Toneの電源スパイスケーブルを使い分けることで、これはこれであり!?的なクオリティを確保することが容易になりました。ここから下は箱庭ピュアオーディオ管理人が現在進行形でスパイスケーブルを使用している例と音質レビューです。

電子ピアノYAMAHA"クラビノーバ"の延長継ぎ足し電源ケーブル

YAMAHAクラビノーバの電源ケーブルには、実はより高音質な米国Audio Quest製のオーディオ用単線メガネ電源ケーブルNRG-1(初期型)を使用していますが、長さが1.8mのため、電源ボックスのCSE CX-63Aまで1mほど足りません。ピアノの前に出して足元を這わせれば届くのですが、これでは見た目がよろしくないため、1mの電源スパイスケーブルVFF-2508を継ぎ足す事にしました。
電源スパイスケーブル Sir Tone
結果Audio Quest NRG-1の音質的メリットを大きく損なう事無く、壁際を迂回したスッキリ配線を実現することが出来ました。電源BOXに直接NRG-1を挿した場合にくらべ、音質的にはスパイスケーブル VFF-2508の音色が加味された折衷傾向になります。しかしVFF-2508の個性はNRG-1ほど強くないため、多少撚り線臭さ(滲み感)が混ざるものの、NRG-1の持つタイトでクリアな響きとアメリカンな明るさは維持されています。

ROTEL RDA-06デジタルプリメインアンプ用のC7メガネケーブル

ROTEL RDA-06 デジタルプリメインアンプ用のC7メガネケーブルで、以前はオヤイデ L/i15dpc(1.8m)使っていました。実はRDA-06の直ぐ横に電源BOX J1 project PT-4があり、電源ケーブルが30cmでも足りるため、無駄に長い電源ケーブルは配置上全く不要でした。そこで珍しい50cmの短尺メガネ電源ケーブルがあるSir Tone VFF-2508にリプレイス。この組み合わせの場合、音色の相性面ではL/i15dpcに僅かに及ばないのですけれど、充分に好みの範疇ですし、それよりも配線がゴチャゴチャするのが嫌なのでこれはこれでアリかなと。

スパイスケーブルVFF-2508の音質レビュー

他に2mのC7メガネ電源ケーブルタイプや50cmのスパイスケーブルも所有していますが、箱庭ピュアオーディオらしく音質的な特徴をポエム化して表現すると、あまり機器の音質を邪魔しない端正で整ったニュートラル傾向、強いて云えば音色がほんの少し暗めで微暖色。解像感とトランスペアレンシーの底上げをしつつ、基本は黒子に徹する感じです。多芯線の宿命である滲み感(良く云えば繊細感)が感じられますが、それが良い意味で解像感に繋がっています。あと、初期に買ったC7メガネケーブルタイプは被覆が割と硬かったのですけれど、2度目に購入したVFF-2508スパイスケーブルはかなり柔らかくなっていて音が違う(滝汗)・・・でもこれはSir Toneの中の人が日々研究開発の試行錯誤をされて、音質向上を図った結果だと肯定的に受け止めていますd(^_-)
Sir Tone VFF-2508 C7メガネ型電源ケーブル
VFF-2508は導体も1.25SQと細く、決してパワフル系の音質では無いですけれども、つぎ足しによる無駄な音質劣化を最小限に留めてくれる感じでしょうか。なにぶん低価格なため、ブラグはニッケルメッキが施された一般グレードのモールドプラグであり、メガネ端子も良くある小さくて安価なもの(たぶんマル信無線電機 MI-767D)ですが、ここは自作派の皆さんでしたらFURUTECH等々のハイエンド電源プラグにリプレイスすると化けると思います。ちなみにVFF-2508は元々スピーカーケーブルとしても設計されていたらしく、当初Amazon Sir Toneストア経由で販売されていましたが、そちらは今は出品されていないようです。

PHILIPS FT930 FMチューナー直出し電源コードの継ぎ足し

このほかの用途としてはDVDプレーヤーやBlu-rayレコーダー、そもそも90年代〜2000年代初頭に設計されたオーディオ機器など電源ケーブルが機器直出しで交換不能のケースです。当時は余程の高級機でも無ければオーディオ機器でも安物の産業用電線が使われている事が殆どでしたが、ここに敢えて短いスパイスケーブルを介在させるとどうなるか?実はこの記事を書きながら気づいた話だったりして、思い立ったら吉日、25年ほど前に作られたPHILIPSのチューナーFT930で試してみましたd(^_-) その結果・・・音場空間が広がり、それまでの古めかしい抑圧感から解放されて大正解。見通しが良くなった結果として情報量も格段に増え、新しいニッケルメッキの効果か中高域にも適度な明るさが乗るように。
PHILIPS FT930 fm_am_radiotuner
PHILIPS FT930の直出し電源コードはとても細く、当然オーディオグレードのものではありませんし、ニッケルメッキのプラグは経年劣化で既にくすんでいます。ここに敢えて電源スパイスケーブルVFF-2508を介在させることで、云ってみれば電源フィルターのような効果を聴感上発揮します。これは管理人的にこれまでで最もスパイスケーブルのメリットを感じられ、試してみて大正解でしたd(^_-)

