12日月曜夜、バック工芸社さんよりオランダ製真空管プリメインアンプ、PrimaLuna プロローグOneの試聴機が届きました。

プリマルナはオランダに本拠を置くAH!のアンププランドで、国内では雑誌紹介等が殆ど無く、販売店も未だ数ない為に日本国内ではあまり良く知られていませんが、アメリカ・イギリスのオーディオ誌等では非常に高い評価で、各誌で年間アワードを受賞するほどのセンセーショナルなブランドとして近年その名を轟かせています。

届いた箱がまず重いっ♪アンプ自体のサイズはそれほどでもありませんが、段ボール側面に17kgとの表記が。剛性感タップリのしっかりした筐体で、外装の仕上げには品位が感じられ、工業製品として非常に丁寧に作られていることが伺えます。ちなみに箱には100Vと書いてあり、どうやら117Wのアメリカ仕様とは違うみたい?

早速メインシステムのVienna Acoustics MOZART T-2の間に手袋をして恐る恐るセッティング。普段使っているTAG McLaren60iとオンキヨーA-1VLには暫くサブに回って貰います。

試聴機にはjazzaudiofanさんもお使いの同社の別ブランド、AH!のCDプレーヤーNjoe Tjoeb 4000(実はこっちが購入予定の本命)もお願いしていたのですが、今回は何故だか届かずアンプのみ。まぁNjoe Tjoeb 4000については後日と云うことで、とりあえずCDプレーヤーには我が家のリファレンスCEC TL5100Zを使い、PrimaLuna ProLogue Oneのレポートをしてみたいと思います。
prologueone






リアのスピーカー端子はWBTiconの絶縁タイプ。電源は3P着脱式。試聴機はPrima Lunaが世界で始めて開発したオプションのオートバイアスボードを積んでいて、どの様なシステムとの組み合わせでも適正な動作をするメンテナンスフリーを謳っています。スピーカー端子は4Ωと8Ωが選択可能ですが、Vienna Acoustics T2は6Ωですので、どうしましょ???って感じです。こんな時、真空管アンプ初心者iconは思いっきり戸惑います(滝汗)良く解らないのでとりあえず4Ωに。まぁ6Ωでも周波数帯域によって4Ω動作する事もあるでしょというかなりテキトーな目論見で。

電源を入れると仄かに色づく真空管。もうこれだけで音楽と対峙する雰囲気が生まれます(笑) メカとして真空管アンプiconの方が音楽を聴く気にさせられるオーラがあって魅力的ですよね。輸送で冷え切っていましたので暫く温まるのを待ち、いざ音出しをしてみます。

曲目はショパンのバラード第一番。第10回ショパンコンクールの優勝者でヴェトナムのピアニスト、ダン・タイ・ソンの演奏。新しいブツがくるとなんかいつも最初にこれ(笑) 私がかつて目標にしていた、そして今でも一番大好きなピアニストです。
(余談ですが、ベトナムのピアニストでしかもショパン弾き繋がりというと、先日放送されたBLOOD+の9話で、雨だれの前奏曲を弾いていた片足の少女ムイを思い出すヴァカです。あまりにおセンチなストーリーに苦笑しながらも、曲想と絵が良く合っていて思わず脳内にフラグが立ちました(死)この曲、小学生の頃に私が最初に弾けるようになったショパンの曲でもあります。)

さて、アンプに話を戻しましょう。

お、おおー、おおおー、これはいきなり凄いかも?!

