SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8 電源ケーブルをレビューしてみる【前編】

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今回は遅筆の”AUDIO STYLE”にしては珍しく、ディスコンや終了間際の製品ではなく、発売されたばっかりの新製品、普及価格帯電源ケーブルのニューカーマー、サンシャイン ABA SAC REFERENCE1.8のレビューをしてみたいと思います。メーカーサイトはこちら。そういや(有)サンシャイン(ABA)って知名度はそこそこある割に、公式サイトに特定商取引法とか所在地とかな~んも書いてない謎メーカーですねっ…。 ※尚、オーディオマニアの知人から御厚意でお借りしたもので、メーカーのステマでは御座いませんので悪しからず。いつもの如く、云いたい放題の超辛口視点です。

2019年に発売されたSAC REFERENCE1.8ですが、2022年末にモデルチェンジして、より改良高音質化されたSAC-GRANDE 1.8に生まれ変われました。

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サンシャイン ABA SAC REFERENCE1.8

ご覧の通り、見た目は何の変哲も無いモールド仕様のキャブタイヤケーブルです。商品写真で見ると機器付属の電源ケーブルと変わりませんが、これでお値段についてはそれなりと云うこともあり、新製品情報で見たとき少々びっくりしてしまいました。オーディオ用の高級電源ケーブルの価格帯的にはエントリークラスの一つ上、売れ筋価格帯のど真ん中に切り込んで来る形です。

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外観は機器付属品のキャブタイヤケーブルと同じ

この価格帯の電源ケーブルになってくると、大手電材メーカーに生産委託をしたモールドタイプでも外観にはそれなりに豪華な意匠が施されているものも多くなりますし、如何にもオーディオ用らしい、単価の高い電源プラグやインレットを採用し、手作業で組み立て製作された電源ケーブルについても色々と選択肢が出てくるクラスです。

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反面、見た目が機器付属のキャブタイヤケーブルと変わらないタイプの(或いは実際にメーカー製品に付属している)オーディオ用電源ケーブルも近年では相応の需要があり、希望小売価格数千円クラスから、かなりの種類が出揃ってきました。

Sir Tone PWC-5008 ※レビューあり
KOJO Medusa
AT-PC600 / AT-PC1000
AIRBOW KDK-OFC
KRIPTON PC-5
NUDE CABLE(ヌードケーブル) D-TUNE
SAEC PL-3800
Fundamental RPC10
LUXMAN JPA-10000i / JPA-15000
Accuphase APL-1

こんな感じで調べてみるとかなりの製品数だったりします。この中でもSUNSHINE SAC REFERENCE 1.8は、見た目は付属品系のオーディオ用電源ケーブルの中でも、お高い方の製品にターゲットを合わせてきた感じでしょうか?

正直なところ、1万円越えの電源ケーブルになると、個人的にはどうしてもある程度の「それらしい」豪華さを求めてしまう自分がいたりして、見た目が付属品と変わらないと云うのはかえって手が出しにくいかも・・・な~んて感じてしまったりする訳です。その割にこの手のお値段は高いのに何の変哲も無い電源ケーブルに需要があるところを観ると、家族の目もあってオーディオ機器にあまり手を入れられない方々でもひっそりとグレードアップが図れる点が好まれ、むしろ見た目が機器付属の標準ケーブルと変わらない点が逆にメリットになっているのではないかと、前向きに捉えてみたりd(^_-)

ABA SAC REFERENCE 1.8

現物を手にしてみると、タフピッチ銅を使った機器付属のキャブタイヤケーブルに比べてかなり柔らかくふにゃふにゃ。お陰で機器の背面にクリアランスが取れないセッティングの場合でも余裕で配線可能です。シースも艶消しでダークグレイ(ほぼ黒に近い)で、実物の醸し出す雰囲気は微妙に機器付属品ケーブルとは異なるものだったりします。プラグはモールドで3P。導体のスケアやプラグ/インレット回りのスペックについては触れられていませんが、裏を返せばごく一般的な黄銅ニッケルメッキと思われます。世界一簡素なパッケージ云々と謳われていますが、単にビニール袋に入れてホチキスで封をしているだけ的な高級電源ケーブルも巷に色々ありますのでこれは大袈裟かなぁ(^-^;) それより小さな紙箱に詰めているお陰で、最初曲げ癖が付いてしまっているのは少しばかり気になりました。ただ、導体がとても柔らかいですので、この曲げ癖は何度か抜き差しや組み替えをしている間に自然に取れてくると思います。

