先日の後藤総合音響試聴会の際、個人的に一番の収穫だったのが、イギリスB&Wの新製品、小型ブックシェルフスピーカー「CM1」の試聴をじっくりと出来たことでした。今回の記事では皆さんが注目しているであろうこのミニモニタースピーカーについて、私なりに試聴した印象を書いてみたいと思います。
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まずCM1という型番ですが、ナカミチがB&Wの輸入代理店をしていた15年ほど昔、CONCEPT90 CM1という類似コンセプトの小型ブックシェルフスピーカーが発売されていたのを思い出します。当時のCM1には、セットとなるSPスタンド型ステレオサブウーハーCM2(CMカラム)もあり、両機を組み合わせる事でトールボーイスピーカー的な佇まいになる製品でした。この旧モデルのスタイリッシュなモダンデザインは、AURAの鏡面アンプの外観デザインをした事でも知られている英国の著名なインダストリアルデザイナー、ケネス・グレンジ氏の手による作品の一つでもあります。今回発売された新型CM1は、全くの新コンセプトというよりは、型番から想像するに、もしかすると旧CMコンセプトの継承とも捉えることが出来るのではないでしょうか。
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まずは「CM1」の外観から。実物の仕上げはとても奇麗です。海外製の木製キャビネットスピーカーは、近づいてみるとユニット周囲や後部、ツキ板の仕上げ、模様のバランスなどディティールの仕上げがいい加減なブランドが結構あるのですが、其処はさすがB&W。デンマーク製のエンクロージャーにCM1専用ケブラーコーンユニットの組み合わせで、見た目にも隙が無く非常にきっちりとした精度で作られています。F1マシンの如く音響工学を優先し、前衛的なデザインを採用している従来のB&W 800シリーズとは異なり、ぱっと見は四角い単なる2WAYブックシェルフスピーカーではあるのですが、良く見るとグリル取り付け部分にマグネットを使い四隅の穴を敢えて無くしたシンプルさ、金属素材の光沢感を前面に際立たせ高級感漂う2WAYユニット、スクエアでシンプルなエッジ、現代のモダンインテリアやモダンファニチャーとのコーディネートに於いて、空間にしっくり溶け込むであろうキャビネットの色調と仕上げ、さり気なくシンプルにブランドの価値を表現するBowers&Wilkinsのロゴなど、細かなところまでもデザインが行き届いていて、音を聴く以前にそばに置きたい♪と思わせる何ともいえない上質感とプチスタイリッシュな存在感があります。
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試聴に使ったシステムは前述の記事にあるものと一緒で、SACDプレーヤーにMARANTZ SA-15S1+アンプはROTELのセパレートアンプ (注:共にゴトウチューン)。比較に使ったのが同B&W 805Sのゴトウチューン及びCM1のノーマルモデルCM1 後藤チューンです。

CM1を聴き始めて直ぐに、嗚呼これはかなり良い音だと判ります。音色が明るく透明。傾向としてはかなり現代的で、もう全く英国的とかそういう文化的なカテゴリで語るようなスピーカーではなく、モニターライクな正確さと共に今風のユニバーサルなサウンドを奏でる正統的モデルです。ただ、従来のB&W800シリーズの様に、緊張感で背筋が真っ直ぐになる様な次元の違う高音質といったインパクトではなく、もっと親しみの持てる好感度な良い音とでもいいましょうか。。。CM1の開発は805Sと同時期に始められたにも関わらず、ヒアリングに時間を費やし製品化までにこれだけ時間が掛かっている訳で、同じNautilusでもB&W 800シリーズとはもしかして設計者が違うのかしら?と思わせるくらい従来のノーチラストゥイーター搭載機にあった線の細い神経質な印象が無く、意外な程おおらかで明るく屈託のない鳴り方をします。そう、従来の800シリーズが職業音楽家やレコーディングエンジニアが、音に真摯に対峙する為の仕事のツールだとすると、CM1iconはそういった人々が緊張感から解放され、自宅の一室でリラックスする時のためのスピーカーとでも云いましょうか。十分な品位を備えながらも、過剰な分析性や透徹感を伴わない程々の身だしなみがある、そんなバランスを心得たB&Wの新たなサウンドがここに新たに誕生した、正にそんな印象です。
【新発売】 B&W CM1コンパクトスピーカー
B&W800 SERIESの特徴である天板に飛び出したノーチラスツイーターは、CM1では一般的なスピーカー同様にキャビネット内部に納められていまるのですが、まずこの音色が従来のノーチラスチューブとはややや趣を異にしています。基本的にメタルドームトゥイーター的な音色ではあるのですが、その響きには滑らかさと潤いがあり、混ざり合って空間に広がっていく様が実に美しく心地良い。805Sの持つ、スピーカー後方へステレオ3次元定位のフォーカスとシャープネスをピシッと合わせる鋭くタイトなステージ展開ではなく、ツイーター周囲の金属板からの反射も含め、メタル素材から来る美音や響き感をまず重視し、それらに加えてモニター的な精度が適度に伴って来る感じです。チューブが外に飛び出していない分、音場の広がり方は一般的な小型ブックシェルフのそれに近く、3三次元的な立体定位感やフォーカスの部分では805S程シビアに正確にはいきません。二つを並べると、音の回り込みや反射の面で、トゥイーターを外付けするデザインがどれだけ効果的か、はっきりと知覚することが出来ます。