久しぶりの真空管アンプテストと言うこともあり、音の出方にカルチャーショック。何かこう、とっても潤いが充ち満ちていて、右手の動きがひらひらって。この人は演奏時に右手と左手の角度をかえていて、左右で結構音色が異なります。うん、右手と左手の違いが良くわかる。てか、低音が凄い。A-1VLの低音は程々でしたので、余計にギャップを感じます。お陰でピアノの巻き線の低音弦の鳴り方に実体感があり、従来より近くで鳴っているような印象。音そのものは渾然一体とした感じで、シャープネスや定位の絞り込みはもう一歩の印象。音像は太く大きく、近接感があります。音が前にだけ出てくるという意味ではなく、楽器が等身大にでかい。前後の奥行きがあります。情報量は多いです。特に中低域〜低域は今まで聴いたことのない音が掘り起こされて沢山。中〜高域もエンハンスされて輪郭強調したような"高域演出感"は皆無ですが今まで聞こえていなかった音が色々出てきて微小情報量はかなりのもの。A-1VLやTAG McLaren60iを軽く超えてます。ハイエンドチックな情報量ですね。セッティングしたばかりでちっよと寝ぼけた印象なので、この時点では高解像度系には決して聞こえないのですが、普通埋もれてしまっている色々な音が出ているのは確かで、この後のバーンインに期待させられます。

色彩は独特で個性的。潤いの中に独特の翳り、陰影感があり、音のサーフェスはビロードタッチ。このビロードタッチな感じは同じオランダのフィリップストーンを想わせるものですが、音色全体の色彩感はPHILIPSというよりもアキュフェーズiconのそれにどことなく近い感じ。ただPrimaLunaの鳴り方の方がもっとおおらかで太いです。このビロード調の肌触りは、弦楽器にはかなりリアルにプラスに働きます。ただ、ピアノはやや厚化粧された感じで、もっと硬質で艶やかな方がリアルというか、例えるとソフトペダルをチョットだけ踏んで、ピアノ線とハンマーに付いた溝のアタリを微かにずらした様なもモフッとした音色。ずばり、スタインウェイがヤマハにきこえる。。。うぐー。ヴァイオリンも、録音によっては明るくむせび泣くようなしゃくれた感じになってしまう場合アリ。これはVienna Acousticsのトゥイーターの音色にそうなり易い傾向がある訳ですが、実はドライブ力が過剰になると出てくる症状で、アンプが合っているとこうはならないのです。

試聴会での印象が頭を過ぎる、、、というか、そもそも試聴会の音は、実はかなりAH!&PrimaRunaに支配されていたことが今更ながら判明。金属的なきつさが皆無で、木質的なナチュラル感が感じられます。

試聴会で印象の良かった鈴木重子のクローズ・ユア・アイズを再生してみる。実はこのCD、うちではちゃんと鳴らないという問題があったり(滝汗) 何故かメイン・サブシステム共にギターが妙にビニール臭い音になるんです。ところがプリマルナを通すと一変。ボーカルは凄い実体感。甘い、エロい。なんだこれは(笑) ステージは等身大のスケール、ベースも迫力。やたらとリアル。ずばり、ジャズにはめっぽう向いている。文句つける気がしません。

次ぎに工藤すみれのパンペアーナ。これも納得。ただ、チェロが近い。リアルすぎる(笑) 試聴会で相性がありそうだ〜と感じたそもそもの原因がこのプリマルナにあったみたい。

適当にそこら辺に転がっていたラフマニノフのピアノ協奏曲。これも凄い。低域が充実していてデュトワの指揮するモントリオール響の鳴りっぷりがド迫力。フジ子ヘミングのショパン・ピアノ協奏曲第一番も良い。デッカ録音の素晴らしさが生きています。試聴会で聴いたビクター盤とはJまるで別物。オーディオでオケ物を再生すると、表面的に解像度が取れていても、殆どの場合音楽的なトーンが平面的で一色になってしまうのですが、別々の演奏者がめいめい演奏していてそれぞれ合わせたりプチ外していたりが克明にきこえる。定価15万クラスの手頃なアンプでこれはある意味凄いことです。普通は無理です。お陰でジャズセッションは言うに及ばず。それぞれの意思の違いが際立ってます。

と、此処まで来て何かが足りない気がしてきた。。。
まず、端的に音は良い。15万のアンプでこの音質はちとやばいかも。独特の個性があるのでその面での好き嫌いは出るかもですが、パッと聴いて音質自体がかなり良い。果たしてこのクラスでこれだけの音がいきなり出てきちゃうアンプが他にあるだろうか?真空管アンプなんて独特のニュアンスや色付けが売りだと思っていましたから、かなり肩すかしを食らわされた感じです・・・なんて好意的に感じながらも実はイマイチ釈然としない部分がある。足りないんですよ、何かが!