説明書 SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8

簡単な説明書が付属していて、「本製品は原価率が非常に高い=同じ素材と導体で、他の大メーカーが作れば数十万円します、それをその素材の発信源?の会社が大量に作って見栄えも最低限にして原価を落としたのが本製品です」等々と書かれています。なんと云いますか色々な意味で凄いです(@_@;)

3Pプラグ仕様の扱い方について

海外製のオーディオ機器ではおなじみですが、SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8のACプラグはアース線込みの3Pタイプ。ここは2Pが多い国産製品の付属品とは違うところ。尚、日本国内の家庭で一般的な2P壁コンセントで3Pプラグが挿さらない場合、壁コンセントをホームセンターで500円程度で市販されているPanasonic等の3Pタイプの医療用壁コンセントに交換依頼するか、中央のアース端子が手ペンチで簡単に折れる(実は素手でも簡単に折れる)事などが書かれています。

Panasonic WN1512K 壁コンセント

Panasonic製で安価な医療用コンセントとなるとWF3003が無難なところでしょうか。他にも明工社 ME2817やアメリカン電機の7110GD/7210GDあたりがオーディオ用コンセントのベースモデルとしても採用実績が多く無難だと思います。※コンセントプレートの交換が必要になりますが、個人的には国内では一般的な形状のWN1512K等の長方形コンセントより、楕円が二つ並ぶアメリカUL規格タイプの壁コンセントの方が、音質的に有利なものが多いと感じます。

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電源プラグのセンターピンが素手でも折れるのは初耳でしたが、お値段がお値段ですし、リセールを考えると折れと言われても折るのは流石に躊躇してしまいますよね・・・(滝汗) 管理人宅の場合は、非オーディオ系含めて自宅内のほぼ全てが医療用orオーディオ専用設計の3Pコンセントに置き換わっていますので、ここは3Pプラグでも特に問題なかったりします。ちなみに3P→2Pの変換アダプタを咬ませる方法もあるにはありますけれど、音質的にケーブルのクオリティを毀損してしまう為正直あまりお薦めしません。どうしても壁コンセントの交換が出来ない環境の場合、ORB HP-32Pを使われると一般的な変換アダプタよりは比較的マシになると思います。

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DIP FORMING製法:製造元の極東電線工業とTIGLONの上位モデル

SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8の製品製造元は極東電線工業。柔軟なスーパーフレックスVVCやVCTFを造っているメーカーです。特注仕様とは云え単なるノンシールドのキャブタイヤケーブルです。それがどうしてこんなお値段になるのか?いつものオーディオ製品ボッタクリ疑惑が頭をもたげてくるわけですけれども、線材に通常はコストが高くなるために使われないDIP FORMINGシステムで製造されたDP-OFCを採用し、更にHES処理を施している点がポイント。OFC無酸素銅のDIP FORMING製法は元々米国のGE(ゼネラルエレクトリック)が開発した技術で、パテントと製造機を持つ昭和電線に実は昔からある枯れた産業用電線の製造技術です。ただあまりオーディオ用途で使われている話は訊かず、最近やっと高級オーディオ用に転用されるケースがちらほら出始めていますが、まだDIP FORMING線材の採用を謳う電源ケーブルについては、TiGLON MGL-DFA10-HSEなど、極一部のハイエンドケーブルに限られています。

加えてHSE処理も同様に先行してティグロンの電源ケーブルで使われている技術で、海外製の画期的なケーブル音質改善装置「HSE」を使用しているとのこと。HSEことハイパー・サチュレーテッド・エナジャイザーの詳細は非公開で不明なのですけれども、電流を飽和させて活性化する等々との事でPhile-webのレポートでもその絶大な効果が評論家諸氏によって確認されています。サンシャイン ABA SAC REFERENCE 1.8は、TIGLONのハイエンド電源ケーブルの姉妹的な、コストダウン廉価バージョンと見做すことも出来そうな雰囲気。

バーンイン込みでサブシステムAでのテスト開始 / vs FURUTECH The Astoria

技術的な能書きはこれくらいにして、ここからは肝心の音質レポートです。まずは暫定でROTEL RDA-06を入れているサブシステムAでのテストから。壁コンセントと電源BOXCSE CX-63Aの間に繋がれているFURUTECH The Astoriaを、SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8に置き換えてみます。

internalFURUTECH The Astoria PC-Triple C 電源ケーブル購入レビュー♪

かたや最新の3.5スケアPC-TripleC導体に高級プラグとインレットを採用し、手作業で組み立てられたThe Astoria。対して非常に地味な見た目のSAC REFERENCE 1.8ですが、価格帯的にはほぼ同クラス対決。CSE CX-63AにはサブシステムAの機器全てと、サブシステムMの真空管デジタルアンプMiuaudio MKTP-2がPAD AC-IOTA(工事中)を介して繋がっています。

