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USBサウンドデバイスとマークレビンソンの音質対決 後編

【USBサウンドデバイスとマークレビンソンの音質対決】
聴き分け前編|後編

誤解が無いように昨日書いたエントリの補足です。CDの16bit/44.1kHzフォーマットに対して、24bit/48kHzフォーマットの音質がどうかという事を、こちらの記事ででくのぼうぷれすさんが検証してくれました。

パソコンの高音質サウンドカード経由であれDVDオーディオプレーヤーであれ、同じ環境と録音で異なるビットレートの音源を比較した場合は、24bit/96kHzの方が明らかに高音質を感じられると思います。勿論、DSD録音されたSACDプレーヤーの優位性も同様に、マニアな人でしたら十分聞き分けられるレベルの違いがあります。ただ、これはあくまで同一の再生環境で比較した場合の話であり、ハードウェアの性能に差がある場合、現実にはビッドレートの優位性がスポイルされてしまい、聴感上の音質がフォーマットの上下と逆転することも多々ありますよね?という事を言いたかったのです。

なぜかと云うと、少なくとも管理人の環境で、SACD/DVDオーディオにも対応した廉価なDVDマルチプレーヤー(例:PIONEER DV-585A等)で上位フォーマットを再生しても、例えば管理人所有のCEC TL5100Z/TL51Zなど、価格帯が全く異なるピュアオーディオ系CDプレーヤーで再生したCDレイヤーの音質にははっきり言ってぜんぜん敵いません。廉価なユニバーサルプレーヤーでもSACDやDVDオーディオの高域方向への歪み感の少なさや、きめ細やかなニュアンスはそれなりに感じられますが、そもそものエネルギー密度や迫力、音場空間の広さや音像のリアリティ等、音質トータルで比べてしまった場合、やはり上位機種の持つ音の品位は、ピュアオーディオ的な意味での格が違う音に感じられてしまいます。これらの件について、エントリークラスの複数のSACD再生機器を所有しているCD92氏のレビューがこちら

そういった観点から、こちらの記事で書かれているようにONKYO WAVIO SE-U55GXがPC用としては相当に高音質とは云え、廉価なUSBサウンドデバイスの内蔵DACとアナログ段経由で再生される24bit/96kHzの音が、140万円のハイエンドCDPを完膚無きまでに上回ったりするのかなぁ?との疑問が湧くのです。もちろん絶対あり得ないとは思いませんし、音質の主観的な好き嫌いで評価が逆転することはありがち。或いはMarkLevinson No.390SLの音質が価格からイメージされるほどのものではないという可能性も否定できません。(僕の記憶では相当に音質が良かったMARANTZ SA-11S1を上回っている時点である程度は否定できますけれども・・・。)

MARANTZ SA-11S1

とは云え、少なくともONKYO SE-U55GXのユーザーレビューやクチコミをいくつか読んだ限りでは、音質への評価はPC用途としてはかなり良好な反面、ノイズへの弱さや音の薄さ軽さを指摘されたり、対象がミニコンポや廉価なCDプレーヤーとの比較レベルでまあまあ的な意見が多く、ピュアオーディオレベルの中~高級機と肩を並べるような吃驚サウンド的な話になるとやや大袈裟ではないかと感じてしまいまうのは管理人だけでしょうか?

より高音質化された後継モデルのONKYO SE-U55SX。想像以上に健闘してそうなAmazon.co.jpのカスタマーレビューに注目♪

・手持ちの中級CDプレーヤーに勝っています(型番不明)
・音質的には5万程度のCDプレーヤーに匹敵する感じですね。
・ウチにあるPIONEERの7万程度のユニバーサルプレイヤーよりは高音質です。

更に加えてCD対DVDオーディオや、SACD-HybridでのSACDレイヤー対CDレイヤーの音質比較をした場合、ビットレートの違い以前にマスタリングでの音作りやバランスが全然違う事がしばしばあり、SACDレイヤーの音質に比べCDレイヤーの音質が酷く、フォーマット以上の差を意図的に演出している事を疑わせるケースや、逆にSACDレイヤーが何故かCDレイヤーより音が悪くておかしなケース等、個々の音源レベルではフォーマットの優位性のみで単純に割り切れない問題や逆転現象があったりもします。

90年代以降、クラシックやJAZZのCD製作では(SONY SBM/ビクターK2/EMI Art/グラモフォン4D/OIBPなど)、48~96kHz/20~24bitでレコーディングやA/D変換した音源を、44.1kHz/16bitにデータ圧縮してCD化する方法が主流でしたが、この圧縮変換時に起こる音質的なキャラクターはかなり強く、ハイビットリマスターによる再発盤が不自然な音で全滅(注:あくまで管理人の主観的に。)なんてケースも多々あり、こういったリマスタ盤による聴感上の音質劣化が気になるクラシック/ジャズファンなどは、敢えて16bit収録だった初期盤の古いプレスCDを捜し回ったりしたものです。こういった事情もありますので、前述の日経記事のようなケースでは、同一デジタルマスターにビット切り捨て以上の加工加えていない音源で比較しない限り、真の意味でビットレートによる違いのみの音質比較にはなっていない可能性があると思うのです。

