ARCAM(アーカム)は1972年に英国ケンブリッジに誕生したイギリスで最もメジャーなオーディオ・ビジュアル機器専業メーカーです。エントリークラスからミドルクラスにかけてプリメインアンプとCDプレーヤーを中心に多くの機種を抱え、イギリスで売れるCDプレーヤーの2台に1台はARCAMと呼ばれる程、本国ではコンシューマ向けオーディオ市場に於いて確固たる地位を築いています。日本国内でも数年前から大手オーディオメーカーDENON(デノンラボ)が輸入代理店を努めることで本国との価格差が縮まり、近年では家電量販店などの店頭でも時折見かけるようになりました。※デノンラボは2008年にARCAMとInfinityの輸入代理店業務から撤退しました。
ARCAM A90
アーカム製品の魅力は何と言ってもオーディオ機器としての機械的な自己主張が少ない点です。家具としてスムーズに部屋に溶け込みやすいシンプルでモダンなスタイリングと誰にでも使いやすい快適な操作感、国産機とも肩を並べる手ごろな価格でありながら、ミニコンポでは無く、あくまでピュアオーディオとしての十分なクオリティを感じさせる音質と、優れた感性に裏付けられた音楽性の高さが、高次元でバランスしているのがARCAMの魅力です。

A-1VL&DIVACD72T
ホワイトシルバーを基調にした現行デザインのアーカムは、オーディオ的な作為を感じさせないプレーンで素直な音質が持ち味。個々のCDに録音されている情報を、多くのピュアオーディオ機器にありがちな機器の作り手側の思い入れという色付けや個性的なバイアスをかける事無く、ありのままの姿を素直に引き出してくれる点が特徴と云えるでしょう。それ故に表面的な音質面でどうかとなると、格別ワイドレンジ、高情報量といったHi-Fi性を強調するタイプではなく、分解能、実体感、パワーハンドリング、レンジ感など全てが程々にまとまっていて、虫眼鏡でえぐり出すかの如くオーディオマニア的な聴き方をした場合には、ややもすると喰い足りない印象が残ってしまうかも知れません。
アーカム_ピュアオーディオ
筐体の薄さや軽さも、全体に薄味で穏やかさを伴うやや軽い傾向の音質に拍車をかけているきらいがあり(低価格機種になる程この傾向が目立ってきます)、この点は代理店であるDENON製品の日本的でワイドレンジで重い音調とは180度異なるのが興味深いところです。しかし、押しつけがましさのない穏やかで豊かな音場の広がり方や、長時間聴き続けても違和感を感じない耳当たりの優しさ、CDに刻まれた情報を過不足無く引き出す自然なバランス感覚は、オーディオマニアとしてではなく音楽ファンの再生装置として捉えた場合、これ以上他に何か必要でしょうか?と思わせてしまう懐の深さがあるのも事実です。

こういった書き方をすると、アーカムの音質は悪いのではと誤解されるかも知れません。しかしそれは大きな間違いです。オーディオ的な高音質を敢えて強調しない=低音質ではありません。多くの人々が高音質を楽しめるようエントリークラスにもラインナップを広げている為、音質面で他社上位クラスと比較されて低い評価を受ける傾向があるようですが、ARCAM本来のリファレンスモデルであるFMJシリーズに目を向けてみると、実はミドルクラスの英国系箱庭システムの中でもトップクラスの音質を備えています。FMJシリーズの広い音場感を伴う現代的な再現性は、管理人が使っているTAG McLaren F3 60iと比べても互角以上のクオリティが確保されており、良いライバル関係にあると感じます。
arcam_dvdplayer
特に、現行CDプレーヤーFMJ CD33Tの先代機種にあたるFMJ CD23Tは、ハイエンド製品で名高い英国dCSと共同開発した24bit Ring DACを搭載し、その音楽性豊かで暖かみのある音色は、イギリス製品の質を理解する音楽愛好家の間で根強いファンを獲得しています。(2008/1追記:最新の後継モデルdCSチップでは無くWolfson WM8740を採用したFMJ-CD36Tになります。)
ARCAM FMJ CD33T
アーカムは音楽の持つ楽しさ、表現をスポイルしません。音質を誇張してリスナーの耳を機器の"音質"に向けさせるのではなく、聞き手がいつのまにか音楽に聴き入ってしまう誠実な質感が持ち味です。その意味で、オーディオ機器はあくまで"音楽再生"為の道具に徹すべきという、再生装置が本来そうあってしかるべき姿に忠実なのです。ARCAMというメーカーは、音楽性をスポイルしない上質で血の通った再生機を、偏った趣向のオーディオマニアに限らず全世界の音楽ファン一般に向けて、広く普及させることをポリシーとしているように感じます。ですから音質がどう?とか、オーディオ的にどう?とか、やれオーディオケーブルオーディオアクセサリだといったマニアックな視点ではなく、ライフスタイルの中に真のポリシーや美学を求める上質で洗練された価値観を持つ人々に向けてお薦めしたいブランド、それがARCAMなのです。
アーカムsolo
こちらは本国で発売されているアンプチューナーCDP一体型レシーバーであるARCAMの新型"SOLO"@1000£ですが、デノンラボさん国内販売する気は無いのでしょうか?ずばり20万円くらいで(爆) チューナーボードはデノンさんでしたら容易に日本仕様に出来るでしょうし。例えばLINN CLASSIK MUSICと比較したい!って人々は沢山いらっしゃると思います♪(2008/1追記:あっさり日本でも発売されました!) ARCAM SOLO(ソロ)を店頭で試聴してみましたが、近年のアーカムサウンドを踏襲するあっさりとしたクセのない大人しめの音色で、音場がふわりと素直に出るタイプです。一体型システムで若干アンプのドライブ力に若干不安はありますが、クセのあるスピーカーと組み合わせるよりも、能率が高めで素直な音色のスピーカーと組み合わせて程々の音量で楽しむのに向いたシステムです。SOLOもARCAMらしく音楽に変な味付けを加えませんので広く音楽ファンに使ってもらいたい逸品です♪

arcam_alpha5plus余談ですが、管理人が最初にARCAMの製品を手にしたのは10年程前に遡ります。Alpha5plus(α5plus)という、当時アーカムがこだわっていたマルチビットと1ビットのハイブリッド型D/Aコンバーターと、PHILIPSのダイキャスト製スイングアームメカ"CDM9"を搭載したCDプレーヤーです。この当時のARCAMのサウンドは現行アーカムとはまるで音調が異なり、とにかく元気が良く、音像がクリアに描かれ、ともすると下世話な感じで、ブリティッシュロックのライブ再現の為だけにあるといっても過言ではないような独特の歌い回しと再現性は、クラシック系リスナーである僕には正直なところ手に負えないシロモノでした(滝汗) 逆に言えば、ARCAM α5plusの音質を気に入った御仁には他では絶対に代用出来ないリアリティと存在感のあるCDプレーヤーだったと思います。アーカムは、80年代、90年代、2000年と外観変更の度に音調もガラリと変わっており、現代ARCAMの万人受けする個性の少なさは、当時の音質を考えるとずいぶんと様変わりした様に感じています。
《Last modified 2009/03,2019/3/29》

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