こののブログは一応、"箱庭的輸入ピュアオーディオシステムの薦め"というタイトルで始まりましたが、国産製品であっても素晴らしいものがあれば特に舶来品にこだわらずに積極的に紹介していくつもりでいます。(注:後日タイトルを変更し"箱庭的ピュアオーディオシステムの薦め"AUDIO STYLE"になりました。)
オンキヨーA-1VL+C-1VL
今回のターゲットは日本を代表するAV機器メーカーONKYOピュアオーディオ復帰第一弾として、今話題のデジタルプリメインアンプを中心に設計されたONKYO A-1VLC-1VL(注:PDF)の組み合わせです。店頭で実物を見た瞬間、イギリス製?かと思ってしまう薄型でスタイリッシュな外観に目を奪われてしまいました。(余談ですがONKYOの日本語カタカナ表記はオンキョーではなくオンキヨーと"ヨ"を大文字で書きます。)
       
ONKYO_A-1E_C-1E90年代からオーディオを趣味にされている方はご存じでしょうが、12〜3年前に、同社の製品には英国人エンジニアを招いて音作りをした、Integra A-1E/C-1Eと呼ばれる、今回のニューモデルに雰囲気の良く似た薄型の高級スタイリッシュコンポがありました。国産の品質と英国的な音作りが上手く噛み合い、英国メーカーのAura DesignCREEKと比較しても遜色ない音純度の高い素晴らしい品位の製品に仕上がっていて、同社の人気プリメインアンプONKYO A-917を購入した少し後にA-1EとC-1Eのセットが発売された際には、本当に悔しくて苦虫を噛む思いでした・・・(≧◇≦) 今度の新開発であるONKYO A-1VLとC-1VLは、どうやらこの懐かしのIntegra A-1E/C-1Eのコンセプトを、21世紀に受け継ぐ製品として開発されたみたいです。

プリメインアンプONKYO A-1VLとCDプレーヤーC-1VL筐体をじっくり見ると、細かな部分の作りの良さは流石に日本製のオーディオ機器ですが、その薄型サイズとシンプルな佇まいは、他の国産メーカー同様に、戦車の如き物量級大型アンプを作ってきたONKYOが一時のピュアオーディオ休止期間を経て、音楽の原点に立ち戻るかの如く、従来の国産オーディオ機器の固定概念からの脱却と再生を果たそうとしている強い意図を感じさせます。


とある店頭でたまたまONKYO A-1VL+C-1VLのデモ機に出会い、試聴用のMARIAH CAREY The OnesのSACDをかけてみたのですが、1音目からその未だかつて聴いたことが無い現代的な"高音質"には正直面食らいました。これを作った人は本当に耳が良いと思います。一発目の音質だけでこれだけ僕の耳を引きつけさせるとは・・・(脱帽)。その音の鮮度の高さ、純度の高さは、試聴に使った高品位な英国のモニタースピーカーB&W 703と相まって、生演奏かと思わず振り返ってしまう程のリアリティ(@_@;)
B&W703
生々しくクッキリとした音像は、従来の薄型ピュアオーディオシステムから想起させる箱庭的なイメージを大きく覆すものです。英国製プリメインアンプとしては音質面での評価が高かった我が家のTAG McLaren 60iが、色を失い裸足で逃げ出す程の高音質です。今までの概念ではこれはとてもじゃありませんが、こんなスタイリッシュな薄型アンプから出る筈のサウンドではありません。どこかのハイエンド級セパレートアンプか?と、俄には信じがたいような、等身大スケールの音場と前後方向の立体感と実体感が目の前に展開されます。特に中域から中低域にかけてのハイスピードな音の出方は出色で、これでもかと言わんばかりのドライブ力です。

