フェライトコア(フェライトクランプ)を大量に使ってみました

フェライトコアフランス車と音楽と雑貨の日々の管理人さんに、ピュアオーディオの音質向上対策として高周波ノイズ吸収用のフェライトコア(フェライトクランプ)をオーディオ以外の全ての家電製品に使う方法を教えていただきました。フェライトコアはご存じの通り、電源および信号ラインのEMI・・・電磁放射ノイズ成分やコモンモードノイズ、電源ラインを流れる高周波ノイズを吸収するノイズフィルターとしてOA機器の各種ケーブル等で他用途に採用されています。

各種オーディオケーブルに限らず電源ケーブルUSBケーブル、LANケーブル、ディスプレイケーブルHDMIケーブルなどフェライトコアを一体成形したコードを採用した製品は沢山ありますが、今回使うのは、単体のフェライトコアを各種コードにクランプして自由に使うことが出来る各種汎用フェライトクランプ。これをオーディオ機器の電源ケーブルや周囲の電化製品へ使用する方法は古くから知られていますけれども、今回はより徹底的に対策してみよう!という趣旨で大量使用テストをしてみました\(*^o^*)/

フェライトコアを使用する際の基本的なポイントは、オーディオ機器の電源、信号ラインそのものに直接咬ませるのではなく、家庭内で同じ電源ラインに並列に存在する他の家電製品やコンピューター製品に間接的に使用することです。特に電磁ノイズを多く放射するコンピューターやインターネット関連機器、インバーターやモーターを内蔵したエアコン、冷蔵庫、各種照明、テレビなど、常時通電して使用する機器の電源ラインや信号ラインへ重点的に使用する事により、家庭内を流れる商用電源の高周波ノイズレベルを低く良好に保つことが出来るようになります。

NF-02LG

管理人宅では既にフェライトコアを10ヶ所以上で使用していたのですが、使用場所がいくつかピント外れだったり、本来対策すべき場所がいくつも未対策のままだったりしましたので、今回更に30個ほどのフェライトクランプを追加注文し、存在する全ての電気機器に対して漏らさず徹底対策を図ってみることにしました。

《既にフェライトコアを使っていたポイントのメモ》

【大サイズ】
  ・パナソニックお掃除ロボットエアコン
  ・書斎パソコン関連機器用電源タップ

【中サイズ】
  ・CREEK/EMF SEQUEL2 電源ケーブル
  ・クラビノーバ電源ケーブル
  ・メインシステム ビジュアル系統用電源タップ(audio-technica AT-NF34)
  ・共用アンテナVVF線
  ・無線LANルーター
  ・VoIPアダプタ
  ・HP d325デスクトップPC 電源ケーブル

【小サイズ】
  ・電話線の大元、書斎の蛍光灯×2

(元々フェライトコア一体型になっているOA機器・AV機器付属ケーブル等は含まず)

ざっと探しただけで13個。見えないデスクやラックの裏などを探すともっとあるかも。何だかんだと既にこれだけ使っていたことに自分でも驚きでした。今回はこれらに加えて常時通電している家電製品を中心に20個ほどの中型フェライトコアを追加してみます。

 ・フレッツVDSLモデム
 ・電話機 本体
 ・空気清浄機3台×3
 ・15m屋内LANケーブル×2
 ・サブノートパソコンPCオーディオ等の電源タップ×2
 ・書斎パソコン関連機器用電源タップに追加
 ・サブシステム用電源ボックス CSE CX-63A
 キッチン電灯(球型蛍光灯)
 ・Electrolux IH卓上クッキングヒーター EIH1628
 ・冷蔵庫
 ・炊飯器
 ・電動シュレッダー
 ・電話子機
 ・VDSLモデム-無線LANルータ間のLANケーブル

電話の子機やシュレッダー等いくつか音質とは関係無さそうな場所もありますが、なにせフェライトコアの数が多いので悪しからず。ピュアオーディオ機器には直接使わないのがセオリーと書きましたが、サブシステムAの電源ボックスCSE CX-63Aと、サブシステムBのプリメインアンプ(CREEK SEQUEL2)の2ヶ所には、聴感上フェライトクランプを入れても良さそうな感じでしたので暫定的に使ってみました。

その他の25個は同じ屋内配線内での並列的なコモンモードノイズの遮断目的。3つは直接関係ないインターネット回線用です。尚、電源コードが細くてフェライトコアをターンできる場合は2回ターン(一回巻き)。ACアダプターの細いコードなどは3~4回ターンさてせます。ターンさせることによってインピーダンスが増しノイズ減衰効果を高めることが出来ますが、対応できる周波数はターンの巻き数に応じて低い方へ下がるそうです。→北川工業によるフェライトコアの説明