その他、プラズマディスプレイの壁コンセント側でも少し使ってみましたが、画質向上については、輝度・・・白飛び傾向を抑えて観易くする方向性でしょうか。。。発色℃派手とかべったりとか、パキパキ立体感などを積極的に演出してくるタイプでは無さそう。映像機器によってはハマるらしいのでトライ&エラー推奨です。

PCオーディオでPC本体やDAC/アンプ等の電源に継ぎ足して音質向上

長くなりましたので詳細はこちらのページに書きました。

internalSir Tone VFF-2508とPWC-5008をPCオーディオで試してみました♪

VFF-2508電源スパイスケーブルを使うと音質が向上するのか?

これについては、過大表現をしたくないので正直な感想を書きますが、もう完全に比較相手次第だと思います。機器付属のメガネケーブル等、標準的な電源コードからの交換であればほぼ確実に音質向上を狙えそうですし、場合によっては上記のPHILIPS FT930の様に、劇的に良くなるケースがあるかも知れません。実際Twitterではそういった感想を幾度も見かけました。同様に機器直出しケーブルへの継ぎ足しであれば、良い効果を感じ取れるケースが少なく無さそう。

1.5m〜2m/1本の完成品が数千円程度で市販されているオーディオ用に開発された他社製メガネ端子ケーブルが相手の場合はどうでしょう?コスパは良いがSir Ton VFF-2508と他メーカーの製品のどちらが良いかは機器の組み合わせ次第といった感じでしょうか。管理人のようにメガネ型端子の機材を多く所有するユーザーであれば、安価ですので選択肢の一つとして1本持っていても損は無いと思います。


更に高級ケーブルに継ぎ足す場合はどうか?元々3Pプラグが使われている太いオーディオ専用電源ケーブル相手になると流石に厳しい・・・というか逆効果だと思います。これは機器付属のバルクケーブルでも2〜2.5SQくらいの太さのものがあり、中には案外高音質なものがあったりしますので普通に厳しい。実はそういった用途向けに太さ2.5SQのD-on Cu5導体を採用した太いスパイスケーブル5008 2Cが後から出てきました。こちらには継ぎ足し用途だけでは無く、通常の3Pインレットモールドタイプの電源ケーブルもあります。 SUNSHINE SAC REFERENCE1.8と比較したらどうなるのだろう・・・(滝汗)


更に云えば、1本1万円〜以上もするピュアオーディオ用途で開発された電源ケーブルは流石にクラスが違います。このような製品群とガチンコで勝負するのであれば、5.5SQ仕様の極太ケーブルSir Tone PWC-11008等が相応しいでしょう。とは云え細いVFF-2508スパイスケーブルであっても、システムの音が暴れている場合に、整える目的で敢えて継ぎ足して使うテクニックは有り得るかも知れません。定格12A以下であれば、ライブやDTMに於けるレコーディングの微調整用途でも重宝しそうな感じです。
internalSir Tone PWC-11008 電源ケーブルレビュー!これはお薦め♪ ★★★★★


まとめ♪

電源スパイスケーブルをホームオーディオ用途としてみた場合は概ねローエンドシステム向きのアイデアであり、ミドルレンジ〜ハイエンドオーディオ層には無用且つ性能不足と受け取られるかも知れません。しかしながら、電源スパイスケーブルの本分は、高価な電源ケーブルにおいそれと手が出ないバジェットHi-Fi層の潜在ニーズを掴むことです。また上手くハマれば素晴らしい体験が出来るのは必ずしも価格に関係ないこと、その試行錯誤の機会を手軽に得られる点は、他の電源関連アクセサリではなかなか得にくい素晴らしいコストパフォーマンスだと感じました。
+For
 安価で手軽にアクセサリーの面白さを体験出来ます
 これまでに無いアイデアの隙間製品で、色々な場所でお役立ち
 上手く嵌るとコストパフォーマンス最強の音質向上効果
 簡易電源フィルター的な使い方も可能

−Against
 客観的には数千円クラス程度の品質
 どんな条件でも音質が良くなるとは言えない
 音色が少々地味かも
《あくまで管理人の個人的評価です》
《Last modified 2021/03/24》

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