アレクサンダー・ガジェヴAlexander Gadjiev(アレクサンダー・ガジェヴ)は2015年の第9回浜松国際ピアノコンクールに優勝したことで脚光を浴びているピアニスト。1994年イタリア生まれで若干24歳の若さながら、割とイケメン風な銀髪にメガネの風貌は大人っぽく、プロフェッサーといった印象。若いのに髪が銀髪紳士なので実際の年齢よりもパッと見かなり大人っぽく見えます(良〜く見ると若い)。そういや名前がこれなので、最初ロシア系なのかと思ってたらイタリア人(スロベニア系)でした(滝汗)

横浜にあるフィリアホールでの本日のプログラムはバッハ=ブゾーニ編曲のトッカータ、アダージョとフーガ。BWV564とシマノフスキのメトープよりセイレーンの島とカリプソの2曲。ブゾーニ編のトッカータとアダージョとフーガはエフゲニー・キーシンの演奏で覚えていたのですが、これまた随分と違った解釈。明るい音色でリズム感も良いのですが、ことさらメリハリを主張する弾き方では無く、ペダルを多用した自然な流れの柔らかい演奏。フーガの盛り上がりは圧巻でしたが、この速さと弾き方は演奏難度高そうね(@_@;) シマノフスキのメトープは色彩感豊か。曲が頭に入ってないのが悔やまれる。当初演奏される予定だったスクリャービンの5つの前奏曲op.16については、良く知られたショパンの夜想曲13番に変更になっていましたが、夜想曲も抑制からの後半に向かったダイナミクスとコントラストが利いていて、良く考えられた演奏です。
    
圧巻はショパンの12のエチュード作品25で、まぁ良く指が回る回る・・・。どこまでも柔らかくほぐれたエオリアンハープに始まり、全ての曲が技巧的に極めて高いレベルにあるのみならず、細部の解釈についてもよく考え抜かれていて、かといって7番に於ける抑制された内向的表現力の高さとロマンティシズム溢れる美しさにも引き込まれます。リズミカルな蝶々は何処までも軽く柔らかく、木枯らしのエチュードのスピード感ある推進力を伴いながらも粗さを見せないクールで洗練されたダイナミズムと説得力、意識された抑制からの解放に向かう音色の変化とダイナミクスが素晴らしい大洋のエチュード・・・単に技巧面で優れているだけで無く、しっかりとしたリズム感に支えられた音楽的な表現力もなかなか高く、更にピアニッシモから強力なフォルテッシモまでの解釈が細部まで知的に練り込まれていて、最後まで飽きさせない新鮮な練習曲集op.25でした。


プログラムの全体的にどの曲も、肩のほぐれた柔らかい音色が特徴で、洗練された明るい水彩画のように描写されていきます。これだけではマルク=アンドレ・アムランのような指がほぐれ過ぎる類いのピアニストで、音楽の核心を捉えるという面では些か指が回りすぎてどうかな?と思わなくも無いのですけれど、ガジェヴの場合は、内向的な表現力にも長けている上に、音の核心を捉える素のリズム感が備わっていて要所要所で演奏に核心をもたらすため、単に輪郭の甘いさらさらとした演奏に留まらないところに魅力を感じます。


アレクサンダー・ガジェヴは現時点でリリースしているソロアルバムは、リストのペトラルカのソネットとシューマンのクライスレリアーナをカップリングした一枚のみ。このレベルの若手ピアニストでもコンクールでの成績を含めて現代では微妙な立ち位置だったりしますけれど、技巧的に最早、とてもじゃないけど真似できない水準で、近年のコンクール現役世代が弾く若手ピアニストのショパンのエチュードは、ここまで凄いのかと正直面食らいました。orz


浜松国際ピアノコンクールといえば昨年直木賞を受賞した恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」。小説のベースは第4回から7回までの取材らしいのでアレクサンダー・ガジェヴ君より少し前の世代ですが、ピアノ好きは読んでおきませう♪


尚、アンコールはドビュッシーの12の練習曲から11番"組み合わされたアルペッジョのために"でした。割高なので会場でCDは購入せず(気恥ずかしくてサイン会には並べない人・・・)。サンプル音源はAllMusicで確認していて、正直クライスレリアーナが清廉にソフィスティケートされすぎていてあんまりピンと来てなかったのですが、帰ってから再び聴き返してみると意図が解っておお!ってなりますね。と云うことで今更カートに(^^;)。もし彼のショパンのエチュード集が出て録音も良ければ是非購入したいです。

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