※太い電源コードをターンして内径の小さなフェライトクランプで無理矢理クランプした場合、ケーブルの被覆を傷付ける可能性があり、漏電事故や故障の原因になりますので注意して下さい。

フェライトクランプ

この次点で合計約30個。まだ照明などで未対策の部分がありますけれども暫定的に音出しをしてみます。直ぐに感じたのは高域方向の歪み感が減退してデッドな感じの音質になったこと。間接音として拡散していた音がフォーカスし、音像の密度感が上がります。生真面目だがモニター的で正しい音と言えるかも知れません。音色が暗くなる反面、背景が静かになって聴感S/Nが改善したように聞こえます。音のバランスは低域方向にシフト。うちのオーディオは低域が浅い(私の好みのアクセサリーを積み重ねるとそうなりがち)のが欠点なのですが、ずしんと重い低域が出るようになって少しびっくり。高域方向はデッド気味なのですが立ち上がりが速く切れ味鋭い音。そのぶんオーケストラのヴァイオリンの切れ込みやボーカルのサ行がきつくなる傾向も垣間見えます。

しかし良いことばかりでもありません。問題点は音楽性・・・躍動感が大幅に失われる点です。私がオーディオ機器に第一に求めるのは音楽性ですから、このデメリットはかなり痛い。加えてウィーンアコースティックのように独特の箱鳴りと逆相成分が混ざり、柔らかくふわりと広がる音場感が持ち味のスピーカーの場合、そのテイストが大きくスポイルされ、ある意味で普通のスピーカーのような音質傾向になってしまいます。喩えるとPMCのスピーカーのクオリティをやたら落としたみたいな音質になってしまう。なんだか今まで私が選んできた機器のアイデンティティを見事に否定してくれる感じです・・・(滝汗)

響きが失われてしまうので、先日導入したレクストRS-SQUAREの効果もあってもなくても大差ないような微妙な感じになります。今回はテストしていませんが真空管アンプの美音(歪み)などもかなり失われる気がします。要するに歪み感も含めてバランスをとって響かせているシステムでは、その歪みが取り去られることでつまらない音になってしまうのです。

【感じられた効果】
・聴感S/Nが大幅に改善し、それに伴い背景の小さな音も明瞭になる
・歪み感が減退する
・低域方向の質感が向上し沈み込みが良くなる
・直接音の音密度が高くなる
・中~高域の立ち上がりが改善しハイハットなど音のキレが良くなる
・モニターライクな高音質

【デメリット・副作用】
・躍動感・・・音楽性が下がる
・オーディオ機器の持つ色付け、個性が失われる
・音場の残響感、響きが減退する(歪みの元でもある)
・中高域のキレが良くなるため、サ行の吃音が明瞭になるのと、
 ヴァイオリン等のキレが良すぎてややヒステリック気味になる。

実のところ、この音質傾向はオーディオ機器の電源ケーブルへ直接フェライトコアを使用した場合と全く一緒でした。歪みっぽさが耳につくオーディオ機器の場合、その機器の電源ケーブルへフェライトコアを直接使うことで、限定的に聴感上の歪み感を取り除く効果を得る事が出来ます。反面、副作用として音がつまらなくなる、響きが失われるなどのデメリットもありますから、慎重にヒアリングしつつ最低限の数を使うのが基本。使いすぎると上記のような副作用が時にメリットを上回ってしまう事に。。。

今回は同じ屋内配線上、同一ブレーカーラインで並列に存在する家電製品の多くにフェライトクランプを装着したのですが、メインのオーディオシステムの上流側の分岐にはプラズマテレビや空気清浄機があり、下流側の分岐には、2系統のサブシステムとPC2台&OA機器、更に別の空気清浄機も存在します。そのほか2部屋分の蛍光灯も同じ子ブレーカーに連なる屋内配線です。こう書くとかなりデジタル機器関係のノイズが多い劣悪な環境のような気もします。ですので徹底的なフェライトコアによるノイズ遮断はかなり有効ではないかと踏んだのですが、残念ながら聴感上はあまり好みではない方向に行ってしまいました。そしてオーディオ機器の電源ケーブルへ直接使用しなくても、同一屋内電線上にある通電中の電化製品へ並列使用するだけでも聴感上は同じ変化になってしまうみたいです。あんまり関係ないと思っていたのでかなり意外な結果でした。もちろん使うポイントで影響力の大小が違ってくるとは思いますので、そのあたりはケースバイケースという事になります。

internalオーディオ用電源ノイズフィルターをいくつか試してみたテスト【並列型】

翌日、音楽再生中に我慢が出来なくなって取り付けたフェライトクランプを全て取り外しました。面白いのは、一個ずつ外していくことで徐々に音色が明るく、響きが豊かになっていくのが感じられたことです。このキンキラの明るさは本来歪みに由来する音なんでしょうけれども、こちらの方が私好みの音質ですので仕方ありません。フェライトコア一個の有り無しだけではブラインドでは絶対に判別できないような微妙な違いを感じ取る・・・程度の印象差なのですが、30個は流石にやり過ぎだったのかもですね・・・。結局元々あった13個以外の追加分を全て外してしまったのですが、なぜか元の音には戻らない・・・orz。まだフェライトコアで付加されたバイアスが1/3位残ってしまっているような。。。これはこれで悪くない程度のほんのりした影響ですけれども。これってクランプしたコードが帯磁したって事のかなぁ。

