えー、転んでもただでは起きぬがモットーの箱庭管理人としては、Nakamichiを手放して手ぶらで帰るのは(売ってくれたお店にも悪いし〜)気が引ける・・・そこで何か代わりに使えるものはないかと他の出物を見渡したところ、2〜3年ほど前に売られていた PIONEERのDVDプレーヤーiconDV-545を発見。丁度親が冬ソナDVD再生機を欲しがっていたのもあり、返品代わりにこちらを買って参りました。
545


実はこれ、DVDプレーヤーを持っていなかった4年前、とても欲しかったんですよね。なんでも、当時世界最薄高さ55mmの薄型筐体。実売価格は2〜2.5万程度、この手のラックの隙間サイズの安物DVDの先駆けとして、画質もなかなか評判が良く、それ以上に、一部では"音質が良い"と評判になっていた製品です。この当時の"音が良い"という噂に惹かれて買おうか凄く悩んだですが、DVD-RAMが再生できなかった事もあり、結局買わずにいたものです。販売期間が短かったためか、ネットで検索してもレビューが殆ど出てきません。特に、音質に注目したものはほとんど無いに等しい感じです。

当日のオーディオアクセサリ誌102号に、ピュア製品以外としては異例の抜擢レビューが載っていまして、その記事を抜粋無断転載します。(バックナンバーが手に入らないので時効ですよね?駄目だったら消します。)

"CDプレーヤーは専用型はやめた。パイオニアのDVDプレーヤーDV-545を代用する。DVDビデオ機能はもとより、CD系はCD-R、RW、MP3にも対応。DVDビデオのリニアPCMの音、CD系の再生クオリティも優秀。感心したのはDVDビデオのリニアPCMでのクオリティ。実にスムーズ且つウェルバランス、CD再生の微小レベルをチェックした所-60dB/-80dB共に良好。その水準は同価格帯に属するCD専用プレーヤーに勝るとも劣らない。マニアの多くは複合型プレーヤーの限界を語ることが多いが、技術水準は正しく日進月歩。かつての困難を着実に克服している・・・"

と、なかなか期待させる内容の記事であります。

実際に手に取ってみると高さ55mmという以上に奥行きも28cmしか無く本当に小さいです。重量も2.5圈∩犧逎椒織鵑鮨┐襪批体が動いてしまうくらいで、めちゃくちゃ軽量です(^^;でも、うさぎ小屋で箱庭的ちひさきものを愛でる私にとりましては、この小ささがイイ!のです。デザインは見ての通り。なかなかバランスの取れたシンプルなものです。

さて、普段15万クラスのCDP、CECのTL5100Ziconを繋げているサブシステムに繋げてみます。出てきた音ですが、もう最初の3秒で、おおっ!これは!って感じ(笑)掛け値無しに音良いですよ、これ。価格を考えたら小躍りしたくなるレベルです(@o@;)今も、後ろで演奏しているのですが、私に大きな不満を感じさせないのは凄い!まず、基本的な情報量がちゃんと確保されている。ポップスの録音の音の仕掛けとか、クラシックでのビブラートをこのクラスのCDPでこれだけクッキリと聴かせるのは、少なくとも私が聴いたことのあるエントリークラスのモデルでは殆ど無かったと思います。これもやっぱり世代差、デジタル変換精度の進歩なのでしょうか・・・?

普及価格帯のピュアオーディオCDプレーヤーやハイコンポの単体CDPの場合、音作りの面から、色付けやバランスを工夫して上手くまとめて聴かせるけれど、聞き込むと質的にはどうなん?というモデルが多いと思いますが、DV-545は音作りの面からは素直すぎてやや味気ないですが、その分色付け感が少なく、無色透明に近い鮮度の高い音質が得られ、誤魔化しのないしっかりした情報量が確保されていて非常に好感が持てます。

実はもっとパイオニア的な翳りのある瑞々しい端正な音を予想していたのですが、これには大きく裏切られました。とても素直で動的な明るく屈託のない鳴り方です。ストレートで直線的な発音ですので、しなやかさや艶めかしさの表現にはやや欠けるのですが、高域方向は伸びている割に歪み感が少なく、基本情報量が多いので、ちょっと一工夫加えれば化けそうな素性の良さを感じます。

聴感f特のバランスは筐体の軽さもあるのかやや中高域が強い感じです。低音が弱いというより、全体にやや軽い感じです。ただ、音の密度感、スピード感、帯域の押し出しがしっかりしているので、音楽表現はなかなかスケールの大きなものです。箱に似合わずちょっとびっくりです。これは、テレビ・・・もとい小型SPをスケール大きく鳴らすのに適した音作りなのでしょうか?