中低域を受け持つケブラーコーンウーハーですが、これがかなり吟味されていて従来のB&Wスピーカーのようなあからさまにケブラー臭が無くなっているのが見事。CM1と直接比較すると805Sの方にはかなりケブラー特有のカサカサした固有音が乗っていて、どうしてもその音色に慣れるまでは違和感を感じてしまいます。ユニットの繋がり感についても、805Sの場合あくまでハイスピードなトゥイーター中心に音像が並んでいて、ケブラーウーファーが頑張ってそれに追っついてきている印象がありましたが、CM1の場合、ツイーターとウーファーの音色が本質的に違うにも関わらず、中域を中心に繋がりの一体感があり805Sよりも視覚的な面も含めて帯域バランスが自然に聞こえます。低い方も高い方も当然805Sの方が伸びていて広帯域なのですが、楽音の主要部分をカバーする中間帯域では、CM1iconの方がおおらかで親しみやすく、また音色そのものに聴き手を惹きつける魅力(美音系の味付け)があるように感じます。
ただいま納期約1ヶ月です!B&W 805S 単品スピーカー
解像度に関しては当然805Sが上。でもCM1の情報量も現行20万未満の小型ブックシェルフの中ではトップクラスに入るでしょう。CM1にモニター的な音質面で勝負になる相手となると、現在サイドカラムで紹介している中ではELACCL310.2 JETくらいでしょうか。音楽的な表現力や音色の魅力という面では他の選択肢も色々ありますが、録音に忠実に再生することを第一義とする範囲で過不足無く優れた音となると、B&W CM1は今現在売られている低価格スピーカー群の中で、十分にリファレンス且つベンチマークに成り得るのではと感じます。

弱点は低域方向でしょうか・・・
13cmウーハーというサイズの制約から真に低い帯域は出ていない様ですが、見た目のサイズからすれば十二分に量感は出ている方で、オーケストラ等でもあからさまな窮屈感を感じずに再生可能です。これは日本の一般的な部屋サイズでは十分な再現性ですし、あまり低域をドスドス鳴らせない集合住宅のような環境ではかえって好都合でしよう。
ただ、音質面で敢えて欠点を洗い出すように暫く聴き続けると、低域方向の微かな混濁感というか、情報量不足が少々気になります。なんというか、ケブラー臭くない代わりにMDFキャビネットのもわっとした音が乗っているというか、箱鳴りとは逆の意味で箱が丈夫過ぎてかえって音色が鈍るような印象・・・この良く云えばウッディな質感は、近年ヨーロッパメーカーのAV向け低価格マルチラインナップスピーカー群の多くで見られるキャラクターに傾向が類似していると感じるのですが、この個性のために深いところにある種々の音色に対して反応が曖昧になる様で、遂にB&Wもトレンドを追って今風の音色の方向性を意識しだした?のかと感じなくもないです。但しCM1についてはトゥイーター側の潤いある響きと美音に全体が包まれる事で、音色が過度に画一的でドライに傾く事を抑え、全体としてはウェルバランスなサウンドが得られているように感じました。
CM1GOTOU