アコーステッィクリバイブRD-1でケーブルを消磁したら治ったりしてw 治ってもまたそれとは別にRD-1によるキャラクターが乗るんですけれどね・・・。なんだか今まで使っていた13個もこの際外してみたくなったのですが、まぁ放っておけば経時変化で気にならないレベルまで元に戻るか、耳が慣れて判別不能になるとは思うので気長に待ちますか。。。

おまけ。フェライトクランプによる音質ですが、実は米国PS AUDIOの電源ケーブルの音色に似てる・・・というか殆ど同じ傾向です。メインシステムで使っているPS AUDIO XPD1.8 MK2電源ケーブルのレビューはこちら

響きとか明るさとかは苦手で、デッドでモニターライクで生真面目な音が好きな人はフェライトクランプを沢山使うと好みの音になって狂喜乱舞できるかも。あと高域より低域の重さ重視の人にもお薦め。それらとは別に耳が悲鳴を上げるような歪みっぽい高音を出す機器にはかなり有効です。とりあえず聴ける音にするには直接電源ケーブルへフェライトコアを噛ます、、、これは管理人が昔から取っている方法。その他にはLANケーブルやパソコン本体、モデム、エアコン、冷蔵庫、蛍光灯、インバータ式の諸々等には精神衛生上w適宜使用した方が良いかと思いますので、副作用が出ない程度に程々に使うことは推奨しておきます。

ちなみに今回箱ピュア管理人が”フェライトコア”をまとめて大量購入したのはYahoo!オークションでした。ここだけの話、パッヶージ入りでばら売りされている市販の10分の1くらいの値段でした。すけさんがヤフオク!経由を教えてくれなければ普通に購入してしまうところでした・・・(滝汗) (2017年追記:近年ではAmazon.co.jpや楽天市場などでもバルク品を安価で入手できるようになってます。)

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コメント一覧 (11件)

  • 的外れなコメントなら申し訳ないんですけど、、、、^^;
    私も、スピーカーの設定を変更すると、なんだか?
    おかしな感じになります、、、、。
    しかしながら、丸一日くらい音を出し続けることで、ようやく設定変更の効果が出始めてきます、、、、。
    人間でも、普段使わない筋肉とか使うと筋肉痛を起こすように、徐々に慣れさせて行くと言うか、設定を変更したら、エージングもやり直さなければ?
    行けない感じがします。
    だからこそ、元の設定に戻しても、元の音に戻らないんじゃないでしょうか?

  • でくのさんこんばんは~♪
    そうですねぇ。スピーカーの場合は特にキャビネットが自然素材で木材やでくのさんの場合は陶器で出来ていて、ユニットも紙などの素材が多く使われていますから、毎日の湿度や温度、気圧等々による寸法変動や経時変化が大きく出やすいんだと思います。ユニット取り付け時のネジの締め具合でも音質が大きく変わりますし。ピアノも弦楽器も木管楽器もちょっとした事でガラリと音が変わりますから、スピーカーも多くは手工芸的に制作されてますので同様なのではと思います。オールプラスチックやアルミ製のELACやBOSEのスピーカーでしたら温度以外の影響は小さいかもですが。といっても素材の質的変化に加えて、音自体の空気伝達が温度や気圧の影響をもろに受けますから考え出したらキリがない話です(汗)
    インシュレーターなんかは1日待つのがセオリーみたいです。最初良くても一晩経つと駄目だったり、最初変なバランスの音だったのが暫くすると馴染んで良くなったりします。ケーブル類は馴染むまでもっと時間が掛かります。

  • ウチの場合フェライトだけでなく、オーディオ以外の電源ラインにインバータノイズまで除去できる広帯域EMIフィルタを10発使ってノイズの回り込みを防いでます。
    そこまでしてても躍動感や柔らかさが無くなったことは無かったです。
    EMIフィルタをオーディオのラインに噛ました場合は見事に音が死にますが。。。
    一度オーディオ以外のブレーカを全て落として鳴らしてみてください。
    結果が同じであれば歪みが多い音をベースにセッティングしているのかもしれません。
    僕も上杉さんの回路をベースに6L6GCでPPアンプを作り使ってますが、6L6GCの音はけっこう硬いですよ。
    2A3や300Bのような直熱3極管の美音系ではなく、クッキリハッキリ系の音が多いです。
    それともう一つ気になっているのが屋内配線の状態です。
    オーディオ用コンセントの上流でコンセントをジョイントとして使ってませんか?
    この場合、ヒステリックな鳴り方をすることがあります。

