タイトルが"箱庭的輸入ピュアオーディオシステムの薦め"にもかかわらず、紹介第一弾のシステムがONKYO製品だったりしますが、今回は正真正銘、英国のピュアオーディオメーカー"Musical Fidelity"について書いてみたいと思います。

Musical Fidelity A3.2 インテグレーテッドアンプ

ミュージカルフィデリティは、クラリネット奏者でもあるアンソニー・マイケルソン氏の手によって、1982年英国に誕生したオーディオメーカーです。ここの音質特徴は何と言ってもその社名の通り"音楽性"の高さにあります。ただ単に高音質なオーディオ製品をご希望でしたらMusical Fidelityの他に選択肢は幾らでもあります。しかし、音楽が音楽としてこれ程リアリティと熱気を伴いリスナーに迫ってくるシステムを、Musical Fidelity以外から探そうとすると・・・それが思いのほか難しいことに、多くの音楽愛好家の皆さんは気が付かれる事になるでしょう。

Musical Fidelity A1 Reference

1985年に誕生し、その後10年近く生産され続けた純A級プリメインアンプA1シリーズ、かつて私は、その最後のモデルとなった"A1 JUNIOR"を所有していた時期がありました。電源を入れて暫くすると本体がまるでオイルヒーターのように熱くなる為、アンプ上面の天板全体が波状のヒートシンクとなった特徴的なデザイン、更にカタログスペック上も片チャンネルたった20Wに過ぎない小出力(注:先代のベストセラーA1 Referenceは25W×2)。しかし、これまでに私が所有したプリメインアンプで、A1 juniorほど実質上のスピーカードライブ力があるアンプは他に経験がありません。当時所有していた数倍の重量と大きさのONKYO A-917をも軽く凌駕していました。まさしくスペックでアンプのスピーカーのドライブ力は語れないという良い見本です。そして、A1 juniorから紡ぎ出される生命力溢れる熱気とライブな生命力に満ちあふれたサウンド・・・それは、音質面での雑味に目を瞑っても、他のアンプでは絶対に得られない音楽的なリアリティを伴うミュージカルフィデリティ独特の世界であり魅力でした。


きっとAnthony Michelson氏は、デバイスを吟味する際に、表面的な音質の良さのみではなく音楽性・・・音楽がそのデバイスにスポイルされずに伝わるかどうか?その点を最優先事項として、聴感上の感覚を優先しA1シリーズのアンプを設計したのだろうと感じます。音質という観点のみでMusical Fidelityの機器に触れると、透明度や輪郭強調されたオーディオ的な高音質に親しんだ耳にはいささか旧時代的的でレンジが狭く、いったいなんだこれは?という感想を持たれる方がいるかも知れません。確かに当時でも同価格帯他社の製品と比べて格別に高音質とは言い難いかったですし、旧A1シリーズなどその最たるもので、低価格で高鮮度なHi-Fiサウンドに慣れたイマドキの日本のオーディオマニアには、ともすれば時代遅れで全く訳の分からない音と受け取られても、決して不思議ではないです。

Musical Fidelityの音は云ってみればアナログテイストのサウンドです。決して聴感上のfレンジは広くありませんし、解像度も高くありません。けれども、CDを再生している筈が、スピーカーから出る音がまるでアナログレコードを鳴らしているかの如く、高い密度と濃い色彩を伴って再生されます。その古風なタッチは"生の音"ともやや異なるのですが、演奏家が伝えようとしている意図と息吹に忠実であるという点に於いては、紛れもなく真の原音再生だと云えるでしょう。演奏者として自分の演奏を再生した時に、そう・・・この間、この表情、この息づかい、生き生きとしたアーティキュレーション・・・これらをスポイルせずに再現してくれる事、これこそが演奏家であるマイケルソン氏自身が音作りをするMusical Fidelityが、その音楽再現性に於いて他の追従を許さない優れた再生機器である証となっているのです。