さて、同時にノーマルモデルと切り替え試聴したCM1ゴトウチューン仕様ですが、これはかなり良いです。上で書いた情報量の面での僅かな食い足り無さや、モニタースピーカーとして僅かに甘さを感じるシャープネスの面が改善し、スピーカーの間に音像がキリッと並ぶようになります。比べてしまうとノーマルモデルには音が上寄りになる事から来るステージの広がり感はありますが、音像のフォーカスがぼけて甘く曖昧で頼りない印象になります。一度CM1でシステムを組んでみて、もう一段上の締まりとモニター的な情報量と描写力が欲しい場合、ゴトウチューンを加えることで今一歩の描写力不足を確実に改善してくれるでしょう。元々が神経質な805Sを更にチューンする場合よりも、個人的にはおおらかな音色のCM1の方がチューンに向いていると感じました。ベッドサイドや書斎のサブシステムとしてではなく、これ1台で音楽全てを聴きたいというユーザーさんの場合には、特にチューンモデルの方が総合的な満足感が高くなる筈です。

B&W CM1は上級モデル805Sの3分の1の価格ですが、モニター的なクオリティが3分の1という事は全くなく、コンパクトながらノーチラスチューブにケブラーウーハー、B&W特注ドイツ・ムンドルフ社製キャパシタなどに加え、徹底的なヒアリングテスト期間を経る事で、全方位的に優れた優等生的スピーカーに見事に仕上がっていると云えるでしょう。逆に云えばこの製品クオリティと音質が約10万円で買えちゃうの?!という程に超ハイCPな仕上がりで、本来ならペア20万だったとしても決して不思議ではないクオリティなのですが、こんな音が今なら諭吉さん10枚で買えてしまう訳で、ライバル他社の困った顔が目に浮かぶような、、、浮かばないような、、、(^^; この点、別メーカーのスピーカーを使う者からすると少々妬ましくも複雑な気持ちにさせてくれます。学生時代にこんなスピーカーを使えたらどれほど幸せなことでしょうか。ふと思ったのですが、これだけのスピーカーが出来てしまうと、今後同社のDMシリーズ存在意義が危うい?のではと感じました。こちらをご検討されている皆さんには、後のことを考え少々無理をされてでもCM1を手に入れられることを強くお薦めしたいと思います。
B&W CM1(ペア) スピーカー
10万円という思い切ったプライスタグながら、本格的な正統派ピュアオーディオスピーカーとしてもかなりハイレベルな音質であり、セッティングやアクセサリの追い込みにも十分反応してくれそうですし、その部分ではピュアオーディオマニア的な楽しみ方も可能。性能的にスピーカーのペア価格をある程度上回るアンプの方がCM1にはマッチするはずですが、数万円台のバジェットアンプでもそれなりに鳴ってくれそうですし、或いはあまりオーディオ的な知識が無く、深入りはしたくないけれど上質なライフスタイルオーディオが欲しいと考える皆さんにも、一例として、ARCAMのSOLOレシーバー等と組み合わせれば、部屋の片隅にポン!と置くだけで、中途半端に組み合わせられた無骨な単品オーディオのクオリティを遥かに凌駕する上質なサウンドをあっさり手にすることが出来る筈です。
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勿論、他社の同価格帯スピーカーと比べた場合には、十二分に高精度でモニター的なスピーカーと云えるでしょうが、同社805Sと比べるとモニタースピーカーとしての品位はやはり1段落ちると言って良いでしょう。そういう意味でCM1には自ずと限界があると思います。それに価格が3分の1なのに音が同レベルだったら805Sのユーザーさんが怒ってしまいます。販売広告的にはミニ805Sとも云われていますが、ノーチラスの姉妹とはいってもCM1は従来のB&W800 シリーズとは異なるベクトルにある、B&Wの提示する新たなサウンドキャラクターに仕上がっていますので、805Sの低価格モデルのように捉えず、CM1独自の中庸感とバランスの良さを受け入れられるかが評価の分かれ目になるでしょう。本質的には録音に忠実なタイプであり、表現力や個性で聴かせるスピーカーではありませんが、かといってクールで解像度一辺倒なモニタースピーカーでもない。他のスピーカーと比較される場合にも、その辺りを良く踏まえて自分に何が必要なのか吟味されると良いと思います。でも、今私が805SとCM1、どちらか二者択一で手に入れることが出来るとしたらきっと「CM1」を選びます。サブシステムとしてはこちらのほうがインテリア的にも音質的にも魅力的ですし、サブにするには勿体ないくらいのクオリティが始めから有るにも関わらず、805Sほどセッティングや周辺組み合わせ等で金食い虫ではなく、思い通りに鳴らずに試行錯誤で神経をすり減らす心配も無さそうですから。

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