  • すけさんこんばんは♪もう寝ますけど。
    >広帯域EMIフィルタ
    ちなみにどんな製品ですか?後学のために教えていただけると幸いです。
    ブレーカー落としはたまにやってます。やると音が良くなるので。劣化した古いブレーカーの接点が削れるせいかな~とか思ってます。あと、うちはオーディオ系統と家電が一緒なんですよ。マンションなので同じ部屋のものは基本的に別々に出来ないんです。壁コンセントでのジョイントは知る限り一ヶ所もありません。屋内配線は壁の中か天井で分岐して各コンセントやスイッチへ分配しているみたいです。
    >6L6GC
    そういえばうちにある東京サウンドVALVE300もそれですね。
    http://www.tokyosound.co.jp/sound/products/amp/300se.htm
    輝きを伴うクッキリハッキリした直接音とたゆたう間接音です。私の音の基準はあくまでソリッドステートとデジタルアンプですので、石と比べてしまうとVALVE300の音は十分以上に美音系だと思っています。

  • お久しぶりです♪
    フェライトコアは、いまのところ冷蔵庫のコードにしか取り付けていません(笑)
    あ、昨日ヨドバシで「クーナル」というのを見つけてしまいました!
    これはおもしろいですよ~。ブレーカーにシュッとしたらどうなるのかな~。気になります。。でも、危ないからやめておこうかな。

  • クーナルですか~懐かしい。まだ売ってたんですね。CDに吹き付けると優しい音になるとの触れ込みでしたが、試したことはないです。以前は円柱型のインシュレーター?みたいなのもありました。主成分は水でしょうからブレーカーに吹き付けるのは普通に考えても絶対に止めた方が良いと思います。漏電の危険もありますが、隙間に入ってしまったら錆びの原因になりますし。

  • こんばんは。
    ずいぶん前から売ってたんてすね。初めて知りました。
    へぇ~、さびの原因になるのですか~。んじゃ、やめておきますね。
    何故、こういう質問(ブレーカに吹き付け)をしたのかといいますと、2、3日前あたりに、私のブログのほうで書き込みをして下さった方がいたんです。詳しくは私のブログのコメント欄を見てもらうとわかると思います~

  • おはようございます
    レポート興味深く拝見させていただきました
    フェライトコアの副作用はやはり共通しているようですね
    ウチでもカサついて潤いがなくなる音の傾向になります
    それにしても、並列使用でもフェライトコアの
    影響が伝わるのには驚きました
    導電状態ではフェライトコアは特有のクセが
    発生するようなのですが、これを少なくする
    アクセサリーがあります
    ただ、使用したことがないので本当に効くかは
    定かではありません(^^;)
    特殊なリキッドを含ませた木にフェライトコアを
    サンドしているノイズフィルターです
    インフラノイズから発売されていました
    けっこういい値段してましたwww
      

  • >>松本麗香さん
    こんばんは~遅レス深謝ですm(__)m
    低気圧のせいかちょっと体調不良です。
    インフラノイズは木箱に入れるの好きですね~。 そのフェライトコアってかなり昔の製品ですよね。フェライトコアの副作用についてはフェライトコアの素材の響きが乗るような印象です。だからコア自体を別の素材でダンピングすれば多少なりとも音色が変化するんだろうなぁと推測(^^; 数多く使うと並列でもこれだけ影響が出るのにはびっくり。でもノイズ発生が疑わしい機器には最低限使う方が良いと思い、試行錯誤しながら減らしたり増やしたりしています。とはいえ1~2個の並列使用では聴感上の差が判別出来ず難儀してます・・・。

  • 取り付け位置は器具側ですかコード両端ですか。

  • コメントありがとうごどいます。
    フェライトコアが一体成型されている電源ケーブルの場合では機器側が多いようです。両側にフェライトコアの場合もあります。基本的には聴感でフェライトコアの有る無しを加減することをお薦めします。
    https://www.audiostyle.net/archives/17464799.html
    尚、管理人はこの記事を書いた当初(2009年)はフェライトコアを色々試して使っていましたが、現在ではオーディオ機器側の電源ケーブルに直接フェライトコアを咬ませることはありません。あくまでケーブルに元々一体成型されている場合と、PC関係やオーディオ以外の家電製品に於けるノイズ放出対策としてのみ使用しています。

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