Integra_A-917昔、同社のIntegra A-917を使っていた時の印象もそうですが、元来ONKYOのアンプは低域のドライブ力については同クラス他社と比べてしっかりしている反面、中〜高域への鮮度感は程々で、独特の翳りのある甘さやトロさが一つのキャラクターでもありました。しかし新型のデジタルアンプA-1VLでは、従来の重量級アナログアンプで感じられた音をひとかたまりで聴かせるディテールの甘さは見事に払拭され、十分な低域に支えられた中〜高域の解像度はとても高く、音像が曖昧模糊にならずにハイスピード且つクッキリと表現されます。しかも一般的なこのクラスのプリメインアンプのように、中高域がアクセントとして変に出しゃばらない為、結果的に位相のしっかりした混濁感の少ない極めて安定感のある立体的な音場が生成されます。ピアノ伴奏のバイオリン曲等では、並のアンプではドライブ力が足りずに高域が出しゃばる事で、奥行き感が削がれ、下手をするとツィーターに引っ張られるように音場が右に左に崩れてしまうのですが、ONKYO A-1VLには全くそういったブレの気配が感じられません。もっと大きく高価なアンプであっても、高品位で神経質なツィーターを搭載したB&Wのモニタースピーカーを、これ程の十分なドライブ力で楽々と鳴らし切る事が出来る機種が他にどれだけあるでしょうか?


肝心の新技術であるVLデジタル云々の部分ですが、SHARPなど従来の他社デジタルアンプにありがちな、音色に悪く云えば軽々しくプラスチッキーな質感の漂う嘘くさいイメージは何処にもなく、デジタルアンプだ!と言われなければ正直殆ど判らない程に正統派のサウンドを聴かせます。オンキョーの音作りに於ける伝統と地に足のついた解釈を感じさせる充実したプレゼンスには、音楽的なまとまりの中でアナログ的に自然に練り込まれていながら、それでいてデジタルアンプらしい切れ味と新鮮さに溢れているのです。
ONKYO A-1VL inside
敢えて個人的な好みを言わせて貰うと、高域方向の音質に艶があり、生音と比較した場合少々キュアキュアに磨かれ過ぎにも感じられる部分があります。(後日注:これは組み合わせたスピーカーがB&W 704及び独ELACCL310.2 JETだった事が主な原因)。しかしそれがこのシステムの持つ美しさでもあり、ちょっとした個性でもある。音色の質感ですので、位相を崩してまで高域を持ち上げてくるような癖とは意味合いが違います。A-1VLとC-1VL両機の組み合わせでは、音楽の抑揚表現について欧州製のオーディオ機器と比較した場合に中域の表情が少々淡々としていて、欲を言えば音楽性の部分でもう少し積極的に"歌心"を感じさせてくれると聴き手としてはこれ以上言うことは無いのですが、これがほんのり国産っぽさを感じさせる部分でもあり、正統的で高音質に相応しい知性的な落ち着きと前向きに評価することも出来ます。また、この辺りは接続するスピーカーケーブルスピーカー次第で十分に補える程度の味付けになっていると思います。


スピーカーに関してはヨーロッパ専門各誌にて絶大な評価を獲得したONKYO INTEC275 D-302E等、海外でも評価の高い同社製品をそのまま組み合わせるのも良いのですが、敢えて更に高価格帯に属する海外製モニタースピーカー・・・B&W 800シリーズ等々と組み合わせる事で、個人的にはこのシステムの持つポテンシャルを更に高いレベルで引き出せると思います。


A-1VLはどちらかといえばクールでモニターライクなアキュレート志向のアンプではあるのですが、その割に暖かみや雰囲気表現が苦手という訳でもなく、音場のバックグラウンドを支える独特の深みのあるトーンは、その漂う響きの洗練された色彩感が新世代的な高級感を感じさせ、日本人による日本製のオーディオ製品が決して海外製品に後れをとるものではないことを強烈に印象付けられます。またピュアオーディオメーカーとしてのオンキヨーが、見事に復活しつつあることを実感させるに相応しい素晴らしい仕上がりである事を、このシステムを聴いた人の多くが納得するであろうと喜ばずにはいられません。ONKYO A-1VLは久しぶりに国産製品で個人的に導入したいと思った見事な逸品だと思います♪