サンソン・フランソワのワルツ集をかけて直ぐに気付きました。そう、音楽性が足りないのです。音色が情緒的で色彩感抜群ですので音楽性が高いように錯覚するのですが、音楽の時間軸の流れに対して表情がどことなくちぐはぐな感が否めません。暫く考えてみました。逆説的にこの音質を練る耳がある人が音楽性を理解していない筈はなく、それでも音楽性が足りないとすると、システムの何処かに問題があるのかなと。とはいえ焦りは禁物。まだ届いて数時間、アンプがちゃんと馴染んでいるとは云えません。真空管アンプですので、電源投入&セッテイング後しばらくは平面的な表現になるのはある程度想定の範囲内(笑)。ここは可能性を信じてぐっと堪えることにしましょう。

とにかくドライブ力が凄いです。今までのアンプとは排気量がまるで違う♪EL34管ですので、もっとナヨッとした繊細で細い音を予想していたのですが、制動感でもデジタルアンプのA-1VLに肉薄。ドライブパワーはプロローグ・ワンの方が数段上。位相がずれやすいウィーンアコースティックT2のデュアルウーハーを軽々とドライブしていて、どちらかというとかなりオーバードライブ気味の鳴り方です。片ch35WのEL34でこれですから、KT88を使う40Wのプロローグ・ツーではどうなっちゃうのでしょうか?

音像定位に関しては個人的な好みではもう少し絞り込み感があっても良いと思います。ボーカルのデリケートなニュアンスではEL34に軍配が上がるそうですが、カッチリ感、制動感ではKT88が良いのかも。プロローグTWOも聴いてみたくなりました。とはいえ、スピーカーとの相性面でいうと既にあからさまなオーバードライブ気味で、低域の厚みがありすぎで全体に重い鳴り方。この重さ、ピアノには良いのですが、オケや弦楽器になるとオーディオっぽさという不自然な重量感に繋がります。ただこれはトールボーイスピーカーの宿命かも。スピーカー出力を8Ωにすると、全体に軽く音場もふわりとしますが、浮ついた薄っぺらい印象が出てきてイマイチ。鳴り方的にはタグマクラーレンに近づきますが、これなら素直に60iの方がまだバランスが良い。

この時点で敢えて弱点を書くと、高域が大人しめでややロールオフして聞こえる点。お陰で歪み感が皆無で大音量でも破綻しませんし、全く五月蝿くなりませんので、長時間、一日中でもリラックスして音楽を聴いていられる感じです。聴感F特についてはピラミッドバランスのあくまで中域から低域にかけての実体感、解像感、ローエンドへの沈み込みに主眼がおかれているため、フラット且つスッキリした高域の美音や解像度フェチの人には合わないかも知れません。

あと、ニュアンスにはデリケートな憂いと翳りのある発声の上品さと、ちょっとばかり下世話かも知れない押しつけがましさが渾然一体となっていて、やはり良くも悪くもウォームで濃いヨーロッパトーン。厚化粧したグラマーなプリマおねぇちゃん(おばさんか)を想像しちゃう(笑) 本来聴けない音質のCDも聴けるようにデフォルメしてくるアンプですので、現代的でモニターライクな解像感や情報のフラットでストレートな再現性においては、やはり国産機のオンキヨーA-1VLに軍配が上がります。

さて此処まですがこれはあくまで初日と翌日の印象。
徐々に馴染んで時間を追う毎に音質変化していくのがかなりはっきり感じられるのですが、どうやら試聴機には先に繋げられていた(バック工芸社の?)スピーカーやケーブルのキャラクターが移っているみたいで、実のところ、そこそこ良い音だけど好みじゃな〜い♪俺はいらね。って思ってました。或いは東京試聴会の音と似ていたので、もしかすると輸送後の初期状態の音がこうなのかも。

ところが3日目に入り、
ここに書き連ねた印象が激変!全く違う物になります。

試聴レポートその2へ続く

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