CREEKのサウンド・・・それは高い音楽性と音楽への理解に裏打ちされた節度ある音質とでも云いましょうか、TAG McLaren/AUDIOLABARCAM"アーカム"程グローバル且つ現代的なハイファイを狙ったサウンドでは無く、かといってその音楽表現はミュージカルフィデリティの歌心を前面に押し出した艶っぽさとも違った・・・

・・・・・節度ある中庸を心得た大人のバランス・・・・・

とでも形容しましょうか・・・。上質なスコッチウィスキーの甘さと辛さが混ざり合ったような、デリケートだけれど神経質すぎない暖かさと冷たさ、ほの暗さの中の光の陰影を表現出来る、英国紳士の伝統的な節度と品位を感じさせる味わい深い音、それがクリークのサウンドです。

クリークA50i私がクリークの作品と店頭で最初に出会ったのは、プリメインアンプの4040S3とCDプレーヤーのCD60でした。ちょっとした出窓にも置けてしまう、たった23センチの奥行きの薄型筐体・・・艶消し黒のケースにグリーンのロゴが浮き立つ、シックで控えめなプリメインアンプ・・・当時(黎明期)のクリークの音はとても闊達で暖かい音色で、英国的な渋い色彩の中に溢れ出すそのホットな音楽表現と、国産製品とはまるで違ったリアルな音場表現に、それまで国産のベストバイ製品しか知らなかった私は大変な衝撃を受けたものです。その音楽表現力の高さは当時のライバル機Aura(オーラデザイン)のVA50/VA100に拮抗凌駕するレベル、Auraの音色が万人受けする色付けの少ない水銀灯の光だとすると、クリークはランプの灯火を想わせるヨーロピアンテイスト溢れる対照的な色彩。両方ともそれぞれ魅力的な音色で捨て難く、その当時はAuraとCREEKのどちらを選ぶべきかとても悩んだのが思い出されます。

キャッスル_リッチモンドティーンエイジャーの学生風情が各地の店頭でご迷惑をかけまくりながら散々オーディションを繰り返した挙げ句、当時国内でも売られていたイギリスCASTLE(キャッスル)のスピーカーIsisやDurham900との相性の良さに惹かれ、私がはじめて手にした海外製のプリメインアンプは最終的に"クリーク4240"となったのでした。

CREEK4240は初代4040シリーズから初めて大きくモデファイされた当時の新ラインナップのプリメインアンプで、音質面も暖かさや闊達さが前面に出たものから進化し、更に純度と奥ゆかしい品位を獲得する事になります。今あるCREEK製品の音質はこれをベースに時代と共にドライブ力やハイファイ性を進化させた感じでしょうか。。。外観は90年代から殆ど変わらず当時のフロントパネルのままですが、ブラック&グリーンロゴに加えて新たにシルバーフェイスのモデルが発売され、それ以降日本国内ではシルバーモデルのみの取り扱いとなっています。個人的にはグリーンのロゴが浮き立つブラックフェイスの方が好みだったりしますが・・・(^^; (注:日本国外ではオリジナルカラーのブラック仕様も販売されています。)
CREEK_5150SE
4240の内部回路は現行の50××シリーズと比較しても異常な程シンプル(部品点数が数えられるくらい)で、小さな筐体にもかかわらず内部にはかなり余白スペースがあり、それでいて数倍の重量と容積のあONKYO A-917を軽く凌駕するドライブ力が秘められていることに当時の私はショックを受けたのです。
onkyo a-917
CREEK 4240は小音量でもステージの見通しの良いピュアな音質で、それまで私が雑誌評価を信じて購入し使っていたA-917は比較すると音が前に出てくるだけでドロドロにぼやけた見通しの悪い音に聞こえました。

今から10年以上前・・・この当時のオーディオはまだ日本製の超弩級大型アンプが全盛の時代で、Naim(ネイム・オーディオ)/QUAD(クォード)/EMF(CREEKの上位ブランド)/LINX(リンクス/Wharfedale"ワーフェデール"のオーディオコンポーネント部門)/ARCAM"アーカム"/Musical Fidelity"ミュージカル・フィデリティ"等々、薄型で実用的なデザインのイギリス製アンプが日本市場でそれほど評価されておらず、オーディオ雑誌の誌面等で国産機と比較した不当に低い点数評価を読んでは勝手に怒りを覚えていたものです・・・(笑) 今でしたら大人の事情まで深読みしてこその雑誌批評ですが、書いてある事をありのままに信じてしまう中学生には流石に荷が重いですよね♪
CREEK_4330プリメインアンプ
《↑画像はクリーク4330の内部。先代のCREEK4240&4240SEは中央の電解コンデンサーが2つで更にシンプルでした。》

クリークの歴代プリメインアンプの隠れた美点として、ヘッドホン端子の音質がとても良い点が挙げられます(注:特に4240)。まるでコンサートホールにトリップしたかのような不思議な程リアルな音質で、そこらの単体ヘッドホンアンプよりも遥かに出来が良いのです。当時私はこのアンプに、伝説的なフィリップスのポータブルCDプレーヤー"PHILIPS AZ6829"を繋げて聴いていたのですが、これら2台は同じ暖色系のヨーロピアンサウンドで音質傾向が近く、大変音楽表現力の高い組み合わせでした。出来ることなら4240のphono boardスペースにそのままAZ6829の回路と電源とドライブメカを納め、チューナーのCREEK T40(筐体はアンプと一緒ですが内部回路は名刺サイズw)も組み込んで1つの筐体に出来たら・・・などと未だに考えてしまいます。もし実現出来れば英国L社の某有名一体型を確実に超えられる自信があります(爆)
CREEK OBH-21ヘッドホンアンプ

CREEKにはOBHシリーズと呼ばれる、ヘッドホンアンプやDAC、パッシブプリアンプ、フォノイコライザーなどの、いかにも英国的な遊びを感じさせる手のひらサイズの超コンパクトオーディオがあります。ミニサイズとはいえその品位は驚くべきもので、その音を一度聴いてしまうと巨大なサイズや重厚な回路は一体何の為にあるのだろうか?と、オーディオに対する従来の考え方の誤りを認識せずにはいられない筈です。

CREEKの製品は一連のOBHシリーズのみならず、幅42cmレギュラーサイズのラインナップも含めシンプルイズベスト。ストレートで鮮度の高い音質の為にいかに部品点数を減らせるか・・・これらが見事に具現化されているのです。もうその部品の少なさと回路のシンプルさはそこらのミニコンポ未満、しかも使われている部品もありきたりで決して格別に高価なものではありません。それでいて音質は大きくて重い国産製品を遥かに凌駕するレベルの品位なのです。しかも音作りにおいて単に高純度ストレートな味気ない音ではなく、しっかりとクリーク流のサウンドテイスト・・・深みあるヨーロピアントーンをベースにどんな録音の音源でも得手不得手なく鳴らす事が出来る懐の深い対応力を備えています。ピュアオーディオの音楽再生機としてハイファイ性を剥き出しにせず、一歩退いて整った中庸のバランス感覚が息づいていて、音楽愛好家にとって非常に実用性の高い製品に仕上がっている点こそがCREEKの唯一無二の美点だと思うのです。

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オーディオ的なこけおどしの高音質や本質の欠如した快楽に惑わされず、本当の意味で音楽とは何かを知っている人にこそお薦めしたい・・・それがCREEKブランドのオーディオ製品なのです。《2011/06:リンク本文修正》

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