Acoustic Harmony N1 スピーカーケーブルのレビューでございます♪

今回紹介するのは国産ハイエンドケーブルメーカー、アコースティックハーモニーのN1 スピーカーケーブルです。Acoustic Harmonyは本社が愛知、製造拠点が静岡にある日本製のオーディオケーブルメーカー。数年前からオーディオアクセサリー誌等ではちょくちょく紹介されていて、個人的に注目していたブランドですが、取扱店舗が少なくネット上の音質レビューも皆無に近く、今回は未試聴での購入です。

アコースティックハーモニーN1

Acoustic Harmonyの場合、国内ではピュアオーディオ、ハイエンドオーディオ系の販路よりもカーオーディオ向けの知名度が高く、超高級品のみならず、手に届きやすい価格帯のケーブルも一通り揃っています。その中でもAcoustic Harmony N1スピーカーケーブルは切り売りで販売されているNシリーズのエントリーモデル。完成品はオーディオアクセサリー銘機賞2015の端子付きスピーカーケーブル10万円以下部門で部門賞を受賞しています。

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被覆を剥いてみました

Acoustic Harmony N1 inside

N1は同社のエントリークラスとしてそれほど高価では無いスピーカーケーブルながら、構造はかなり凝っています。被覆外径Φ5mmと非常に細いですので、ここまで念入りに作り込まれていることに非常に驚いたのですけれども、外側被覆には白い ハイフロンFEP被覆、その下にビニール状の伸縮弾性があるPTFEテープが巻かれていて、更に下には極細のガラス繊維の束と、硬めの樹脂被覆の4色芯線。銀メッキ0.18mm×OFC19本の(赤/青)芯線が2つ、錫メッキ0.18mm×OFC19本の(白/黒)芯線が2つで、合計4本のスターカッド構造になっています。

アコースティックハーモニーN1 スターカッド構造

細い上に複雑な構造と4本スターカッド構造で端末加工には手間取るかと思いきや、外側被覆はカッターとハサミ、中身の4色芯線は樹脂被覆が固く、0.75だったか0.5の(うろおぼえw)のワイヤーストリッパーで挟んでから指で引っ張るのみで、芯線を1本もロスせずにツルッと剥くことかが出来、加工は思ったよりも楽でした。

Acoustic Harmony N1

アコースティックハーモニーN1は、メッキが異なる4芯をどの様に扱うかで音質傾向をある程度変えることが可能です。芯線1本あたりの断面積が0.48SQと細い為、ウーファー側に使うには少々心許ない導体径ですけれども、これ1本でバイワイヤリング接続用にも使えますし、その場合にはトゥイーター側に銀メッキの2本、ウーファー側に錫メッキを使うのが良さそう。ちなみに管理人の場合、当初はケーブルのエージングの為に敢えてシングルワイヤーとして一定期間使用した後、最終的にQUAD L-ite2のバイワイワイヤリング接続に於ける高域側専用スピーカーケーブルとして転用しています。

アコースティックハーモニーN1 音質レビュー

ここからはMiuaudio MKTP-2QUAD L-ite2のシステムで、アンプ側にはCardas CABシルバーロジウムバナナプラグを使い、N1そのものはシングルワイヤーとしてテストした音質レビューを書いてみます。シングルワイヤリングの場合、4芯スターカッドの銀メッキと錫メッキ(ティンコート)を1本ずつ束ねて使うか、敢えてメッキを別々にするかで悩むところですが、今回は銀メッキ側のキャラクターを強く出すために、敢えてメッキを別々にしつつ、+側に赤+青の銀メッキ、マイナス側を白+黒の錫メッキにしています。

Miuaudio MKTP-2 CARDAS CAB

方向性は矢印方向をスピーカーに向けて遵守。音質の比較対象はホームセンターでm百数十円で購入したSir Toneブランドで最近魅力的なオーディオケーブルを展開しつつあるKHD電線製の0.75スケアOFC銅線(透明被覆)です。

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新品初期状態ではKHD電線(Sir Tone)の無印OFC線に比べて落ち着く感じで、音楽性がほんの少し落ちる傾向。中域がカマボコで前方に張り出す傾向で、ステージの表現や音像は大きくなり、レンジの広さやスケールの大きさに素性の良さは感じます。音色的には銀のあたりの柔らかさと響き感に、錫のザックリした粗い音が混じった印象。まだ綺麗に混ざらない分離感・・・撚り線臭があるかも。但し耳に痛い音や嫌みな音はしません。いかんせんザクザクしてるので錫メッキ線が落ち着くのを待った方が良さそう。