とは云っても、個人的にはデジタル音源のビットレート増加や周波数帯域の拡大による音質的優位性や、本質的な音質向上を否定するわけではありません。これは音質追求の基本姿勢であり大前提ではあると考えています。

internal日本オーディオ協会の“ハイレゾ”定義に逆噴射してみる♪(前編)

internalハイレゾとロスレスと圧縮音源の音質差って・・・言うほどあるん?

internal非圧縮音楽配信サービス「TIDAL」の圧縮音質聴き分けテストがすごかった♪

管理人が今の携帯音楽プレーヤーPCオーディオ、或いはデジタル放送などで一番問題を感じるのは、利便性を追求した結果、容量の限界から音質を損ねる過度の非可逆圧縮が現状では主流である点です。加えてオリジナルのビット数を保った非圧縮デジタルデータがあっても、一般的に使われているWindows Media PlayerやQuickTimeなど、PC再生用の音楽ドライバや再生ソフトの音質に根本的問題があったり、イコライザによるコンプレッション掛かりまくりだったり、更にそれを接続してアナログに変換するデジタル/アナログ変換回路周りの品質が、一般的に手軽に取り組める範囲で、聴感上まだピュアオーディオレベルのクオリティに達していない気がする点です。

internal高コスパ♪Acoustic Revive DIGITAL-1.0R-TripleC-FM デジタルケーブルのレビューです。

《Acoustic Revive DIGITAL1.0R-TRIPLE-C-FMは管理人が使用している音の良い同軸デジタルケーブルの1つです。》

知人でPCオーディオ関係のお師匠さんは、自作の大容量/高性能パソコンから、正確にインピーダースマッチングの取れた数万円もする同軸デジタルケーブル(市販品は意外にも厳密に75Ωが出てないケーブルが多いそうです)を介し、発売当時100万近くしたアキュフェーズのハイエンドSACDプレーヤーDP-85(外部DAC入力やデジタルボリュームがある)や、単体DAコンバーターを組み合わせて音楽を聴いています。この人は理系PCヲタクのご多分に漏れず、リッピングしたCDのWAV音源をHDDに大量に溜め込み、実際のCDソフトを殆ど持っていません。オーディオドライバにはASIOを使っていて、流石にここまでやるとパソコンのHDD経由でも普通にピュアオーディオを語れるレベルの音質になっていると感じます。

今はまだメモリ容量やネットの転送速度の問題で圧縮音源が全盛の時代ですが、近い将来この問題は解決され、事実上の上限無制限のデジタルフォーマットを追求できる時代が其処まで迫っていると考えています。そうなったら光学ディスクの時代はカセットテープやLPのように過去のものとなり、ピュアオーディオもいずれインターネットを介した大容量音楽配信や、回転系が発するノイズのデメリットを受けない大容量シリコンデバイスに取って代わるのではと感じます。こんな風に圧縮やCDフォーマットの限界からデータが開放されることで、ピュアオーディオ的にも新たな可能性が生まれ、劇的な音質改善への道が開けるはずですので、この未来図には個人的にはかなり期待していたり♪ ※結果的に携帯音楽プレーヤーとピュアオーディオの垣根は曖昧になって行くだろうと思っています。

categoryCategory:ネットワークオーディオ/FMチューナー

ただ、将来もしもこうなった時、レコード盤がCDへ取って代わったときにも散々言われたことですが、音源を所有したり蔵書のようにコレクションしたりする行為、音楽を聴く儀式を、ヒューマンインターフェイスとして触感的、視覚的に楽しむ情緒や精神的余裕といった面が、デジタルデータという合理性の前に失われてしまうとすれば、それは人間として何処か寂しいような気がするのは仕方のない事なのかしら。。。でもまぁ、これは音楽の本質とはまた別問題。元々形のない芸術である音楽を、形ある器に封じ込めたりというスタイルそのものが本質的に矛盾しているのかも知れませんので、未来のピュアオーディオはどういう形であれ、より高音質な方向へ進歩してくれれば良いなと期待しています♪d(^_-)

【USBサウンドデバイスとマークレビンソンの音質対決】
聴き分け前編|後編

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コメント一覧 (8件)

  • エディロールのドライバーはASIO対応の物です。
    (24/96動作時)
    MacのCore AudioはASIO準拠になっているはずです。
    PCオーディオでもDACをピュアオーディオクラスにしてやらないと、対等には語れないと感じます。
    もちろんマークレビンソンなんて話は、無理ですけど^^;
    Quicktimeの音に関しては、私が感じた感触では、マークレビンソンの音作りに近い特性なのかな?
    ↑素人が聴いた感触で。
    ですので、70年代ロックが好きな人には好印象に感じたのでは??
    私は、バンゲルダーサウンドとかカールベームのウイーンフィルとかが好みです。
    出来れば同席したかったですねw