SAC REFERENCE 1.8 CSE cx-63a

ちなみに、SAC REFERENCE 1.8はバーンインにそれなりに時間の掛かるタイプの電源ケーブルの様で、これから書く音質になるまでには100時間ほどかかりました。新品当初はレンジの広がりが甘く、当たりが柔らかく僅かにウォームで耳当たりの穏やかな音がしていたのですけれど、最初の100時間で徐々に上下のレンジが伸びていき、高解像度系のシャープでクールな音質に変貌していきます。

FURUTECH The Astoria SAC REFERENCE 1.8

まず一聴して感じるThe Astoriaとの違いは、フラットな出音である点です。より解像度が高く、音像の輪郭線と残響が少々エレクトリカルにエンハンスされる傾向。レンジが上下にすーっと伸びています。描写としては線が細く表現は大人しめで、詳細だけれど繊細で上品な鳴り方。立ち上がりが早く、S/Nが良く、音量が一段下がって聴こえるイメージでしょうか。密度を強調したような押しつけがましい傾向が無く、一音一音が良くほぐれているのも特徴です。メッキ線やメッキプラグのような明るさや艶が乗らないため、音色の傾向としてはやや暗く、またクールな傾向の雰囲気になります。各楽器の描写はしなやかでキレが良く、良くある多芯線的な滲みを感じるサウンドでもあるのですが、逆に云うと音場空間にちりばめられる詳細な微小情報を感じる繊細な音は、満天の星の元、秋の夜道を歩くような雰囲気です(ぽえむ♪)

MiuaudioのサブシステムMで

このシステムの場合、CX-63Aから電源を取っているのは真空管プリアンプ×デジタルパワーアンプのMiuaudio MKTP-2のみですが、こちらもSAC REFERENCE 1.8はフラット傾向で詳細で解像度が高く、情報量豊富なサウンド傾向に。喩えるならエレクトロスタテック的な繊細感です。輪郭線が繊細に描かれ、帯域展開は上下にフラット。中高域の抜けが良く、低域はフラットに沈み込みます。中央定位はThe Astoriaよりも細身で腰高ですが、ヴァイオリンはより上に、ピアノの左手はより下に沈み込む感覚で、レンジが上下に拡大される印象。

Miuaudio MKTP-2

こちらも多芯撚り線的な音像の滲み感がありますが、オーケストラの弦楽器の分解能が高く、これが弦楽器の倍音をリアルに描写する方向に。The Astoriaに比べて中域の張り出しが引っ込むため、少々ボリューム感が落ち、タイムアライメントが揃って聴こえます。S/Nも良好。音楽がそれほど積極的に前に出てくるわけでは無く、どちらかと云えば引き算的な印象の音質でしょうか。レンジは広いがドンシャリ的な強調感は無く、解像度が高い割に耳当たりは穏やでしなやかなサウンド。SAC REFERENCE 1.8は色々な意味で余計な誇張感が無く誠実な印象です。

SUNSHINE SAC REFERENCE 1.8からFURUTECH The Astoriaに戻す

数日通電した後、元の状態に戻してみます。フラット且つ詳細で仄かな暗さのあるSAC REFERENCE 1.8に比べて、The Astoriaの音は中域を中心に音が前に出てきて溌剌とした明るく元気な鳴り方です。繊細で細身だったサウンドにおおらかな太さと密度感が生まれ、特にアコースティック楽器の質感がより生々しく描写されます。距離感が変わるため、コンサートホールの最前列で聴く生演奏の雰囲気に近いですね。オーケストラの各楽器の分解能と弦楽器の倍音の詳細さではSUNSHINE SAC REFERENCE 1.8の方が優れていますが、オーケストレーションの渾然一体としたハーモニーと、ピアノや木管楽器の生々しさではThe Astoriaに軍配。分解能、情報量、S/N、上下のレンジのフラットな伸びと云ったオーディオ的な音質指標ではABA SAC REFERENCE 1.8の音質がThe Astoriaを上回っている部分もありますが、活き活きとした音楽性と生々しさの面ではThe Astoriaにより魅力を感じます。どちらが良いかはシステムとの相性と個人の好みで変わってくると思いますが、”AUDIO STYLE”管理人がサブシステムAとMに限定する限りに於いて、FURUTECH The Astoriaに軍配です。

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長くなりましたので一旦折り返します。後編のレビューはメインシステムでのテスト~サブシステムCでのテストです。

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