重低音域が出ない小型スピーカーだからかもですが、細径の割に案外と低域不足は感じません。高域ももっと伸びるかと思いきや、耳当たり良く中域重視。かなりお化粧された感じの音色。粒子分解能は高い。温度感は意外と人肌でぬるめ。甘いホイップクリームの乗った上品なケーキみたいな…。当たりが柔らかく丸みがあるようでいて、意外な程のスピードとアタック感はある。もっと日本的で清楚な音を期待していたのですけど、けっこう油絵っぽいし割と盛大にお化粧系\(*^o^*)/歪み感が少なく大きな音を出しても耳に痛くないのはかなり好印象です♪

半日経過。錫メッキ線特有のザラ付きは徐々に収まってきました。白色微光沢系且つ粒子情報量がかなり多くて非常に好み。ふわりとした響きに耳当たりが優しくどこかゆったりしていますけど、中域のニュアンスが豊かでタッチの表現に幅があり深い音。深さの表現は、必ずしも低域の量感に頼らなくても中域から高域にかけてのニュアンスの豊富さでも出せるのがAcoustic Harmony N1を使うと判ります。2本束ねても1SQに満たない細さですが、音の線は細身ではありませんし、ナチュラルな楽音帯域の強弱の表現の幅の大きさに驚きます。

Cardas CABからaeco ABP-0202Rへバナナプラグを変更

aeco ABP-0202RCardas CABに比べて音色が明るく、輪郭がハイスピードにキレよ良くクッキリ描写され、透明度が上がります。ロジウムメッキの美音と製造精度の高さ、バナナプラグの質量の小ささが活きた素直な音質。低域~中域が厚いピラミッドバランスのCardasに比べて、低域や中域の厚みがスッキリし、フラットバランス傾向に。低域の軽い小型SPでのシングルワイヤ接続で、低域の厚みを求める用途ではCardasになるのですけれど、これはCABが低域方向に厚みが出る特殊なバナナプラグだからで、aeco ABP-0202Rのバランスの方が、システムとスピーカーケーブルが本来の持つ素の聴感f特により近くはなります。※そもそも1SQに満たないスピーカーケーブルに、バナナプラグ1つで不満の無い低域が出てしまう方がイレギュラーですので。

aeco miuaudio

元々低域の量感にはバランス的に特に不満が無いスピーカーや、バイワイヤリングでトゥイーター線用途の場合、解像度、鮮度感の高いaeco ABP-0202の方がCABよりもずっと良さそう。アコースティックハーモニーN1の時にマイルドでスウィートに過ぎる部分をaeco ABP-0202Rの輪郭描写と鮮度感が補ってくれる印象です。落ち着きが先行するCardas CABよりも明るく快活で時間軸的な表現力は良くなりますが、低域が浅いぶん音楽の表面をなぞる感じで表現の幅はやや狭まる傾向。ロジウムメッキ特有の高域の光沢と滑らかさはCARDAS CABもABP-0202Rでも共通していますが、これは金メッキや銀メッキのタイプを選べばまた違う雰囲気に出来ると思います。シングルワイヤー接続で聴感上どちらのバナナプラグを選ぶか問われたら、Miuaudio MKTP-2(CarotOne ERNESTOLO)とQUAD L-ite2の組み合わせの場合はaecoの方を取ります。

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バナナプラグのレビューなのかスピーカーケーブルのレビユーなのか判らなくなってしまったので、ここからはAcoustic Harmony N1 スピーカーケーブルのみの純粋な印象をば。前述の新品評価の後、暫くN1を使ってみて感じたのは、銀メッキ(+錫メッキ)ながら耳当たりが優しく歪みっぽい音が全くしないため、ロジウムメッキのバナナプラグと組み合わせても全く煩くないことと、薄らと白粉で薄化粧された美音系のサウンドという点です。安価なスピーカーケーブルですがはっきりとハイエンド指向に美化された音作りがされていて、安っぽい輪郭強調や特定の帯域を持ち上げたような不自然さも無く、内的な情報量の面でも価格相応以上のものがあります。定位も残響の広がり方も人工的な雰囲気が無く至極ナチュラル。音楽性の面でもケーブルの色香でグイグイと引き込ませるタイプではありませんが、本来の音楽を敢えて損なわない中庸な自然さが持ち味だと思います。