  • Mark Levinsonの音ですが、今のMark Levinson(本人不在)のブランドの音と、本人のブランド(レッドローズミュージック)って全然違うんですよねぇ。Red Rose Music製品の音は異様なほど繊細でポータブル機ではちょっと真似できないと思います。それくらい独特。まぁ同ブランドの小さい方のコンポは中国のDUSSUNエレクトロニクス社製で、素性を調べると口があんぐりなのですが、音はとっても良いのです。心底欲しいです。

  • pastel pianoさん、お久しぶりです。
    以前にこちらの記事を参考にCECのTL-51XZを購入したくま蔵と申します。その後ChordのDAC64を加えて満足しておりましたが、最近PCオーディオを試したところ、そちらに乗り換えることになりました。デバイスはAirMac Express(AME)という11800円の廉価品です。CEC単体はもちろんのこと、CECからAES/EBUでDACに出力したものと比較しましたが、AMEから光ケーブルでDACに出力したものが勝りました。歪みが少なく、自然な音調だと思います。ぜひ一度お試し下さい。

  • くま蔵さん、こちらこそお久しぶりです(^^)♪
    AirMac Expressはアメリカで話題になってますね。丁度昨日来たPS audioのニュースレターにも書かれていました。
    デジタルトランスポートとして、CECよりAMEの方が良好ってのはある意味当然だと思います。
    少し前にここへ書きましたが、
    https://www.audiostyle.net/archives/51241031.html
    ベルトドライブCDプレーヤーの音質は、敢えてデジタル精度を揺らがせて落とすことによって生まれる、聴感上のアナログテイストが種明かしなのかと思います。更にCEC機は概ねDACの微少信号の変換精度も良くないですし、真っ当な情報量と精度ではうちの2台(5100Z/51Z)でも、最近の10万円以下のCDプレーヤーに聴感上で負けています。ただ、音質を忘れてまったりしたいときは敢えてC.E.C、実は先日TL5100Zのメカのメンテナンス部品交換をしたのですが、音質が大幅に良くなって戻ってきてびっくりしました。今まで何聴いてたんだろ?って位。
    それはともかく、AirMac Expressは面白いですね。アナログ出力の音質は如何でしょうか?うちは既に無線LAN環境なのですが、手持ちのオンキヨーのUWL-1はLet’s noteとモロ干渉します。チャンネル変えても駄目です。ちなみに音質も…アナログは微妙。デジタルアウトも使ってみましたが、デジタルなので十分なクオリティとは云え、付属光ケーブルがしょぼかったのか、どうでもイイ感じの音でした。iTunes側のデジタルイコライジングに聴感上の高音質の秘密があったりはしないのでしょうか?

  • AMEのアナログ出力も悪くありませんが、デジタル出力→DACと比べると、やや音の厚み、生々しさに欠け、少しデジタル臭く(?)感じられました。
    iTunesがデジタルイコライジングをかけているのかどうか分からないのですが(設定上はオフにしてあります)、CDPと比べて、いわゆる情報量は明らかに多いように感じられました。
    この生々しさは、iPodを夜中に静かな部屋で聴いた時に感じたものと同質と思われましたので、CDPの再生に含まれる何らかの歪みがiPod(iTunes/AME)では少ないのではないかと想像しています。

  • こんばんは。
    CHORDのDAC64の様に大きなバッファを積んだDACでも、デジタルトランスポートの影響を受けるんですね。AMEの高音質の秘密は自分でも確かめなくてはいけないと思っています。といっても、私は推測以上の技術的な考察は出来ませんけれど…。例えば、記事の冒頭でリンクしているようなオンキヨーなどのPC用の高音質サウンドボードから光デジタルでDACに入力した音よりも、AMEの方がずっと高音質になると考えて良いのでしょうか。となると、PCとデジタルデータ中継送信部の電源が電気的に切り離されていること関係があるのかも。

  • 私の想像と聞きかじりの知識ですが、CD(およびそのデータ)の再生の課程は以下の三段階であると思います。
    ①CDのデータの読み出し
    ②データをSPDIFに打ち直す
    ③SPDIFデータのアナログ変換
    CDトランスポートは、①と②を担当していますが、少なくとも①の部分についてはハードディスクからパソコンがベリファイしながら読み出す方が正確なデータになるように思います。②の部分がAMEの担当する部分だと思います(ベリファイもAMEの機能であるとの意見もありますが)。…・続く

  • 続き…
    SPDIFへの打ち直しの部分にトランスポートと差があるかどうかは分かりません。どうもメカニズム的には同じように思われるのです。したがって、私はAMEを使った再生がCDトランスポートに勝るとすると、①の部分ではないかと思っています。これがジッタというものなのか、データの欠落、補完の結果なのかはよく分かりません。高価なCDトランスポートが振動に気を遣っていることを考えると、やはり読み出しの部分に問題があるのではないでしょうか?
    100万円のトランスポートとパソコン/ハードディスク/AME(総額20万円程度)が良い戦いをするとなると、メーカーは大変だと思います。LinnのKlimax DSはAMEと同じ発想ですので、Linnもトランスポートに勝るものを見出したのではないでしょうか。

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