オンキョー(ONKYO) A-1VL 届きました♪インプレその1
オンキヨー(ONKYO) C-1VL届きました♪

c1vl_1lA-1VLと姉妹機にあたる同デザインのCDプレーヤーC-1VLですが、最近では新製品が少なくなった10万円クラスのCD専用機として、ONKYO純正組み合わせのみならず、欧州製薄型インテグレーテッドアンプとの組み合わせを視野に入れることも出来る魅力的な内容です。音楽再生に最も重要なファクターである時間軸の精度にメスを入れただけの事はあり、上記のC-1VL+A1VLから得られる透明感や素晴らしい音像と位相は、この同一設計のCDプレーヤーに依存する部分が大いにある様で、A-1VLとは音質面で互いの弱点を補いながら、お互いの良さを補強する関係にあると感じました。一般論として、同時設計されたアンプとCDプレーヤーのいずれかのみを使用した上でいまいち納得できる音が得られない場合・・・例えばアンプのみでゆったりし過ぎる、CDプレーヤーのみでは聴き疲れるor腰高に感じる等の問題が出てくるような場合、それぞれに組み合わされた他社製品とのマッチングがいまいち取れていない可能性があります。VLシリーズを使う際には、本来のこの製品が秘める品位と精度を十分に引き出す為にも、出来ればA-1VLとC-1VLの両機をセットでご使用になることをお薦めします。

INTEC205追記としてデジタルアンプとして同一設計コンセプトの下位ミニコンポ・ハイコンポとして3月に発売になったINTEC275シリーズ及びINTEC205シリーズについて少しレビューしておきますが、インテック205は旧来のオンキョー製品の持つ甘いキャラクターを残すトーン、インテック275のA-933とC-733の組み合わせはVL DIGITALシリーズの音質傾向を継いだかなりクッキリとした音調で、同社製スピーカーONKYO D-302Eとの組み合わせの場合、A-1VL+C-1VLと比べても、更にクールでハイスピードなイメージが際立ちます。INTEC275はサイズが半分、お値段も半分で、A-933+C-733の音はA-1VL+C-1VLにも肉薄する!と言いたいところですが、流石にそこまでは無理難題。実際に聴き比べてみるとやはり下位機種には下位なりの限界があるように感じました。とは云えINTEC 275シリーズについても、音質面では現代的な切れ込みと解像感が高く、大変優秀な最新モデルとして抜群のコストパフォーマンスを誇るハイコンポだと思います。

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但しピュアオーディオとして一歩踏み込んだ先にある音楽的な充実度を比較した場合、A-1VLとC-1VLの組み合わせが持つ音場の深み、冷たさと暖かさ、硬さと柔らかさの描き分けなど、表面的な音質の鮮度感に止まらない内に秘めた余韻の響きや豊かな音楽性では、やはりハイコンポと単品オーディオいで、クラスの違いを感じさせるに十分な差があるのも事実。。。やはりオンキヨーの威信をかけた力作として、インテックのフラッグシップモデルA-933×C-733とA-1VL×C-1VLとの間には、特に表現力の部分での質的な差は歴然とあるように感じました。


少しばかり爆弾発言ですが、ここは敢えて音楽愛好家の皆様に個人的なお薦めを言わせて貰うと、CDプレーヤーのC-1VLへの買い換えを半年先延ばしにするか、廉価なPioneerの汎用薄型DVDプレーヤーや下位機種のC-773ONKYO C-7030などエントリークラスのCDプレーヤーをつなぎにするなどでデジタル段を少々妥協してでも、INTEC275一式を揃える予算で、より質の高いA-1VLを手に入れて欲しいかなと思います。少々背伸びをしてでもリスナーに新たな音世界を披露してくれる上級機を手に入れる価値は、プライス以上に皆様の音楽ライフの質的充実度の違いとなって現れる事でしょう。

余談ですが、A-1VLとC-1VLは日本市場向けの内弁慶商品ではなく、グローバルに販売されるONKYOの世界戦略商品です。欧州での販売価格はA-1VLが€1990、C-1VLが€1490。日本円に換算するとそれぞれ28万と21万円(2005/3月現在)です。これだけでもクオリティレベルの違いが解っていただけると思います。国内でこれだけ高品位に仕上げられた製品を、手ごろな価格で購入できる日本人はある意味とても幸せだと思いませんか♪
《Last modified 2011/09, 2019/3/28》

o-greenONKYO(A-1VL+C-1VL/C-S5VL/DAC-1000)
o-greenコンパクトピュアオーディオ


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