近年、小型スピーカーのマーケットは海外製の独壇場といった感じですけれど、実は国産メーカー製にも優れたスピーカーはいくつもあります。その中でもピュアオーディオSP作りに於いて管理人が昔からとても高く評価しているのがJVC/Victorです。
最近のJVC/VictorはDENON(デノン)やMarantz(マランツ)ほどオーディオブランドとしてメジャーではなく、Accuphase(アキュフェーズ)やLUXMAN(ラックスマン)程、玄人好みの高級機を一貫して作ってきた訳でもなく、SONY(ソニー)ほど先進的でも無く、ONKYO(オンキヨー)ほど普及価格帯のピュアオーディオではっきりとした方向性を認知されている訳でも無く。。。なんとなく、商品構成が中途半端でマーケットに占めるブランド力が弱い印象が拭えません。しかしJVC/Victorには一般の方には余り知られていない、他の国産大手メーカーとは一味も二味も違う優れたスピーカー製造技術があります。※むしろ日本の他の大手メーカーはまともなスピーカー作りが元々出来ないか、かなり前に辞めてしまっています。現在でもまともに評価出来るのはJVCとONKYO、YAMAHAくらいかも。
そして、箱庭ピュアオーディオ管理人が何よりも評価しているのが、JVC/Victorのオーディオ製品の多くが伝統的に「音楽性が高い」点にあります。
「音質」という評価軸に於いて、日本の大手電気メーカーが作るオーディオ機器は、世界の最高品質を長年に渡りリードしています。にもかかわらず「音楽性・・・音楽のハート、生命、精神性を伝える力」という評価軸になった場合、残念ながら海外製品と比べて相対的に一歩も二歩も劣っているケースが多いと云わざるを得ないのも事実です(※もちろん例外はあります)。これが音楽愛好家の皆さんに上質なオーディオ機器を通して「音質」ではなく「音楽」を聴いて欲しい管理人が、かねてから海外製品を中心に推してきたいちばんの理由です。


そのVictorから2003末に発売され、最近になり各所で高く評価され話題となっているのが、スピーカーがピュアオーディオ単品でも発売されているコンパクトコンポーネントシステムEX-A1です。箱庭ピュアオーディオ管理人、このミニコンポから独立した単品スピーカーSX-WD5の音を先日たまたま聴くまでは、巷の評価を目にした上で内心は何寝言を云ってるんだろ???と完全にスルーしてました。


新しいウッドコーンSX-WD5を聴いた最初の印象は、Victor SX-A103の音が戻ってきた!というものです(注:実際に比べるとかなり違います)。当時感じたビクター特有の美しく磨かれた明るい音色、躍動感溢れる表現力・・・もう中古でしか再び手に入れることは出来ないと半ば諦めていた音が、再びそこに蘇って活き活きと再現されていたのです。SX-A103のこういった美点は、ウーファーユニットを供給していたクルトミュラーに依存しているのだとばかり思ってまいした。しかしどうやらそれだけでは無く、Victorのスピーカー開発陣が受け継ぐ優れた感性の成せる技だという事が、クルトミューラーとは全く異なる新開発のウッドコーン・ユニットとツイーターを搭載するSX-WD5で理解出来ました。
あくまで組み合わせるアンプがSX-WD5にマッチしている事が絶対条件ですけれども、とにかく聴いていてとても楽しい音なのです♪小口径ユニットの小さなスピーカーですから低域の量感は望むべくもありませんが、音質云々のリアリティではなく、音楽を血の通った音楽として鳴らす力については、国産でウッドコーンスピーカーの右に出るものが果たしてあるのでしょうか?といった感じです。
ウッドコーンスピーカーは、文字通りウッド素材をユニット振動板に採用し、楽器作りにも通じる面倒な制作行程を経て製造されています。そこから想像出来るように、スピーカー自体が共鳴して楽器のように豊かに鳴るタイプの音作り。即ち、色付けを廃し無響室的なアキュレートさを身上とした、高分解能で高精度なモニタースピーカーの類とは全くキャラクターが異なります。海外製で方向性が似たものがあるとするとDALI、FOCAL/JmLab、Vienna Acoustics、Kharma KPL Reference/1a">OLS(Kharma)、Acustik-lab等々の「美音系」スピーカーと共通する、アコースティックで暖かみのある音色を持っていると云えます。
正直に云うとウッドコーンの音色をそもそも色付け・・・脚色と感じる事で好みに合わない方もいらっしゃるかと思います。ただ、モニター的では無いにしてもリアルで無い訳ではありません。それどころか、録音の段階で失われてしまった声の温もり、楽器の質感、ピアノや弦楽器などのアコースティック要素を、スピーカーの響きが蘇らせてくれる様にも聴こえます。
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この意味で、SX-WD5から出てくる音の質感のリアルさは、そこらの無個性なスピーカーやモニタースピーカーを軽く凌駕する生々しいものだと云えます。音にこだわる余りに、色々と音楽の大切な要素が失われたつまらない音をそのまま聴くよりも、ウッドコーンスピーカーを通してあらためて生気が蘇った音を聴く方が、実生活においてどれだけ楽しい音楽ライフになると云えるでしょうか?
こういった音色感は、リアルな生楽器の音に良く触れているエンジニアにしか掴めないんじゃないかと思います。オーディオスペック的な意味での高音質を追求する以前に、音楽をリアルに聴きたい、音楽そのものに近しくありたいという意志がなければ、オーディオ機器と云う余計な介在物を飛び越したような「リアリティが伴う質感」は絶対に生み出せないでしょう。
《Last modified 2021/1/16》



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「今までオーディオの世界では音は基音の上に成り立つ倍音列で出来ているというのがごく普通の考え方です。(特にディジタルのオーディオの世界では.......)ですが今の結合音を考えると実際に弾いている音の下側にも音が鳴っているのです。2つの音程が近いほどその差の周波数は低くなるので、結合音は低音域に移ります。いずれにしても実際の演奏ではEとcisの重音しか弾いていないのに、Eの完全5度下のAの音が実際に鳴っているのです。オーケストラでたくさんの楽器が鳴っている時の結合音って一体どうなるのでしょう......」以下略
私思わず目から鱗が落ちました。