敢えて癖を探すとなると、弦やピアノ、女性ボーカルの質感に、少々ビニール臭いタッチがちらほらと垣間見えることですね。これは、以前に所有していたPIONEERのPDR-D5iconも同じ感じでしたので、搭載しているD/Aコンバータの癖かも知れません。まぁ、単体CDPでもこのクラスはこれ以上にアレな感じが多いので、問題無いレベルでしょう。こういった部分が、クラシックでは少々表面的で深みが足りない印象にも繋がりますが、逆に邦楽ポップス、アニソン、ロック系では音色傾向と元気の良さがピッタリ合う感じで、台詞や音楽の美味しい帯域が明瞭に聞こえ、歪み感が少なく、音場の定位とフォーカスが取れていることもあり、これ以上は敢えて必要ないのではと思わせるくらい十分なクオリティを感じます。

音の軽さを改善しようと思い、試しに重いTL5100Ziconを乗せてみたところ・・・確かにある程度音の骨格はしっかりしますが、逆に面白味のない普通の音になります。どうやらこの機種もコンパクトで軽いことが音楽性に繋がっている感じです。

こう書くと、やっぱり安物?って印象を持たれるかも知れませんが、解像感、音像のフォーカスと骨格、透明な音場、スケール感、残響の消え際など、他のエントリークラスには少ない"必要なものがちゃんと出ていて聞こえる"良さがあるのです。普及価格帯の、メーカーのキャラクター的色付けで音を誤魔化した中途半端なプレーヤーを買うより、デジタル出力はこの機種で当面納得し、アンプとスピーカー/ケーブルに資金を振り分けた方が、同じ予算でも出てくる音の品位はずっと高いレベルが得られると思います。

さてDV-545ですが、この素直な情報量と素性の良さを上記のように引き出すには、やはりそれなりの工夫が必要になります。クッキリハッキリしていて素性は良いのですが、そのままでは、ちょっとバランスが上寄りで音色の深みが足りません。この機種の潜在能力を評価するためには、まず、付属のピンケーブルとかではダメ。手元ににある単品売りのRCAケーブルをいくつか試したところ、一番相性が良かったのがMarkLevinson氏の作ったRed Rose Musicの1934です。若干、本体より高くなってしまいますが・・・(爆)注:こちらも既に製造終了品です。
1934





1934の静かで繊細な音色がDV-545のややもすると動的すぎる部分を整え、このケーブルの静電型SPをおもわせる高域に向かっての繊細な解像感と、DV-545の持つ解像度が上手くマッチし、クラシックにもマッチした、とてもこの価格クラスとは思えないクリアで格調高い音質が得られます。Red Rose Music1934はやたらと相手を選ぶシビアなケーブルで、少しでも歪み感が内在する機器と繋げた場合、その歪みをエフェクトのように増幅して、とてもまともには聴いていられない酷い音になる(低価格機ではその方が多い)のですが、DV545では全く問題無いところを見ても、このプレーヤーの基本性能の優秀さが判ります。このケーブルでなくても、MITiconなど高品位なケーブルを繋ぐことで、DV545の潜在能力が引き出されますので、少なくとも本体と同価格(爆)くらいのケーブルを繋げてから、ポテンシャルを判断してもいいと思います。

あとは、メガネ型電源ケーブルの交換です。付属品でもものによって音(映像も)が違います。現在は相性で東芝のRD-XS40付属のものを挿しているのですが、極性でも印象が違いますし、これをより高品位なものにすることで、低域方向により深く安定した音色を得ることが出来そうです。

今回は、払った金額(中古なので実売の1/3)も含めて本当に良い買い物が出来ました(^^)。コンパクトで邪魔にならないサイズですし、DVDプレーヤーとして潰しがきくのも○。この音質でしたら、CD-R製作用などちょっとしたCDトランスポートとしても使えそうです。グレードアップとしてCECやケンブリッジのDACを追加しても面白そうです。DVDの再生画質ですが私の目には価格以上のものに映りました。なんだかえらい奇麗です。少なくとも普段使っているRD-XS40(録再HDD内蔵)よりは画質音質共に上です。細かく見るとクロマエラーが出る機種らしいですが、トータルで気持ちの良い絵作りであればその辺りは大目に見ても良い価格帯でしょう。

既に製造終了品とはいえ、月産25000台のありふれたDVDプレーヤーですので、中古屋さんを探せば出物はあるかと思います。先にも書いたように、良い音が欲しいけど、トータルであまりお金が掛けられない場合には、アンプその他に予算を割くべく、こういったものを使われるのも手だと思います。特に、海外製のシンプルなオーディオ製品でアンプとCDプレーヤーを両方揃えるとなると、結構馬鹿に出来ない金額になり、特にCDプレーヤは国産に比べて高い傾向があります。そんなときに、アンプ選びには妥協をせず、音楽性の高いコンパクトSPと、こういったハイCPな薄型マルチプレーヤーをとりあえず使う。そうすることで、かなりハイレベルな箱庭システムを低予算で最初から実現することが可能になる筈です。また、DV-545を既に持っているけど、音が意外に良いことに気がついていないオーナーも沢山いらっしゃるでしょう(笑)この際、お遊びとしてでも使い方を見直してみるのも一興かと思います。
578



ところで、パイオニア現行機種のDV-578は、更にコンパクト且つ2万円を切る実売価格で、DVDオーディオやSACDの再生まで出来るみたいですね。音質は・・・メカもDACも全てが違うので、流石にどうなのか判りませんが、デジタル再生機である点を考えると、SACDプレーヤーを持っていない私は、それなりに品位を感じる再生音だったら良いなぁ・・・と淡く期待してしまいます。しかし、ネットでの書き込みを見てみると、画質はかなり良いけれど、動作ノイズが酷く、音質はRD-X3以下というレビューがちらほら。うちの環境で545(動作音は静かです)とX3の弟機XS40をCD再生で比べると、テレビで聴いていても明らかに品位が違いますので、これには躊躇してしまいます、うーむ。DV-578を持っている方のCD/SACDの音質レビューをお訊きしたいところです。

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