ミュージカル・フィデリティA3CD

ミュージカルフィデリティのオーディオ製品も世代を重ねるにつれ、現在ではエントリー〜ミドルクラスのシステムとしては販売価格帯がやや高価になってしまいました。それでも現行のA3.2は、旧A1の流れを色濃く受け継ぎながらモデファイを続けているMusical Fidelityの中核シリーズとして、音楽性とドライブ力をそのままに、よりデリケートで繊細な再現性を獲得し、更に音質面でも現代の高音質録音にもマッチする、ナチュラルさの中にもダイナミックレンジが広く、現代的なHi-Fi性が十分に加味されたラインナップへと進化しています。

現行A3.2シリーズのプリメインアンプとCDプレーヤーを視聴した印象として、音質面で敢えて苦言を呈させて貰うと、旧A1シリーズとは違ってシャーシの弱さが音の軽さとなって出ている感じが否めない点でしょうか。。。良く云えば 音像の押し出しよりも、音場の再現にシフトした現代ブリティッシュサウンドのトレンドに乗っていて、これは他の安価な英国製オーディオも概ね皆そうなのですが、潜在的に抱えるウィークポイントと云えるかも知れません。


また、前述したようにA3.2シリーズはあくまで音楽を聴く為のシステムであって、やたらと音質を追求する為のオーディオ製品とは違った価値観に基づく部分があり、国産の表面的に"高音質"なオーディオ機器と比べると、単に「音」のみに評価軸を置いた場合にコストパフォーマンスの面で特段に優れているとは言い難いです。

しかし、聞き込む程に現れる深みのある上質さと旋律の色気、音楽に近しい血の通った音が聴き手に安息をもたらしてくれる心地よさは、オーディオで音質を追求することに疲れた大人の音楽リスナーにとっての、この上ない福音となるに違いありません。デバイスの高騰で2005年6月に輸入元(ハインツ&カンパニー)で価格改定がされるらしく、A3シリーズを現在の価格で入手出来るのは現存の在庫のみだそうです。尚、後継モデルとなるMusical Fidelity A5シリーズは、国内希望小売価格がA3シリーズの倍となる35万円クラスとなる予定です。

後日追記:A3.2シリーズの後継機種はA3.5となり、価格帯も概ね以前と同程度になりました。前述のA5シリーズは上位ラインナップになります。またデザインも大きく変更されより高級感を増したハイエンドライクなスタイルに進化しています。重量や筐体サイズも国産プリメインアンプに匹敵する大型モデルになり、従来のモデルとくらべて音楽性以上に現代的なハイファイ製の高さをも獲得しているようです。

2009年03月追記:ミュージカルフィディリティからなんと原点回帰のA1シリーズが復活登場しました。その名もA1 INTEGRATED AMPLIFIERとCDプレーヤーのA1 CD PRO。

新型A1インテグレーテッドアンプ&A1CD_pro

A3→A3.2→A3.5と現代的な高音質を獲得する傍ら、黎明期のアンプの持ち味である音楽的躍動感やエネルギーとは異なるテイストへ変貌しつつあったMusical Fidelityでしたが、本国でも復活を待望されていたのでしょうか? 外観は手作り感溢れる旧A1シリーズのルックスを踏襲しつつも、よくよくみると工業製品としては随分高精度にモデファイされているような印象です。日本国内へは300台限定。そういえばA1Juniorも500台限定だったなぁ。。。こんなニッチ製品でその台数って限定付けなくても別に普通だろうみたいな(爆) とはいえこれは元A1ユーザーとしても是非とも試聴してみたい。どこかに置いてあるかな〜。。。

a1_fbp_550k_Musical Fidelity

こちらは同じ新型のミュージカルフィデリティA1FRP。上がフルバランス型プリアンプA1FRPで下はそのパワーサプライ。左右にあるのがモノラルパワーアンプ550K。80年代初期に生まれたA1のデザインコンセプトそのままに、何だかえらいモダンなデザインに変貌しているところが凄いです♪このセパレートシステムは一体どんなスピーカーをドライブするのが理想的なんでしょうか?
《Last modified 2017/1/20》

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