Acoustic Harmony N1 銀メッキ 錫メッキ

2本を束ねたシングルワイヤリングでも片側1SQ弱と導体が細いですので、低域方向は特にパワー不足になるのではと思いましたが、上下共に特に不満の無いレンジ感と比較的フラットなバランスを得ることが出来ます。定位感はナチュラルで、ピンポイントでカミソリの如く輪郭がてるソリッドな音作りでは無いため、極細のスピーカーケーブルを使っている感じはあんまりしません。アタックがややメロウなのは多分銀メッキ側を2本とも+に使っているからで、この辺りは聴感で錫メッキと束ねるか、或いは錫メッキ側を+に持ってきてしまうか、適宜調整した方が良さそう。

銀メッキ/錫メッキ導体の左右入れ替え

Acoustic Harmony N1のメッキ組違いでの音質ですが、使い分けのイメージとしては、銀メッキの美音を優位にしたければ+側を銀、ガッツのある錫メッキの音を優位にしたければ錫メッキを+側、両方の中間的な音を取る場合には錫銀を±それぞれに拠って使うのが良さそう。N1に限らず、左右で異なるメッキ(若しくは片側のみ錫や銀メッキ)が施されているスピーカーケーブルの場合、どちらを±にするかで音質傾向が多少なりとも変わりますので、この手のスピーカーケーブルを使われている皆さんは、システムとの相性や好みにあわせて試しに入れ替えて比較してみる事をおすすめします♪d(^_-)

バイワイヤリング接続

ここまでのレビューは赤青銀メッキ線2本を赤(+)、白黒錫メッキ線2本を黒(-)に接続した際の印象ですが、その後Acoustic Harmony N1はMiuaudio MKTP-2×QUAD L-ite2のバイワイヤリング接続のトゥイーター専用線として数ヶ月のエージングを経た後、バナナプラグをロジウムメッキのaeco ABP-0202Rから純銀メッキのaeco ABP-1111Sに変更し、現在これまでで最高の音質とバランスを獲得しています。ちなみにウーファーの低域側にはオーディオ銘機賞2009年受賞モデルでもある、PCOCC素材のORB INNOVA TS7(完成品)を宛がっています。

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そんな感じで、N1も暫く馴染んで安定期に入ったところで、試しに銀メッキと錫メッキで分けた±をアンプ側スピーカー側共に入れ替えてみることにしました。(こんどはスピーカーの正相側が錫メッキ線になります)。馴染んだスピーカーケーブルの場合、一旦外して繋ぎ戻すだけでも電器と振動の流れが微妙に変わって一時的に音質が変わります。ですので、左右を入れ替える事でそれ以上の変化があるか?という部分まで推測で聴き分けなくてはいけません。実際に試してみると、錫メッキ線をプラスにした場合は、同じ美音を維持したままでよりクッキリした印象のクリアな音質になります。+側を銀メッキ線にしていた時に比べて若干のザックリ感と歪みっぽさはありますが、微々たる違和感ですので初期バーンインで収まりそうな程度。ピアノに硬質感とレンジ感が加わり、より辛口でHi-Fiなイメージになります。但し入れ替えてもシステムバランスが変わるほど大きく変わる訳ではありませんので、あくまで類似音質の中でのちょっとした味付け変化の範疇です。

QUAD L-ite2 バイワイヤリング接続

どちらかのメッキのニュアンスを強調したくなければ、赤+黒 / 青+白に振り分け、銀メッキと錫メッキを1本ずつ左右に振り分けて束ねて使えば中間的な音質を得られると思いますので、その方が音質的には一番バランスが取れる可能性が高い思います(特に最初は別々よりも混合を推奨します)。管理人の MKTP-2×QUAD L-ite2システムは元々の音質が柔らかめですので、硬めの音の錫メッキ側2本を赤(+)にし、aecoの銀メッキバナナプラグABP-1111Sをアンプ側に使う組み合わせで一番バランスが取れましたが、これはもうあくまでケースバイケースですので、皆様それぞれに色々と試行錯誤を楽しんでいただくことで色々な発見があるのではと思いますd(^_-)

+For
よく練られたハイエンドライクな甘く美しい音色と肌触りの良さ
歪み感の少なさ
価格を超える凝った構造
メッキの組み合わせで音質調整が可能

-Against
モニターライクな音質ではない
メーカー知名度

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